月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2022.05.30

バスケットボールの発展を実感させたBリーグ2021-22シーズン - 最多観客動員は5.22沖縄アリーナの8,309人

 長引くコロナ禍の影響を受けながらも、5月28日・29日に東京体育館で開催された日本生命B.LEAGUE FINALS 2021-22までの全日程を終了したBリーグ2021-22シーズン。リーグ創設から6シーズン目だった今シーズンは、5年間の発展を総括するかのように、初代王者の宇都宮ブレックスが2度目のリーグ制覇を果たした。また、地域に根差したホームクラブがアリーナ文化を醸成しながら人々を元気にしていく姿を、ファイナリストとなった琉球ゴールデンキングスが先駆者となって示していることも、リーグのミッションを体現する出来事のように思える。ファイナルで激突した両クラブは、バスケットボールのレベルでもクラブの姿勢の点でも、世界中どこの人々に見せたとしても「私たちの地元にこんなクラブがあったらいいな」と思えるようなクラブではないだろうか。

 

 ファイナルの舞台では、FIBAワールドカップ2023アジア地区予選で日本代表に名を連ねるプレーヤーたちの、両チームにおける存在感も光っていた。宇都宮では比江島 慎が「日本のエース」と呼ぶにふさわしい大活躍でチャンピオンシップMVPの栄誉を手にし、ベテランの竹内公輔も短い時間ながら奮闘していた。琉球では今村佳太、岸本隆一が最後の最後まで食い下がるビッグショットを成功させて意地を見せた。彼らのハイレベルなパフォーマンスは、これから日本のバスケットボールがもっともっと強くなれるだろうことを感じさるものだった。

 

リーグ制覇を決め歓喜の比江島 慎。「日本のエース」と呼ぶにふさわしい大活躍は次世代の子どもたちに夢と目標を示したのではないだろうか(写真/©B.LEAGUE)


Bリーグが29日に発信したリリースによれば、2021-22シーズンのB1・B2を合わせた総入場者数1,575,908人は、前シーズンの1,293,393人から282,515人(21.8%)増加した。最多入場者数記録は、琉球と島根スサノオマジックが5月22日に沖縄アリーナで対戦したB1チャンピオンシップセミファイナル第2戦の8,309人で、これは史上最多記録を更新する数字だった。新型コロナウイルスの変異種が広がったためにB1リーグ戦は 660 試合中 604 試合、B2リーグ戦は 420 試合中 361 試合の開催にとどまり、オールスターゲームも2年連続開催中止。国全体が困難に直面した状況下にもかかわらず、これだけ多くの人々がBリーグと各クラブに思いを寄せ支援の姿勢を示した事実は、バスケットボールが日本の人々の生活にそれまで以上に深く根ざし、発展してきていることを実感させる。東京体育館でのファイナルで、連日6,000人を超える大勢のファンが作り出した感動的な情景は、その象徴であっただろう。両日とも、両クラブの地元を含め、費用も時間もかけて全国各地から足を運んだ人も非常に多かったはずだが、その思いに応えられるだけのコンテンツを両チームが提供したことは、観客席の反応からも明らかだ。

 


琉球ゴールデンキングスがファイナル進出を決めた5月22日の沖縄アリーナは、「夢のアリーナ」そのものの情景だった(写真/©B.LEAGUE)


同リリースでは、2022-23 シーズンの B1・B2各地区の所属クラブに関しても明らかにされていた。来シーズンのB1は、東西2地区で展開された今シーズンと異なり、24チームが東・中・西の3地区に8チームずつが分かれて行われる。念願のB1昇格を果たしたファイティングイーグルス名古屋は西地区、仙台89ERS東地区だ。B3から昇格を果たした新興の2チームを迎え14チームとなるB2は、今シーズンと同じく東西2地区制で、両地区に7チームずつが所属する。B3優勝の長崎ヴェルカは西地区、28日のB2昇格決定戦でトライフープ岡山を下して昇格を決めたアルティーリ千葉は東地区に入っている。

 

 NBAに次ぐ世界2位のリーグとしての発展を実現・継続していく構想の中、今シーズンはどのクラブもこれまで以上にアグレッシブなタレントの獲得と育成、またそれができるだけの組織力強化に力を注いだ。その効果が即座に現れセミファイナル進出を果たした島根スサノオマジックなどの例を見れば、この流れは今後さらに加速していくことだろう。B1もB2も、来シーズンはさらなるレベルアップが目に見えて感じられるエキサイティングな状況となるにちがいない。


☆2022-23シーズンのB1・B2各地区所属クラブ(★印が昇格)
【B1】 24 クラブ
東地区: レバンガ北海道、仙台89ERS★、秋田ノーザンハピネッツ、茨城ロボッツ、宇都宮ブレックス、群馬クレインサンダーズ、千葉ジェッツ、アルバルク東京
中地区: サンロッカーズ渋谷、川崎ブレイブサンダース、横浜ビーコルセアーズ、新潟アルビレックスBB、富山グラウジーズ、信州ブレイブウォリアーズ、三遠ネオフェニックス、シーホース三河
西地区: ファイティングイーグルス名古屋★、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、滋賀レイクスターズ、京都ハンナリーズ、大阪エヴェッサ、島根スサノオマジック、広島ドラゴンフライズ、琉球ゴールデンキングス
【B2】 14 クラブ
東地区: 青森ワッツ、山形ワイヴァンズ、福島ファイヤーボンズ、越谷アルファーズ、アルティーリ千葉★、アースフレンズ東京Z、西宮ストークス
西地区: バンビシャス奈良、香川ファイブアローズ、愛媛オレンジバイキングス、ライジングゼファー福岡、佐賀バルーナーズ、長崎ヴェルカ★、熊本ヴォルターズ

 

☆Bリーグチェアマン 島田慎二のシーズン総括コメント
宇都宮ブレックスの皆さん、優勝おめでとうございます。クォーターファイナルから負けなしの6連勝で日本一を成し遂げた戦いぶりは、長年築かれてきたチームの結束力や気持ちの強さが表れた、まさに「BREX NATION」が体現されたものでした。また、準優勝の琉球ゴールデンキングスの皆さんが見せてくれた、沖縄の想いを背負って戦う姿からは、改めて地域にクラブがあることの価値に気づかされました。
心を震わせる、素晴らしい試合を見せてくれた両クラブに敬意を表したいと思います。
今回の「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2021-22」は、3シーズンぶりに満員のお客様をお迎えして開催することができました。この「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2021-20」、そしてシーズンを通じて、感染対策にご理解、ご協力いただき一緒に安心安全な試合を作り上げてくださったファンの皆さま、パートナーの皆さま、誠にありがとうございました。
2022-23シーズンは、将来構想に向けたライセンス審査が始まる勝負の年となります。withコロナでのリーグ開催は続くと思いますが、これまでの延長ではなく、よりアグレッシブな運営を行い、これまで以上に多くの方の心を震わせることのできるシーズンにするべく、取り組んでいきたいと考えております。


☆公益財団法人日本バスケットボール協会、三屋裕子会長のシーズン総括コメント
宇都宮ブレックスに関わる全ての皆さま、B.LEAGUE 2021-22 シーズンの年間優勝おめでとうございます。ワイルドカードでのチャンピオンシップ出場からアウェーで勝利を重ねてファイナルの舞台に辿り着き、優勝を成し遂げた選手たちの姿を見て、強い気持ちを持ち挑戦することで、夢を勝ち取ることができるのだと感じさせられました。そして今回のファイナルへは琉球ゴールデンキングスが西地区から初の進出を果たし、地元・沖縄のバスケ熱が一層高まるのみならず、B.LEAGUE の歴史にも新たな一幕を刻んでくれました。
今季も新型コロナウイルスの影響下で開幕し、試合に関わる皆さまにとっては難しいシーズンだったと思います。臨機応変に対応しながらシーズンを完遂した全てのクラブの選手、チームスタッフ、クラブスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。今年秋からまた、熱い戦いを見られることを心待ちにしています。



(月刊バスケットボール)



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