月バスTOPICS

月バスTOPICS

2019/04/17

今週の逸足『AIR JORDAN 5』

 テランダーはこの特集で、ある殺人事件をレポートしている。1989年5月2日、メリーランド州に住む15歳の少年マイケル・ユージーン・トーマスが、学校近くの林の中から、はだしの絞殺体で発見された。彼の命と、2週間前に購入したばかりのAJを奪ったのは、バスケ友達のジェームズ・デビッド・マーティン(当時17歳)だった。ひと月前にはヒューストンでもやはり16歳の少年が、ギャングにAJを差し出すことを拒否し、射殺されていた。当時アトランタでは強盗事件の50%以上にスポーツウェアが関係しており、シカゴでも同様の犯罪が毎月50件以上報告されていた。テランダーは、ドラッグの売人が不法に儲けた金で新しいスニーカーを次々と買い替え、子供たちの間でトレンドセッターとなっている現実を、マイケル・ジョーダン(当時ブルズ)本人にぶつけている。
 

「ドラッグの売人の稼ぎが僕の収入になっているんだとしたら、AJなんて売らない方がいい」

 テランダーの問い掛けに、ジョーダンは泣きそうな顔でつぶやいたという。この頃ジョーダンはまだチャンピオンリングを獲得していなかったが、個人としてのパフォーマンスは絶頂を迎えつつあった。スパイク・リーと共演したAJ4のCMも人気となり、「It’s gotta be the shoes!(このシューズじゃなきゃダメなんだよ!)」は流行語にもなった。だがAJは、少年たちにとっては高価過ぎる商品だった。ジョーダン本人がアフリカ系アメリカ人だったことが、彼の立場をより複雑にしていた。フェアに言えば、高額なシューズやウェアを発売し、派手な宣伝で少年たちの購買意欲を刺激していたのはナイキだけではなかった。だがナイキとAJ、ジョーダンは成功し過ぎていた。


あなたはどう思う?コメント書く

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください