月刊バスケットボール5月号

3x3バスケの東京2020テストイベント『READY STEADY TOKYO』

 

 7月23日(金)から8月8日(日)まで開催される予定の東京オリンピックに向けた3x3バスケットボールのテストイベント『READY STEADY TOKYO』が青海アーバンスポーツパークで5月14日から16日まで行われた。東京2020組織委員会が主催したこのイベントでは、公益財団法人日本バスケットボール協会から3×3 男子オリンピック日本代表候補、3×3 男子U23日本代表候補を含む24人のプレーヤーが派遣され、本番で使われるコートで実戦を戦った。

 

 この大会は無観客ながらプレーヤーたちにとっては本番の会場での実戦を体験する機会。目的としては運営面の確認がメインで、報道陣の取材日だった最終日は時折雨も降るあいにくの天候となり予定されていた4試合中2試合(3位決定戦と決勝戦)を行うことができなかったものの、そうした非常事態への対応や新型コロナウイルス感染症対策を敷いた中でのメディア対応をテストでき、非常に意義のあるイベントになったようだ。

 

雨天により3位決定戦と決勝戦は中止となった


青海アーバンスポーツパークはゆりかもめの東京国際クルーズターミナル駅が最寄り。3×3の会場は約7,100人を収容するスタンドに囲まれたアウトドアコートが舞台となる。取材日の時点ではまだ完成しておらず、スタンドに足を踏み入れることはできなかったが、組織委の森 泰夫大会運営局次⻑によれば工程としては本来予定していたとおりとのこと。この日はコートの天井となるキャノピーと呼ばれる屋根もなかったため雨の影響をそのまま受ける形となったが、晴天下での3x3バスケットボール観戦の楽しみは十分に想像できた。

 

天候や環境も味方にすることがカギにもなりうるアウトドアでの3×3の魅力を齊藤は語った


悪天候時のスケジュール管理や観客の雨具対応など、この日だけではわからない課題も露呈されたが、プレーヤーたちからは会場の規模の大きさや雰囲気の良さに対する驚きの声が聞かれた。日本3×3シーンで長年活躍してきた功労者の一人で、オリンピック日本代表候補の齊藤洋介 (UTSUNOMIYA BREX.EXEは「日本でこれだけの会場が用意されているのは本当に新鮮なことです」と感慨深げに話し、あいにくの悪天候にも「雨や風もあるなかでどういう戦い方をしなければいけないかという点もこの競技の特徴」と前向きな捉え方をしていた。

 

 同じくオリンピック代表候補の一人としてこのイベントに参加した杉浦佑成 (島根スサノオマジック/TOKYO DIME.EXE)は「こんなに観客席があるところで3×3の試合をしたことはないので、ここに歩いてくる途中で緑の観客席が見えたとき、『あれが観客席じゃないよね』とか『そんなわけないだろう』なんてみんなで話をしていたくらいです。そうしたら本当に観客席で、素晴らしいです。たくさんの人に見てもらえるところでプレーできるかもしれないというのは楽しみ」という。

 

会場の規模の大きさに驚きを隠せない様子だった杉浦


世界的に見てもまれな規模を持つ会場には、プレーヤーたちの意欲や闘志に予想以上の力をもたらす可能性がある。「(日本側も対戦相手も)良さが出ると思うので、その中でどっちが勝つかですね。ホームコートアドバンテージという意味では、おそらく対戦相手もテンションが上がると思いますが、日本の気候に慣れるかどうかということもありますので、こちらはしっかり準備していきたいです」と話すのは、こちらもオリンピック日本代表候補の小松昌弘(TOKYO DIME.EXE)。

 

 日本のチームとしての強みはスピードとトランジション、シュートだと言い、「スピードをより強みにして、ずれが生じた中でドライブやイージーなシュートを決めていくというところがポイント。逆にハンデはフィジカルと高さで、リバウンドとフィジカルで対等に戦えれば、セルビアやアメリカとも戦えるチャンスがあると思います。そこで圧倒されると厳しい戦いになるかなと…」と本番への意欲を語っていた。

 

ショットを狙う小松。スピードを武器に戦いたいと意欲を語っていた


東京オリンピックの3×3バスケットボール競技は7月24日(土)から28日(水)までの5日間。日本は、男子には開催国枠で出場権が与えられている。しかし女子は5月26日から30日までグラーツ(オーストリア)で行われるオリンピック最終予選で、上位3ヵ国に与えられる出場権を競う。ここで出場権を逃した場合には、6月4日(金)からハンガリーで行われるユニバーサリティーオリンピック予選トーナメント(UOQT)で最後の1枠を争う。

 

■ 3×3バスケットボール東京2020テストイベント参加プレーヤー
【Japan A】
11 齊藤 洋介(G / 184cm / UTSUNOMIYA BREX.EXE / オリンピック日本代表候補)
17 藤高 宗一郎(F / 190cm / バンビシャス奈良 / OSAKA DIME.EXE / オリンピック日本代表候補)
20 小松 昌弘(F / 191cm / TOKYO DIME.EXE / オリンピック日本代表候補)
29 永吉 佑也(F / 198cm / 京都ハンナリーズ / KYOTO BB.EXE / オリンピック日本代表候補)

 

【Japan B】
15 保岡 龍斗(G / 188cm / 秋田ノーザンハピネッツ / SEKAIE / オリンピック日本代表候補)
18 津屋 一球(F / 190cm / 三遠ネオフェニックス / U23 日本代表候補)
27 杉浦 佑成(F / 196cm / 島根スサノオマジック / TOKYO DIME.EXE / オリンピック日本代表候補)
21 三谷 桂司朗(F / 191cm / 筑波大学 / オリンピック日本代表候補)

 

【Japan C】 ※取材日にはプレーせず
3 永井 智佳滋(F / 187cm / 日本体育大学)
7 小澤 崚(G / 176cm / アルボラーダ / U23 日本代表候補)
8 改田 拓哉(G / 176cm / BEEFMAN.EXE / U23 日本代表候補)
30 市川 真人(C / 205cm / 白鷗大学 / U23 日本代表候補)

 

【Japan D】
4 下川 拓海(F / 188cm / 日本体育大学)
10 野崎 由之(G / 183cm / 専修大学 / U23 日本代表候補)
12 キング 開(G / 184cm / 専修大学 / U23 日本代表候補)
22 寺澤 大夢(F / 191cm / 専修大学 / U23 日本代表候補)

 

【Japan E】 ※取材日にはプレーせず
2 宮崎 巧(G / 177cm / 日本体育大学)
9 関屋 心(G / 180cm / 白鷗大学 / U23 日本代表候補)
13 角田 太輝(F / 185cm / 白鷗大学 / U23 日本代表候補)
14 川島 聖那(G / 187cm / 法政大学 / U23 日本代表候補)

 

【Japan F】
6 土家 大輝(G / 173cm / 早稲田大学 / U23 日本代表候補)
23 渡部 琉(F / 191cm / 中央大学 / U23 日本代表候補)
24 横地 聖真(F / 191cm / 筑波大学 / U23 日本代表候補)
25 江原 信太朗(F / 192cm / 東海大学 / U23 日本代表候補)

 

☆試合結果(16日のみ) ※3日間で19試合を実施し、3位決定戦と決勝戦は中止

Japan A 20 vs 17 Japan F

Japan B 21 vs 16 Japan D

 

写真/石塚康隆

取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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