月刊バスケットボール6月号

NBA

2022.09.30

NBAジャパンゲームズに臨むステフィン・カリーの選手としての「細部のこだわり」

 

 本日の19時より、いよいよ「NBA JAPAN GAMES 2022」の第1戦が始まる。オールスターのブラッドリー・ビール、221cmのスキルビッグマンであるクリスタプス・ポルジンギス、そして我らが八村塁を擁するウィザーズと対戦する昨季NBAチャンピオンのウォリアーズ。

 

 今イベントで八村と並んで最注目選手となるのが、王者の絶対エース、ステフィン・カリーだ。

 

 2015年の初来日を皮切りに過去3度来日したカリーだが、それらは契約ブランドのイベントなどによるもので、試合をするための来日という意味では今回が初めてとなる。そんなカリーが昨日9月29日に行われた公開練習で、自身のバスケットボール選手としてのこだわりについて話してくれた。

 

 

 カリーは今でこそNBA有数のスター選手となったが、高校時代は細身で小柄。今のように3Pシュートを軽々決められるような選手ではなく、高校の途中から徐々に頭角を表したとはいえ、スカウトからの評価はお世辞にも高いとは言えないものだった。

 

 大学進学時には名門大からのオファーはなく、NCAAディビジョン1ながら、そこまでの知名度がなかったデイビッドソン大へ進学。過小評価から始まった大学キャリアの中、2年時にはNCAAトーナメントでエリート8まで駆け上がる原動力となり、得点力も一気に開花。一躍大学界のシンデレラボーイとなった。

 

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 それでもNBAスカウトからの評価にはまだマイナス要素があり、2009年ドラフトで全体7位指名を受けたものの、直近の5位と6位で指名されたのはカリーと同じPGのリッキー・ルビオとジョニー・フリン。さらに上の3位ではジェームズ・ハーデン、4位ではタイリーク・エバンスとPGをプレーできる4人の選手がカリー以前にドラフトされていたことは、彼が実力に見合った評価をされていなかったという見方もできる。

 

 そんな過小評価のキャリアを乗り越え、昨季の優勝で自身4度目、さらにはファイナルMVPを初受賞したことで、歴代トップ10選手の議論にも名が挙がるようになったカリー。

 

「向上し続けることです。その上でシーズンごとの課題に向き合って、チームがすごくユニークであることを知ること。細部にこだわることが大切なんです。どのように練習や試合、ワークアウトなどの一つ一つに向き合うのか。その全てがプレーオフで活躍することにつながります。それがレシピ。またそれができたらいいなと思います」

 

 自身のキャリアを振り返るかのようにそう口にしたカリーは、公開練習では笑顔をこぼしながらも、ストレッチからしっかりと時間を取り、まさに細部からこだわっていた。

 

 

「ローマは一日にして成らず」「千里の道も一歩から」。こうしたことわざがいくつもあるように、スターにはスターであるがゆえの理由がある。日々の積み重ねという面ではカリーはその究極の姿なのかもしれない。彼は自身の代名詞であるシュートに対しても「練習し続けること。近道なんてない」と話している。

 

 才能、カリスマ性、そして実力…。

 

 三拍子そろったカリーだが、最も注目したいのは動きの一つ一つに宿る洗練されたスキル、すなわち実力の面だ。ステップやスクリーンの使い方、ボールの受け方からリリースの指先まで、カリーの「細部」に注目だ。

 

写真/石塚康隆

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

 



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