月刊バスケットボール6月号

小中一貫クラブ、レオヴィスタの「自主性」にフォーカスした指導

 近年、U15カテゴリーが進化している。ほんの5年、10年前であれば中学校の部活動一択だった状況から、2016年にBリーグが開幕すると、各クラブがユースチームとしてU15やU12チームを立ち上げ、現在ではU18チームをも保有している。さらに、クラブチームの動きも活性化。これまではチームとしてスポットライトを浴びることは少なかったが、2021年から中学校、Bユース、クラブチームの全カテゴリーが参加可能な全国大会であるJr.ウインターカップが始まったことで、より注目度が高まった。

 

 

 千葉県は柏市にも、「レオヴィスタバスケットボールクラブ」というクラブチームがある。このクラブは今年で創設9年目。男女のU15チームだけでなく、U8、U10、U12チームを保有し、U12以上にはスクールも実施するなど、他クラブとは異なる幅広い年代をより細分化して指導(U15チームは週5日練習)。現在、所属している選手はチームとスクールを合わせて計200人を超え、活動拠点の柏市を中心に多くの意欲的な選手が、日々の練習に汗を流している。

 

 

そんな大所帯の中でU15チームをまとめるのが、クラブの創設者でもある金子暁海コーチ。現役時代には新潟アルビレックスBB(当時bjリーグ)でも活躍し、本場アメリカでコーチングを学んだ経歴を持つ。

 

 

 そんな金子コーチが柏市でクラブチームを立ち上げたのは、自身の地元が柏市であることと、自身がずっと携わってきたバスケットボールを還元できる場所を求めたから。「現役を引退して、せっかくここまでバスケットに携わってきたのに、それを還元できる場所が当時は全くない状況でした。僕は指導の勉強のためにアメリカに行ったり、著名な指導者の下に就かせていただく中で、クラブチームという文化が海外含めてすごく発達していることを知りました。それで、『これを日本でも取り入れられないか』と考えたのが創設のきっかけです」

 

 U15以下のカテゴリーを指導の場に選んだのは、子どもたちの未来、そして日本バスケットボール界の未来を思ってのことだ。「いろいろな方とお話する中で、『小中学生世代の底上げをしっかりしない限り、上のリーグの底上げにはならない』ということを多く耳にしました」と金子コーチ。続けて「日本ではU15世代以下はどこでプレーするのかを自分で選びづらい環境ですよね。高校になると県外の学校へ行ったりと、自分で環境を選ぶことができますが、中学生以下の時点でそれができないとなると、バスケットはやりたいけど指導者がいないとか、そういう子が出てきてしまいます」と、育成年代の選択肢を増やすことを創設理由に挙げた。

 

 

 カテゴリーを細分化しているのも「例えば小学2年生と小学6年生が同じ練習をして体をぶつけるとなると、ケガのリスクも大きいです。それにヨーロッパなどの育成が進んでいる国では年齢を細かく分けて練習する風潮になっているので、それに沿った指導を取り入れています」と、自身の知見も生かしながら、より選手たちへの還元率の高い指導を目指していることが理由だ。

 

 中でもU15世代の指導でこだわっているのが、自主性を育むこと。選手それぞれのスキルアップはもちろんのこと、一人の人間としての人格形成も大きなテーマとしてる。例えばチームで合宿に行く際などは保護者の助けは一切借りずに、洗濯や食事の準備なども全て選手たちが行い、若いうちから「自分のことは自分でする」という習慣を身につけさせる。Bう活動のように常に選手を見られるわけではではないからこそ、そうした人間性の指導も大切にしているのである。

 

また、U12カテゴリーは元日本代表として活躍した宮ノ腰達也コーチが担当。こちらのクラスはいわゆるミニバスではなく、リングの高さやボールのサイズ、ルールなどは全て中学生以上のカテゴリーと同じ条件で練習しており、特にフォーカスしているのがファンダメンタルだという。

 

 

 

 宮ノ腰コーチは自身の経験をもとに「僕自身、日本代表にもなってトップまでを経験しました。そこで何が大事かとなったらやっぱり基本中の基本が絶対的に必要だと感じたんです。今はYouTubeなんかでスキルを見てマネしている子も多いので、スキルがすごい子もたくさんいるんです。ただ、その子たちが試合出たときにどうかというと、ファンダメンタルがないから思ったほど活躍できない。それを育成年代のうちに徹底的に教えていきたいと思っています」と、基礎固めにフォーカス。その上で自身の現役時代の持ち味だったシュートにもこだわりを持って指導している。

 

全国出場などの経験がないレオヴィスタは、チーム自体の知名度という面では他の強豪クラブには劣るかもしれない。それでも、今年はU15の男子チームが「第5回U15春季リーグ」で優勝しており、経験豊富な指導者に、先を見据えたチームコンセプト、そして充実した練習環境もそろっている。特に、柏市近隣のこれからトップを目指したい選手にとっては魅力的なはずだ。

 

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