月刊バスケットボール6月号

【四国インターハイ】開志国際・介川アンソニー翔、苦い経験から飛躍「去年負け続けたからこそ、自分が頑張らなきゃと思えた」

 

フィジカル強化で攻防に大車輪の活躍

 

「来年は絶対に日本一を取ります」

 

 昨年のウインターカップ1回戦で、後に優勝を飾る福岡大附大濠(福岡県)に敗れた後、開志国際(新潟県)の介川アンソニー翔はそう言い残して東京体育館を後にした。

 

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 あれから7か月が経った今年のインターハイ。介川はファイナルの舞台を明日に控えている。大会5日目の準決勝で中部大第一(愛知県)と対戦した開志国際は、1Qこそ12-21とビハインドの展開となったが、2Qでリバウンドとディフェンスからリズムをつかむと、スーパールーキー#13平良宗龍や#15バシール・ファイサル・モハメッドらの踏ん張りで逆転。その後は一度も再逆転を許すことなく87-74で快勝し、福岡第一(福岡県)の待つ決勝戦へとコマを進めた。

 

 コート上の5人全員が自らの役目を全うしての会心の勝利だったが、その中でも介川の活躍、そして成長は抜きん出ていた。この試合ではゲームハイの36得点に加えて、9リバウンド、3アシスト、3スティール、4ブロックと攻防にわたって大活躍。この活躍には富樫英樹コーチも「今日はもう…アンソニーです」と太鼓判を押した。

 

 昨年はサイズと身体能力こそあるものの、フィジカルな相手に当たり負けしたり、ディフェンスを徹底できていない部分があったが、この試合では中部大第一の点取り頭である#5坂本康成と#4小澤飛悠に代わる代わるマッチアップ。前者に30得点、後者に20得点と数字上では多くのスコアを許したが、その数字以上に介川のディフェンスが2選手のリズムを狂わせた。

 

 オフェンス面で目立ったのがフィジカルの強さ。特にドライブを仕掛けた場面では留学生に対してもフィジカルで勝る場面があり、何度も中部大第一のゴール下をこじ開けた。「昨年から10kgくらい体重が増えています。毎日ウエイトトレーニングをやって体を鍛えて、本当に(練習で鍛えた)フィジカルがなかったらこんな戦えなかったと思います」と介川。昨年の苦い経験を踏まえて着実にステップアップした姿がそこにはあった。

 

 また、自身にマークが集中したときには味方へのパスをさばく場面も多く見られ、スタッツに残る3アシスト以上にチームをうまく回すために重要な働きも見せていたように感じられる。

 

「去年ああやって負け続けたからこそ、自分が『本当に頑張らなきゃ』と思えるようになったし、去年1年間で帝京長岡などの強いチームと何回も対戦することができたので、それで自分も成長できたと思います」と介川。開志国際に編入してから介川が常々口にしている「日本一になる」「日本一の選手になる」という目標。その目標は目の前まで迫っている。

 

 今回も取材の最後には「次の試合も波に乗って本当に日本一になりたいです」と答えた介川。果たして、今度こそ「本当に」日本一の頂を望むことができるだろうか。明日の決勝戦でも介川の活躍から目が離せない。

 

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

 

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