月刊バスケットボール6月号

【四国インターハイ2022】“SAMURAI魂”で日本航空を盛り上げる留学生キャプテン・ルース

 

 大会2日目を終えた「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ2022)」。女子2回戦で上位候補の柴田学園大附柴田学園(青森県)に挑んだ日本航空(山梨県)だったが、結果は81-94と悔しい敗戦。

 

 一時20点近くあった点差を 4Qには最大で6点まで詰め寄るなど、強豪相手に一歩も引かない戦いを見せたが、あと一歩逆転には至らなかった。

 

 しかし、追い上げの時間帯には目を見張るものがあり、そのきっかけになったのが試合トータル33得点、18リバウンドの活躍を見せた187cmの留学生センター#24ルース・ギフト・エゼキエルだった。彼女の持ち味はスタッツが表すようなインサイドでの力強いプレーで、身体能力と走力もバツグン。

 

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 加えてルーズボールにもためらうことなく身を投げ出し、味方の活躍には一番のリアクションで喜びを表現する。主力に下級生が多いチームの中では、プレーのみならず精神面での支えともなっているのだ。

 

 

 指揮を執る蒲生壮扶コーチはそんなルース(チームメイトからはこう呼ばれているそう)について「語学を学ぶために数週間だけ日本の中学校にも入っていたので、コミュニケーションもしっかりと取れますし、本当に留学生という感じがしないんです」と言う。

 

 試合中もプレーでチームを鼓舞するだけではなく、時計が止まった時間にはチームメイトを集め、積極的に声を出す姿が印象的。そんな彼女は、なんとゲームキャプテンも務めているそうだ。(チームキャプテンは#8和知萌々華)

 

 一般的に日本の高校バスケ界では実力などの有無にかかわらず、日本人選手がキャプテンを任されることがほとんど。

 

 そんな中でルースがゲームキャプテンを担っているということは、バスケット面以外の面でもチームを支えるのに適した人間性を持っている証し。ルースは「インサイドが自分の強いプレーなので、それでチームにどうやって気合いを入れていくのかを考えてきました」と、自身の強みをチームのステップアップに生かす道を考えている。

 

 留学生を擁するチームの課題として、日本人選手に留学生をいかにフィットインさせるかが肝になってくるわけだが、ルースの場合はその真逆。彼女自身がチームケミストリーを構築していく側なのだ。「日本人の選手はみんな一生懸命に頑張っています。日本とナイジェリアのバスケは全然違いますが、同じ学年の選手とは1年生の頃から一緒にバスケを教えてもらっているので、それをコートで出せるようにと意識してきました」

 

 そんなチームファーストな彼女について、月バスが独自でおこなっている出場チームアンケート内ではこんな表現がされていた。

 

“SAMURAI魂を持つナイジェリア人”

 

 インターハイでは2回戦で姿を消すこととなったが、この悔しさと経験を冬に持ち帰り、心身ともにさらにたくましいキャプテンになってくれるに違いない。

 

 

取材・文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

 

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