月刊バスケットボール5月号

大学

2022.05.08

【大学バスケ】関東トーナメント男子準決勝は対象的な戦いに

 

筑波大の攻撃をシャットアウトし

白鴎大が会心の勝利

 

※環境依存文字である白鴎大の「オウ」の旧字はこの記事内では「鴎」と表記します

 

 開催中の第71回関東大学バスケットボール選手権大会は5月7日、男子準決勝が行われた。結果的にその2試合は、思わぬ大差が開いたゲームと、最後まで分からない大接戦のゲームという対照的な展開となった。

 

 

 最初に行われた試合は筑波大vs.白鴎大。準々決勝で大東文化大を81−78で下した筑波大と、中央大を68−63で下した白鴎大による戦いとなった。

 

 接戦が予想された今試合は、意外にも一方的な展開に。カギとなったのは白鴎大の堅いディフェンスだ。白鴎大はチームNo.1のディフェンス力を誇る#33杉山裕介が、初戦の法政大戦で負傷して戦線離脱。ただ、全員に浸透しているディフェンスへの強い意識は揺るがなかった。網野友雄監督が「筑波大に対してものすごく準備してきたということではなく、特別なことは何もしていません。日々の練習で変わらないことをやってきただけ」と言うように、練習から鍛えてきた強度の高いプレッシャーで、1Qを9失点、2Qを6失点に抑えることに成功。ディフェンスからリズムを作り、オフェンスでは#0関屋心が3連続で3Pシュートを決めるなど、気持ち良く得点を伸ばした。

 

 筑波大は起爆剤の#13岩下准平を投入するなど流れを変えようとするが、対する白鴎大も1年生の#78佐藤涼成が「高校のときから(福岡第一と福岡大附大濠で)ライバルという感じでやってきて、こうやって大学生になってもマッチアップする機会をもらえたので、気合いを入れて『1本でもボールを取ってやる』という気持ちでプレーしました」と、意地のディフェンスを見せて譲らない。結局、白鴎大が42−15という圧倒的なリードを広げて前半を終えた。

 

 

 後半に入っても、#25ジョエル・モンガが豪快なアリウープダンクを決めるなど、勢いを止めない白鴎大が30点前後のリードを保った。そのまま相手の反撃の芽を摘み、83−50でタイムアップ。#0関屋が「正直もっと厳しい試合になると思っていましたが、アップからみんな集中していました。今年は今まであまり試合に絡んでいない選手も多いので、練習試合で勝った相手にも気を緩めず、みんなで声をかけ合って戦えたと思います。良い形で決勝につなげられて良かったです」と振り返るように、会心のゲームで決勝へと駒を進めた。

 

専修大が2004年以来の決勝進出

決勝のカギはディフェンスの“我慢”

 

 もう一つの準決勝は、日本大vs.専修大。こちらは大きな力の差も見られず、最後まで勝負の分からない接戦となった。ルーキー#13泉登翔の3Pシュートで先制した日本大に対し、専修大は#35久原大弥の連続得点などで対抗。その後は両チームともに控え選手も多く起用しながら引き締まったディフェンスを見せ、ロースコアな展開のまま28−22と日本大が6点リードして後半へ。

 

 後半、専修大のディフェンスを前に、日本大は約5分間無得点。その間に専修大が#14鈴木悠斗のジャンプシュートや#16浅野ケニーの3Pシュートで逆転に成功した。そこからシーソーゲームが続いたが、#44米山ジャバ偉生の3Pシュートなどで専修大が4点リード(41−37)して最終Qへ。

 

 4Q、いきなり日本大は#12コンゴロー・デイビットのバスケットカウントで先制。しかし専修大も#3當山修梧の3Pシュートなどで逆転させない。その後も緊迫した接戦となり、専修大は引き離せそうなところで相手にフリースローを許すなど、我慢の展開が続いた。ただ、残り1分45秒、専修大は#35久原が3ショットのフリースローを得て2本沈め、残り1分には#13スティーブがダメ押しのバスケットカウントをねじ込み、この勝負どころで6点リードに成功。日本大は#6野口侑真のドライブなどで状況を打開しようとするものの、一歩及ばず、57−63でタイムアップ。勝負どころを制した専修大が、トーナメントでは2004年以来となる決勝進出を果たした。

 

 

 どちらに流れが転ぶか分からない大接戦の中、専修大の選手たちからは「我慢だ!」という言葉がよく聞かれたが、キャプテンの#14鈴木いわく「今日の試合のテーマは、『我慢すること』と『ディフェンス』の2点。それをチーム全員で表現できたからこういう結果になったと思います」。佐々木優一監督も「日大のディフェンスに対して僕らが70点以上取るのはなかなか難しいと思ったので、60点台に抑えて接戦の中で勝とうというプランでした。選手たちがよくフラストレーションを溜めずに、やるべきディフェンスをやってくれた」と勝因にディフェンスを挙げていた。

 

 こうして決勝は白鴎大vs.専修大という新鮮なカードに。互いにディフェンシブで、佐々木監督の言葉を借りれば「白鴎大も、とにかく我慢強く戦うディフェンスのチーム。決勝はどちらがディフェンスで我慢できるか、という戦いになると思います」。守り合いの様相が予想される決勝戦、勝負の行方に注目したい。

 

 

取材・文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)
写真/石塚康隆



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