月刊バスケットボール5月号

中学(U15)

2022.01.07

【Jr.ウインターカップ2021-22】KAGO CLUB vs.LakeForce、切磋琢磨するライバルと競い合ったセミファイナル

 

「KAGOさんとは年に数回、練習試合もする仲なので全国大会のメインコートで対戦できるのはうれしいですね」

 

 千葉ジェッツU15(千葉)との準々決勝で勝利した後、LakeForceを率いる井門靖昇コーチはそう微笑んだ。滋賀県を拠点に活動するLakeFoceと大阪府での活動がメインとなるKAGO CLUBは、同じ近畿地区に属するいわば“お隣りさん”のような関係だ。

 

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 そんなチーム同士の準決勝が、今大会のメインコートで実現。それまでの勝ち上がりを見ると、LakeForceは倉敷南中(岡山)との初戦で63-60と薄氷を踏む勝利。2回戦は快勝したものの、3回戦のBLUE UNISON(熊本)戦と前述した千葉U15との準々決勝でも最終盤まで分からない大接戦をなんとかモノにしてきた。対するKAGOも初戦で全中優勝の白新中のメンバーが主軸となったBOMBERS(新潟)に辛くも勝利し、3回戦では前回大会ファイナリストのNLG INFINITY(群馬)に競り勝ってメインコートまで駒を進めた。

 

 下位回戦から激闘をくぐり抜けてきたライバル同士の対戦は、前半を終えて28-26とKAGOが僅かに2点をリードする拮抗した展開に。後半に入っても一進一退の攻防は変わらず、4Qを残してその差は3点(39-36)。雲行きが変わったのは4Qの中盤からだった。

 

 

 このクォーターで輝きを放ったのはKAGOのシューター#13杉本陽飛。それまで得意の3Pシュートが0/6で無得点と不振に陥っていた#13杉本だったが、4Q残り6分を切ったところから4本の3Pシュートを含む一挙16得点。重要な局面で大仕事をやってのけた#13杉本の勢いに率いられたKAGOが58-46でLakeForceを撃破した。「杉本はずっとケガばかりで、昨年の夏までそれが続いていました。彼は小学3、4年生くらいの頃にKAGOに入ってきたんですけど、すごく苦労人なんです。でも彼が力を持っていることは育てながらずっと思っていたこと。ああいう子がケガ明けでチームを引っ張ってくれたのは僕にとってもすごくうれしいですし、本人にとっても次のステージに進むための自信になったと思います」と丸田健司コーチ。大舞台で躍動する教え子の姿に目を細めた。

 

 

 決勝の相手は奥田クラブ(富山)を下したゴッドドア(兵庫)と、またも近隣クラブとの一戦に。近畿地区で切磋琢磨する3チームが4強入りしたことについて、丸田コーチは「ゴッドドアさんもLakeForceさんも近畿で昔から一緒に戦ってきた仲間です。LakeForceさんはプロ選手も輩出しているし、ゴッドドアさんは選手の体の面などをすごく細かく指導しています。育成という面で中学生世代のその先を見据えて指導している近畿の3チームがベスト4に残ったのは、すごくうれしいです」と、ライバルであり、友でもあるチームと戦えることを喜んだ。

 

 

 

 LakeForceの井門コーチも「KAGOさんは近隣のクラブなので交流もありますし、2年前には全クラ(U15クラブバスケットボールゲームス/毎年1月に愛知県で開催)の決勝戦でも戦っています。ライバルであり、良い練習相手であり…非常に刺激を受けているチームなので、そんなチームと準決勝で戦えたのはありがたかったし、勉強になりました」と、特別な思いを口にした。

 

 身近に高め合えるライバルがいることはありがたいこと。町クラブを代表する両チームの戦いは続く。これまでも、そしてこれからもーー。

 

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文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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