月刊バスケットボール6月号

【ウインターカップ2021】ライバルから頼れる仲間にーー桜花学園・朝比奈あずさと平下結貴の3年間

 

 ウインターカップ女子決勝戦は、61-57で桜花学園が京都精華学園を撃破。井上眞一コーチの通算70度目の全国大会制覇とともに、3年連続24回目のウインターカップ制覇で幕を閉じた。この試合でチームハイの16得点を挙げて勝利に貢献したのは、3年生フォワードの#6平下結貴。そして、京都精華学園の2人の留学生を相手にインサイドを死守した#4朝比奈あずさも14得点と続いた。

 

 才能あふれる両選手は、中学時代にも対戦歴がある。それは彼女たちが桜花学園に入学する直前の2019年1月に開催された「U15ジャパンクラブバスケットボールゲームス」(毎年1月に愛知県で開催)だ。

 

当時の試合が以下。白#38が朝比奈、水色#7が平下

 

 当時、ポラリスに所属していた平下と、横浜ビー・コルセアーズU15に所属していた朝比奈は同大会の決勝でマッチアップ。その試合は58-51でポラリスが制し、平下は大会MVP、朝比奈は大会ベスト7に選ばれている。ちなみにこの大会では昭和学院のエース#9田嶋優希奈や岐阜女を引っ張ったキャプテン#4古澤青依、男子では土浦日本大の#11宮内柊人、福岡第一の#88佐藤涼成といった現在の高校バスケ界の錚々たるメンバーが出場していた(宮内は大会MVP)。

 

 特に平下と朝比奈のマッチアップは手に汗握る白熱したもので、当時はスキル面で勝る平下が朝比奈とのエース対決を制しての優勝だった。そんな当時のライバルは、高校ではチームメイトとなり、毎日同じ釜の飯を食って切磋琢磨。3年後には名門を率いる両輪へと成長したのだ。

 

 

 朝比奈は平下についてこう語る。「平下はキャプテンの自分が見切れていないところを3年生として、よく周りを見ていろいろ指摘してくれたり、サポートしてくれました。プレー面では私があまりうまくいっていないときやシュートを決めきれないときに、平下がしっかりと大事な場面でシュートを決め切ってくれていました。平下は本当に桜花学園のエースだったと思うし、感謝しています」

 

【写真】ウインターカップ2021決勝ギャラリー(写真23点)をチェック

 

 平下も「朝比奈はチームキャプテンで、彼女に頼り過ぎてしまうところもありました。そんな中でもチームを声でまとめてくれたりプレーで引っ張ってくれたり、すごく頼れるキャプテンで本当に感謝しています。朝比奈は彼女自身が苦しいときでも必ずチームのことを考えてプレーしてくれていたので、本当に感謝しています」と言葉を並べる。

 

 

 コート上では常に声掛けをしながら抜群のリーダーシップでチームを率いる朝比奈と、黙々とプレーで、そして背中で示す平下。彼女たちは良い意味でお互いに異なる個性を持ってチームを引っ張っていたように思える。そんな2人のリーダーシップがあったからこそ、今年の桜花学園があり、それが夏冬2冠という結果にも表れた。

 

 華々しい高校キャリアを終え、桜花学園を卒業すれば再びライバルに戻る2人。それでもこの濃密な3年間で築いた信頼関係は、どこか別のステージで再び2人を引き合わせることになるはずだ。

 

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文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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