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2021/11/12

38年ぶりにNBA公式ボールに復活したウイルソンとバスケの深い関係

 NBAはリーグ75周年にあたる今シーズンから公式ボールを変更している。1983年以降、使用し続けていたスポルディングからウイルソンへと変わったのだ。

 

今シーズンからのNBA公式ボール

 

 ウイルソンというと、日本のファンにはテニスや野球のイメージが強いかもしれない。実際、アメリカにおいて、テニス、野球、ゴルフといったスポーツシーン、歴史とは切っても切れないブランドだ。しかし、バスケットボールにおいてもその歴史と深い縁のあるブランドなのだ。

 日本では大正時代に入ったところ、世界に目を向ければ第一次世界大戦前夜といった1913年、ウイルソンの前身となるアシュランド・マニュファクチャリング社がアメリカ・シカゴで設立された。精肉業者のシュバルツチャイルト&ザルツバーガー社が捨てていた精肉の副産物を利用しようと立ち上げた会社だった。そして、外科用の縫合糸などとともに、テニスラケット、ストリング、2種類の野球用シューズを開発して、スポーツ用品ビジネスをスタートさせたのである。

 そして1915年にはバスケットボール、室内用の野球ボールなどをリリース。そして、1918年には“J-4バスケットボール”がAAUナショナル・チャンピオンシップスの公式バスケットボールとして採用されている。AAUはアマチュア・アスレティック・ユニオンの略で、1888年に創設された伝統ある全米規模のスポーツ組織である。

 ウイルソンはアメリカのスポーツの発展とともに、他社を買収しつつ、総合スポーツブランドとして確固たる地位を築いてきた。さらに、トップアスリートたちをアドバイザーとし、そこから得た知見をギア開発に生かすといった当時としては斬新な手法で、魅力的な商材を生み出した。1922年にトップゴルファーのジーン・サラゼンを顧問に迎え入れたのを皮切りに、1923年には、かの“ベーブ・ルース“モデルの野球グラブを世に出すなど時代をリードしてきたのだ。

 バスケットボールでは1946年のNBAの創設以来公式ボールを提供。中でも1953年に発売されたウイルソンK4-Pは、最上級のレザーを使用した4層構造による品質の良さが好評を得て、後に続くモデルのベースとなった。ウイルソンのボールはその後30年間にわたりNBAで採用され続けたのだ。

 

NBAで使用されたウイルソンK4-P(1950年代のウイルソンのカタログより)

1980年代のウイルソンのカタログ。NBA公式ボールとともにアドバイザリー・スタッフが掲載されている。

 

 また、1960年代中頃からウイルソンのアドバイザリー・スタッフだったロサンゼルス・レイカーズのジェリー・ウェストが、1974年に統括マネージャーに就任している。ウェストはNBAロゴマーク(ロゴマン)のモデルとしても知られ、後にレイカーズのヘッドコーチ、ゼネラルマネージャーなどを歴任したレジェンドである。さらに、1984年にはシカゴ・ブルズに入団したマイケル・ジョーダンもアドバイザリー・スタッフに名を連ねた。

 その後、2001年からはNCAAの公式ボールに採用され、近年では3x3競技でFIBA公式ボールとなり、2020東京オリンピックでも使用されるなど、バスケットボールの歴史に寄り添い続けてきている。

 そして、今シーズンからNBA公式ボールとして復活したわけだが、ボールの感触にデリケートな選手たちにできるだけ影響を与えないようにとの配慮から、昨シーズンまでと同じ仕様の天然皮革の8枚パネルボールを採用している。

 かつて、NBAは2006-07シーズンに合成皮革の新ボールを導入したことがあったが、多くの選手たちから反発を浴び、シーズン中に従来モデルのボールに戻したことがあったからだ。

 もちろん、シーズンが開幕して、選手たちからの“違和感”が伝えられないわけではない。NBAの選手たちが、オリンピックで使うボールがいつもと違うと言うのも、必ず出てくる声である。それでもウイルソン製のボールは、多くの選手たちにとって大学(NCAA)時代にも使用した経験を持つ。NCAAモデルは合成皮革、NBAは天然皮革と違いはあるが、ブランドへの信頼感は大きい。アドバイザリー・スタッフに起用されているトレイ・ヤング(アトランタ・ホークス)はウイルソンのボールを「子どもの頃から慣れ親しんだボール」と表現している。また、ジャマール・マレー(デンバー・ナゲッツ)もアドバイザリー・スタッフに名を連ねた。2人ともボールハンドリングに優れた若手スターの代表格である。

 38年の時を超えて、再びウイルソンのボールとともに繰り出されることになったNBAのスーパープレーの数々に注目していこう。

 

(月刊バスケットボール)

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