月刊バスケットボール6月号

大学

2021.11.10

混戦の関東大学リーグは東海大が日本大を下して優勝!

2年ぶりの関東大学リーグは
日本大を下した東海大が優勝

 

アシスト王となった東海大#5河村勇輝

 

 昨年はコロナ禍で中止となったが(※代替大会として『オータムカップ2020』を開催)、関東大学リーグ戦が2年ぶりに開催された。1部は全12チームで構成され、例年2回戦総当たり形式のところ今年は1回戦総当たり。そのため毎試合が負けられない“一発勝負”となり、10月2日の開幕から11月7日の最終日まで約1か月間、熱い戦いが繰り広げられた。

 

 白星を重ねてリーグを引っ張ったのは、春のトーナメントで決勝まで上り詰めた日本大と東海大。ただ、10月23日に日本大が、翌24日に東海大がそれぞれ大東文化大に敗れて全勝チームがなくなるなど、最終日まで順位が変動する混戦模様となった。

 

 結局この両チームが1敗をキープしながら最終日を迎え、直接対決で優勝を決める形に。試合は出だしから高確率でシュートを決めた日本大が先手を打ったが、東海大も圧の強いディフェンスで立て直して逆転し、1Qは21‐19と東海大が2点リード。2Qに入っても日本大が得意とする速攻やピック&ロールをよく抑えてこのQの失点を11点に抑え、前半を終えて44‐30と点差を広げた。後半、日本大は#3米須玲音が高確率で3Pシュートを決めるが(この試合6/9本)、点差を縮めるには至らず。77‐59で、東海大が春のトーナメントの借りを返して優勝を飾った。

 

 東海大は、#86八村阿蓮が開幕時に「東海大はリーグ戦を戦いながら、インカレにもフォーカスしているチーム。一戦一戦成長していきたいです」と話していたが、その言葉どおりリーグ戦を戦うにつれチームの調子を上げていった。前十字じん帯断裂の大ケガから見事なカムバックを果たした#11大倉颯太を筆頭に、ケガ人も続々と合流してチーム力がアップ。優勝後、キャプテンの#20伊藤領は「自分はベンチにいることが多いのですが、コートとベンチの一体感をすごく感じました。1試合1試合、課題から目をそむけずにしっかり自分たちで修正できたことが良かったと思います」と振り返った。

 

 一方、準優勝の日本大は、開幕時に#22飯尾文哉が「トーナメントは勢いで勝ち上がれましたが、リーグ戦はそう簡単にはいかないと思います。ディフェンスもオフェンスも一から鍛え直してきました」と話していたように、春の優勝におごらず準備してきたことが好成績につながったのだろう。際立ったエースはいないものの、キャプテンの#74若林行宗を中心に陰になり日向になりチームを支える上級生の下で、米須や#12コンゴロー・デイビッドといった1年生も思い切り躍動。リーグ戦を終えて城間修平コーチも「リーグ戦の始めはチームとして乗り切れない試合が続きましたが、学生たちが自分たちで『自分たちのバスケットをやろう』『楽しくバスケットをやろう』と気持ちを切り替えて、少しずつ調子が良くなりました。最後は勝てませんでしたが、チームとしてはレベルアップしてリーグ戦を終えられたと思います」と手応えをつかんだ様子だった。

 

今や日本大に欠かせないガードとなった#3米須玲音

 

3位以下も実力伯仲
インカレに向け好材料を得る

 

 東海大、日本大に続いて、3位には白鷗大、4位には専修大が入った。どちらも8勝3敗で、上位2チームとも大きな実力差があるわけではない。白鷗大の網野友雄コーチは「ディフェンスの部分にはプライドを持ってやろうと話していて、練習中からハードにやってくれました。最低でもベスト4に入ってインカレのシードは取りたかったので、最高の結果ではありませんが学生たちは春からよく成長して頑張ってくれたと思います」とコメント。また、専修大の佐々木優一コーチは「リーグの入りは正直チームとしてまだまだかみ合っていない部分がありましたが、2戦目の白鷗大に敗れたところでいろいろ気付かされ、選手たちがネガティブなことばかり言い合うのではなく前向きなコミュニケーションを取って同じ方向を向けるようになりました」と語る。両指揮官ともに、この1か月間でインカレに向けた好材料を多く見つけたようだ。

 

 5位の日体大は、#28井手拓実と#23小川麻斗の2ガードを柱にスピーディーなバスケットを展開。最終日には“日筑戦”を延長戦で制し、良い形でリーグ戦を終えた。2年生で初めてのリーグ戦となった小川は「もったいない負け方をした試合もあり、もっと上位にいけたなという感じもありますが、勝ってリーグ戦を終えられたので次のインカレにもつながると思います。毎週試合が続くのは大変でしたが楽しかったです。自分個人としても、スカウティングされてマークが厳しくなったときに、最初は慌ててタフショットを打っていましたが、途中から落ち着いてプレーできるようになりました」と成長を実感している様子だ。

 

 一方、日体大に逆転負けで6位となった筑波大は、リーグ序盤からタイムシェアをしながら総力戦で戦ってきたものの、ケガ人が相次ぎ、最後は限られた人数で戦わざるを得ない形に。インカレでどの程度ケガ人が復帰してくるかはまだ未定だが、#13二上耀は「4年生として僕や半澤(#23)がもっとリーダーシップを発揮して引っ張っていかなければ勝てないと思うので、練習から突き詰めていきたいです」と覚悟を語っていた。

 

 7位には、#21渡部琉や#2内尾聡理がチームを引っ張り、久々に1部で勝ち越し(6勝5敗)となった中央大。8位には東海大と日本大にそれぞれ唯一土を付けた“大物食い”の大東文化大が入った。また、9位〜12位の早稲田大、青山学院大、拓殖大、神奈川大は、11月11日に行われるインカレチャレンジマッチで2部上位4チームと対戦する。12月中旬に開催されるインカレに向けて、こちらも見逃せない戦いとなりそうだ。

 

☆1部リーグ最終順位(チーム名、勝敗の順)
1位 東海大 10-1
2位 日本大 9-2
3位 白鷗大 8-3
4位 専修大 8-3
5位 日体大 7-4
6位 筑波大 6-5
7位 中央大 6-5
8位 大東文化大 5-6
9位 早稲田大 3-8
10位 青山学院大 2-9
11位 拓殖大 2-9
12位 神奈川大 0-11

 

☆個人賞
最優秀選手賞 佐土原遼(東海大4年)
敢闘賞 飯尾文哉(日本大3年)
優秀選手賞 河村勇輝(東海大2年)
八村阿蓮(東海大4年)
コンゴロー・デイビッド(日本大1年)
松下裕汰(白鷗大4年)
キング開(専修大4年)
得点王 渡部琉(中央大3年)190点
3ポイント王 槇野伶(青山学院大2年)29本
アシスト王 河村勇輝(東海大2年)57本
リバウンド王 ムトンボ・ジャンピエール (日体大1年)140本
MIP賞 キング開(専修大4年)

 

取材・文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)
写真/石塚康隆



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