月刊バスケットボール5月号

福岡大附若葉・中嶋そら/三姉妹で切磋琢磨するチームの支柱

福岡大附若葉・中嶋そら

3姉妹で切磋琢磨するチームの支柱

 

 11月3日に最終日を迎えたウインターカップ福岡県予選女子決勝。全国への2枚の切符を手に入れて決勝まで登り詰めたのは、夏にインターハイに出場した福岡大附若葉と、強豪・精華女を77-61で破った東海大付福岡だった。

 

 試合は接戦となったが、体を張ったディフェンスで2Q終盤から3Qにかけてリードを広げたのは福岡大附若葉。東海大付福岡の198cmの留学生#34ファール・アミナタをファウルトラブルに陥らせ、11点リードで3Qを終える。4Qでは差を詰められる場面もあったが、ルーキー#11東紅花らが勝負強いシュートを決めて逆転を許さず、81-72で6年ぶりに優勝を飾った。

 

 

 この試合、勝負の分かれ目となった4Q残り4分で、福岡大附若葉のベンチがひときわ沸いた場面があった。#4中嶋そらが冷静に1ドリブルでディフェンスをかわし、3Pシュートを決めた場面だ。味方ベンチ目の前でのプレーで、池田コーチはシュートが決まる前から確信して「よし!」と両手でガッツポーズしていたほど。

 

 3年生でキャプテンを務める中嶋は、控えから出る選手で、エースの#5加藤愛香や生きのいい下級生たちを支える縁の下の力持ち。どちらかといえば派手な選手ではないが、「ずっとチームを引っ張ってきてくれた選手。試合を良いリズムに変えてくれる」と池田コーチや仲間たちから厚い信頼を寄せられている。だからこそ中嶋の活躍にはチームも一層盛り上がり、4Qで決めたシュートにはただの3得点以上に大きな価値があったのだ。

 

 この中嶋は、三姉妹の次女。両親がミニバスチーム・壱岐リトルソニックスを指導しているバスケ一家で、長女のゆめは福岡大附若葉を卒業して福岡大、三女のとわは四日市メリノール学院中でプレーしており、カテゴリーは違えど全国レベルで活躍を見せてきた。「すごく仲が良くて、ケンカもほとんどありません。今日の朝にも、姉と妹がLINEで応援メッセージをくれました」と中嶋。

 

 コロナ禍で体育館が使えず帰省した期間には、3人でドリブル練習や屋外ゴールでのシューティングを重ねた。「それぞれ頑張って、違う場所でも三姉妹全員で全国へ、という思いはありました」と語るように、姉妹での切磋琢磨や家族の支えが、苦しい時期を乗り越えるエネルギーとなっていたようだ。

 

 キャプテンの中嶋やエースの加藤を柱に、下級生の東や#15柿元舞音らも活躍を見せる福岡大附若葉。前回出場した2015年のウインターカップでは、内尾聡菜(富士通)らを擁してベスト8という好成績を残したが、総力戦で過去の歴史を塗り替えられるか。

 

 中嶋は「インターハイは桜花学園と対戦して力の差を見せ付けられ、悔しい思いをしました。ウインターカップでは、徹底すべきところをしっかり徹底して、元気に若葉らしい走るバスケットを見せられるように。高校3年間の集大成として悔いのないようにしたいですし、家族や先生にも感謝の気持ちが伝わるプレーをしたいです」と意気込みを力強く語ってくれた。

 

 

 

取材・文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)

写真/山岡邦彦



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