月刊バスケットボール6月号

洛南が京都府1位でウインターカップへ!東山との頂上決戦は思わぬ大差が付く結果に

 

 84-66。

 

 ウインターカップ京都府予選の決勝リーグを締め括る洛南と東山の最終スコアだ。インターハイ予選では接戦の末に80–72と8点差だっただけに、今大会でも激しい戦いが繰り広げられると予想されていた。実際、この試合でも前半を終えた時点でスコアは1点差(33-34)と、東山が僅かにリードするのみだった。

 

 しかし後半開始早々、試合の流れは洛南の傾く。前半で不調だった#5大西一輝が3Pシュートを沈めて後半をスタートすると、その後もショートジャンパーやバスケットカウントなどで連続12得点。加えて、前半から徹底してきた堅いディフェンスが東山を追い詰め、3Qだけで12点の差(23-11)を付けたのだ(56-45)。

 

#5大西は試合を通してチームトップタイの17得点をマークした

 

 特にディフェンス面では攻撃力がウリの東山をわずか11得点に抑え込む堅守を披露。後半の戦いについて河合祥樹アシスタントコーチは「前半は相手のシュートもうまく入っていましたが、チームとしてやられていたというよりも個で打開されていた印象でした。マッチアップしているディフェンダーもしくはピッカーのディフェンダーが、諦めずに根気強く守り続けたことが後半になって相手のシュートが落ちたことや自分たちのリズムをつかむためのカギになったと思います」と振り返った。

 

 東山としても189cmの#5堀陽稀をポイントガードに据えたラインナップをスタメンにし、電光石火のスピードを誇る#13清水拳をシックススマンとして起用した爆発力に長けたメンバー構成で見せ場を作る場面もあった。しかし、「うまくいかない時間帯が長いとウチはこういう試合になるのですが、それを打開していくにはどうやったらいいのかがまだ見えていません。ブレイクを出す前にディフェンスでハードワークができずに決め切られていたので、全体を見ると良いリズムで攻められなかったです」と大澤徹也コーチ。

 

 エースの#4西部秀馬も得点こそ32点と目立った数字を残したが、チームとして彼に良い形でシュートを打たせることかできたかというとそうではなかった。

 

#4西部は高い得点力を見せたが、個人技に頼りすぎてしまう場面も…

 

 逆に洛南はスタメン5人に加えてシックススマンの#8杉信イフェアニが躍動。ディフェンスでは一番に声を出してハッスルプレーで相手を封じ、オフェンスではフィジカルとスピードを生かしたドライブでリングに襲いかかった。また3Pシュートも要所で2本成功の15得点。洛南は彼を筆頭に計5人が2桁得点を録するバランスの取れた試合運びで4Q早々に勝負を決めた。

 

「インターハイではシューターの選手たちがアウトサイドから気持ちよく打つことができませんでした。縮こまってしまって打ち切れない、あるいは打ち切らないといけない場面で打たないこともあったので、そういう意味では(今日の試合は)全員がボールを触りながらリズムを作って、しかるべきところで打つという感覚が少し分かってきたような気がしました」と河合Aコーチ。

 

 杉信も「大西の3Pが前半は入りませんでしたが、ハーフタイムで先生も自分たちも彼に声をかけました。やっぱり大西に点を取ってもらわないと、点が伸びない時間帯は苦しいので、彼が3Pを後半に決めたりドライブを仕掛けていったことが勝利につながったと思います。そして、それをチームで作れたこともよかったです」と勝因を分析。

 

 もちろん「前半は自分たちの流れで進められていたので、僕はシックススマンとして流れを崩さないようにと思ってプレーしました。先生からも自信持っていけと言われていたので、自分のプレーを見せて点に絡むことができたのでよかった」と、一定の自己評価も下していたが、活躍してなお「僕はチームに活力を与えるタイプの選手」と自身の立場を理解する謙虚さもあった。

 

ゲームチェンジャーであり、ムードメーカーでもある#8杉信

 

 杉信を例にとっても勝因にエースの名を挙げるチームファーストな姿勢が、この試合でも洛南の崩れない戦いぶりに影響していたはずだ。「まだ試合経験が多くないので、どこまで完成形に近付けるのか分かりませんが、一つ階段は上がれたかなと思います」と河合Aコーチ。一つの山場を越えたことでチームの形も少しずつ見えてきている様子だ。

 

 逆に敗れた東山の大澤コーチは「今日の試合でうみを出しましたし、こんな結果でも本戦に出られるわけですから、この負けを僕も含めてチームでどう受け止めていくかです。3年生にとって(ウインターカップは)最後の舞台ですが、同時に下級生に経験を積ませる場でもあります。だからこそ、3年生にはもう一度意地を見せてほしい」と危機感を募らせ、会場を後にした。

 

 京都府内での今年最後のライバル対決は思わぬ大差が付いた。ウインターカップ本戦まで残り約2か月で両校がどんなチームに進化しているのか、楽しみに待ちたいところだ。

 

 なお、女子の京都府代表はインターハイ3位の京都精華学園が磐石の1位通過。2枠目には決勝リーグで2勝を挙げた京都両洋が出場権を獲得した。京都両洋は初めてのウインターカップ出場となる。

 

写真/松村健人

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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