月刊バスケットボール5月号

打倒・洛南高&東山高を掲げ 悲願の全国大会出場へ向けて突き進む鳥羽高

ハードワークで勝利をつかみ取る

「オール京都」の実力校

 

10月22日~24日、30日~31日の日程で行われる予定のウインターカップ京都府予選。京都からは2チームが全国大会に出場できるが、近年は洛南高と東山高の2強時代。昨年のウインターカップでは東山高が準優勝、洛南高が3位と全国トップクラスの実力を誇る。

 

そんな中、府3位につけるのが公立校の鳥羽高だ。キャプテンの#13半田西之介や力強いリバウンドでチームを盛り立てる#91杉村真瞳ら実力者がそろうチームは、6月の近畿大会ではベスト8。同大会2回戦で大阪府代表としてインターハイを戦った大商学園を下すなど、その力は全国レベルの相手にも引けを取らない。

 

 

旧京都二中の校地を継承する形で開校したのは1984年。バスケット部は男子部のみならず女子部もインターハイ予選で準優勝と好成績を残しているが、ほかに陸上競技部や水泳部なども強豪で、今年、ウエイトリフティング部からはインターハイ優勝者が出るなどスポーツにも力を入れている。

 

「選手を育てることが目標としてありますが、まずは基礎となる人間力に一番こだわって指導しています。ハードワークすること、一生懸命に真摯に取り組むこと、手を抜かないことや向上心を持って取り組むことなど。そういう部分は常に意識しながら練習していて、チームとしてもハードワークをして勝利をつかみ取るというスタイルがベースにあります」と福嶋一夫コーチ。「将来的にバスケットを長く続けて、大人になってもそれを伝えていけるような子たちを高校3年間で育てていきたいです」と指導への思いを口にする。福嶋コーチも同校バスケ部のOBであり、自身がそうであったように現役生に対しても思いは変わらないのだ。

 

そんな伝統に憧れて鳥羽高を選ぶ選手も多く、そのほとんどが地元・京都府の出身者。「オール京都はウチやろって選手にはよく言います。京都の中で一番応援してもらえるようなメンバーが集まっているのはウチだと思っているんです。中学校の先生たちも鳥羽に京都府1位を目指す向上心と野望のある選手を送っていただいているという自覚をもって、恩返しをしていきたい」と福嶋コーチ。

 

どうしても越えたい洛南と東山の壁

メンタル面の成長が悲願達成のカギとなる

 

とはいっても、2強の牙城はそう簡単に崩せるものではなく、これまで鳥羽高が全国の舞台に立ったのは1998年のウインターカップの一度だけ。現役生たちも何度もその壁に何度も跳ね返されてきた。

 

そんな中、福嶋コーチは「選手たちに『リミッターを外せ、自分らが洛南高や東山高よりも下やっていう気持ちだけは絶対に持ったらあかん』という話を常にしています」と言う。現時点では「(洛南高と東山高が相手だと)出だしで相手のスピード感や当たりの強さに面食らってしまうことが多いんです。メンタル的なところを乗り越えられていない」という状況だが、それは選手たち自身も重々承知のこと。実力はあってもなかなか大舞台に立てないことで、それがどの程度のものなのかが測りづらい。

 

そういったもどかしさはもちろんあるが、「高校バスケの真のチャンピオンを決めるのはウインターカップです。それは選手たちにも話していて、ここまでの大会は成長過程であり『ここからが本番だ』とモチベーションを上げられるように促しています」と福嶋コーチ。#13半田も「目指しているのはあくまでも(京都府で)1位」と気持ちは揺るがない。洛南高と東山高は雲の上の存在ではなく、倒すべきライバルだという意識を持っているからこそ、ほかの選手たちも口々に「自分たちの代で2強を倒したい」と冬への決意を込めている。「鳥羽のレベルアップが京都府全体のレベルアップにもつながると思っているので、2強ではなく3強と呼ばれるように、もっと頑張っていきたいと思います。そして、本番は自分たちの力を信じられるかどうか、それだけです」と福嶋コーチ。

 

相手が強ければ強いほど、全国大会への道は険しいものになっていく。洛南高と東山高が全国上位チームである限り、鳥羽も“全国レベルの実力校”で止まっているわけにはいかないのだ。敗れていったOBたちの思いも背負い、チームは今年最後の大一番、ウインターカップ京都府予選に備えている。



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