日本代表

2021.10.02

バスケットボールファミリー皆の力が結集した東京2020オリンピック。その取り組みを評価し次のステップに進もう

1勝に届かなかった男子代表。ディティールを求めていく土台はできた

─男子代表の戦いぶりを振り返ってください。
「5人制男子については何とか1勝を挙げて、決勝トーナメント進出を果たしたいといったことが目標でした。そのシナリオはいくつかありましたが、OQTから最後に決まったスロベニアがとても強く、予選最後に当たるアルゼンチンがターゲットになるというのが、可能性が高いだろうと考えていました。しかし、他チームの状況によっては、対戦前に予選敗退が決まってしまう可能性があったのですが、アメリカがチェコに35点差を付けて勝ってくれたことで、アルゼンチンに勝利すれば、決勝トーナメント進出が可能になるという最高のシナリオになったのです(日本が決勝トーナメント進出を果たすには、得失点の兼ね合いでアメリカがチェコに32点差以上付けることが条件だった)。しかし、そのチャンスを生かすことはできませんでした。
それまでの国際強化試合から含め、戦いぶりはワールドカップの時より飛躍的によくなったと思っています。初戦のスペイン戦も77-88と見どころのあるゲームを展開できました。ここまで階段を上ってきたという感触は得ていました。しかし、世界の舞台で勝ちを得るために、ここぞというときに何ができるのかという課題が残りました。
例えばスロベニア戦、ルカ・ドンチッチが3ファウルでベンチに下がった場面。ここで何かを起こさなければならなかったわけですが、何も局面が変わらなかった。逆に点差は広がっていってしまった。最後の6分間はいったい何だったのか。アメリカが点差を付けてくれたからよかったですが、35点も差を付けられるのではなく、もっと点差を詰め、悪くとも20点以内にしておかなければならなかった。
そしてアルゼンチン戦。4点差までいきました。しかし、ここからなぜ点差が広がっていってしまったのか。確かに、ギャビン・エドワーズの故障の影響もありましたが、そうしたことも含めてチーム力であり、まだまだ底上げが必要なのです」


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─世界の大会で1勝をあげるために足りなかったことはなんでしょうか。
「ワールドカップの5連敗、オリンピックで3連敗。チーム力は向上していますが、これが結果です。次のワールドカップ沖縄大会では、中国、イラン、フィリピン、韓国といったチームよりもしっかりと上位に入り、パリオリンピックに出場しなければなりません。
しっかりと検証し、何が足りてなくて、どうすれば勝てたのかを導き出して、どういう体制で臨むかを決めていかなければなりません。もちろん、その準備は進んでいます。
8月11日に、大会総括の会見を行いましたが、その時点からパリオリンピックまで1080日でした。時間は東京オリンピックに向かう時より少ないのですが、何をどうすればいいのかといったおぼろげな絵は描けるようになってきています。目標ははっきりと見えています。
それはアジアのトップになること。それは世界のベスト8に入る力です。八村塁、渡邊雄太といったスター選手に頼りきりになるのではなく、チームとして力を付ける。ハイパフォーマンス(代表チーム)は、世界で勝つための戦術をちゃんと持っているか、チームとしてどう戦っていくかを確立していかなければなりません。スーパースターがアイソレーションして戦っていけるほど、世界のバスケットボールは甘くありません。もちろん、スイッチなどの展開の中でのアイソレーションは効果的な場合もありますが、そこに至るまでの戦術が必要です。
例えば、女子はしっかりとそれを構築していました。町田瑠唯選手は、大きな選手がスイッチしてくるまでアイソレーションを始めません。大きい選手に付かれ、速さのミスマッチをうまくつき、アシストにつなげていきます。決勝でのアメリカは、そこをシュートしかできない状況に追い込み、ブロックに行くという対策を採ってきましたので、新たな課題が見えました」

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