月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2021.09.23

信州移籍の岡田侑大、古巣との開幕戦まであと9日

 

 昨シーズンの富山グラウジーズは大黒柱のジュリアン・マブンガと巨漢センターのジョシュア・スミスを軸に、東地区からチャンピオンシップに進出。敵地での琉球ゴールデンキングス戦では、最終第3戦で敗れたものの、大きな飛躍を遂げたと言える。

 

 その立て役者がマブンガであり、スミスであり、司令塔の宇都直輝であったことは確かだが、岡田侑大、前田悟、松脇圭志ら若手の活躍も大きくフィーチャーされることとなった。今オフに前田は川崎ブレイブサンダースに、松脇は三遠ネオフェニックスへと移籍。そして岡田も新天地として信州ブレイブウォリアーズを選んだ。

 

 岡田自身にとっても飛躍の1年となった富山を離れることは、容易な決断ではなかったことだろう。

 

 プロ転向以降、それまでの自身中心のオフェンスシステムからチームオフェンスの一つのオプションという立ち位置で戦うことに苦戦してきた岡田にとって、富山でマブンガと宇都というトップクラスのクリエイターの横でプレーできた経験は、自身のBリーグでの立ち位置を明確なものとさせたはず。富山では時に得意の1オン1で対戦相手を翻弄する場面もあり、自身がメインハンドラーとなるケースと、オフボールで動くケースをうまく使い分け、3番手や4番手ながら非常に伸び伸びとプレーしていた印象さえあった。

 

 信州ではより、チームバスケットを強調した戦い方にアジャストする必要があり、岡田自身も「富山では1オン1で点に絡む場面が多かったですが、信州はもっとチームでオフェンスを組み立てていくので、ピック&ロールがとても大事になってきます。シュートを打つだけではなくて、ドライブからのキックアウトなどコーチに求められていることをしっかりとこなしていきたい」と、新しいチャレンジへの強い意気込みを口にした。

 

 また、学生時代からの課題であったディフェンス面も新天地でのチャレンジの一つ。昨季チャンピオンシップで見せたアグレッシブなディフェンスを継続し、「信州のカルチャーでもあるディフェンスを徹底してやれれば良いと思います」と岡田。攻防で存在感を放つ危険な2ウェイプレーヤーへの進化が、信州で見られるかもしれない。

 

 開幕戦の相手は奇しくも古巣・富山でのアウェイゲーム(富山市総合体育館開催)。富山ブースターは岡田を温かい歓声で迎えるだろう。だからこそ岡田も、「1年間成長させてもらったクラブなので、成長した姿を見せられればと思います」と活躍を誓っている。

 

 富山には岡田と入れ違いで加入した元信州の小野龍猛が在籍している。互いの手の内を知り尽くした選手が対戦相手にいるという面でも、注目のマッチアップとなるはずだ。オフェンスの富山か、はたまたディフェンスに勝る信州か。開幕戦まであと9日だ。

 

写真/©︎B.LEAGUE

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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