月刊バスケットボール5月号

最後のハーフコートショットは惜しくもこぼれ… 小林が盛岡白百合学園の猛追を振り切り3回戦へ【インターハイ2021】

 大会2日目、Bコートの2試合目の小林(宮崎)と盛岡白百合学園(岩手)の対戦は、序盤からお互いの意地がぶつかり合うつば迫り合いとなった。

 

 初戦で東海大付諏訪(長野)に快勝した小林は、#4永田姫舞と#7八十川ゆずゆを起点に巧みなゲーム運びから得点を重ねていく。一方、シードを得てこの試合が初戦となった盛岡白百合は、開始早々からアグレッシブにディフェンスで仕掛け、オフェンスでは#4佐藤実花がチームをけん引。お互いに持ち味を発揮する場面、消し合う場面が続きどちらもリズムがつかみきれない中、1Qは終盤に#11畠山恵衣が3Pをきっちりと決め切った盛岡白百合が点差を詰め寄るが、27-22とリードしたのは小林。

 

 2Qに入ってもお互いに譲らぬ攻防が繰り広げられ、盛岡白百合#4佐藤らを軸に1点差(40-39)で前半を終える。この2Qではお互いに決まれば流れを引き寄せられるという場面でことごとくシュートがリムに弾かれ、我慢の時間帯が続いた。

 

#4佐藤は前半だけで20得点の活躍を見せた

 

 しかし後半、試合のリズムは一気に小林に傾くこととなる。エースの#7八十川が「前半は向こうの流れに押されていた自分たちがいましたが、ハーフタイムに先生が『自分たちのすべきことをしよう』と話してくれて、それで共通理解ができました」と、相手に翻弄されていた気持ちから、もう一度自分たちにフォーカスすることができたことで小林らしいバスケットを体現。

 

 全員でハードに動き回り、勝負どころまで取っておいたというゾーンディフェンスも機能。#4永田のアンドワンレイアップ、続けて#7八十川と#6上之原里香が3P、さらにディフェンスリバウンドを速攻につなげ、#5永野実紗季が2本のレイアップを沈めて10点差。最終的には68-59で3Qを終えた。

 

 

後半でリズムを掴んだ小林。#7八十川(上写真)と#4永田がチームをけん引した

 

 流れは完全に小林と思われたが、しかし…。盛岡白百合が最終クォーターで息を吹き返す。後半に苦戦していた小林のゾーンをうまく切り崩し、怒涛の得点ラッシュで残り2分余りの場面では#10山下が3Pをねじ込んで2点差。さらに直後のオフェンスで#11畠山が3Pをヒットし、とうとう逆転に成功する。それでも小林も#4永田がタフなレイアップを決め切って81-80と再逆転。僅かに1点をリードして試合は最終局面を迎えた。

 

 残り12.7秒の時点でポゼッションは小林。盛岡白百合は懸命にボールを追うも小林は軽快なパス回しで残り5秒、ショットクロックぎりぎりの場面で#6上之原が3Pを放つ。

 

 しかし、これがリングに弾かれボールは盛岡白百合#10山下の元へ。3秒、2秒、1秒…。#10山下がハーフラインから放ったロングスリーはリムの奥に吸い込まれかけたものの、寸分の狂いでネットを揺らすには至らず。小林が僅か1点差(81-80)で3回戦進出を決めた。

 

#10山下は要所での3pなどでチームを支えたが、ラストショットは惜しくも決まらず

 

 薄氷を履む勝利に小林・橘裕コーチは「追い上げられる展開の中でディフェンスが切れなかったのが1番の勝因です。そこが切れると小林らしくないので。最後は追い付かれてしまいましたが、勝ったという意味では選手たちを褒めてあげたい」と安ど。#7八十川も「3Qでしっかりとリバウンドを取って走れたところがポイントでした。それが小林のスタイルなので、連続で持ち味を出せた場面が勝利につながりました」と勝因を挙げた。

 

 3回戦の相手は地元・新潟県代表の開志国際となる。「相手は自分たちよりも格上だと思っていますが、小林らしいバスケットをすれば流れはこっちに来ると思うので、それを貫きたい」と#7八十川。この山場を乗り越えれば次はベスト8だ。

 

 

写真/石塚康隆

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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