月刊バスケットボール8月号

Bリーグ

2021.03.01

河村勇輝(横浜)vs米須玲音(川崎) 運命のマッチアップ再び!

 2月27、28日のホームゲームは横浜ビー・コルセアーズにとって特別なものとなった。2011年に当時bjリーグのクラブとしてリーグ入りした“ビーコル”は今季で10周年を迎えた。

 

 その10周年記念ゲームが今節だった。対戦相手もこの上ない。川崎ブレイブサンダース、神奈川ダービーだ。また、今節は特別指定選手としてチームに合流していた河村勇輝の今季ラストゲームとなった。

 

 節目となる出来事や同じ神奈川県を本境地に活動するライバルとの対決など、今節は見どころ万歳だ。

 

 その一つが河村勇輝vs米須玲音のマッチアップ。2019年のウインターカップ準決勝で激闘を繰り広げた福岡第一と東山を率いた両ガードがBリーグの舞台で再び合いまみえる。直接マッチアップする可能性こそ低かったが、この対戦カードを見たファンならば少なからず期待していかことではないだろうか?

 

日本代表クラスの選手とのマッチアップは河村にとって大きな刺激となる

 

 試合は川崎がリードする展開で進み、前半は43-32。横浜もアウトサイドの不調と主力の相次ぐ故障に苦しめられながらも食らい付いていった。河村はこの試合で15試合目にして今季初先発を任され、昨季のリーグベストディフェンダー藤井祐眞、日本代表候補の篠山竜青に対して冷静なゲームメイクとディフェンス面での貢献が目立った。

 

 しかし、第3Qで川崎が3Pシュートを連発し一気に差を広げると第4Q残り1分57秒の時点でスコアは83-65。ゲームの結果がほぼ決定したタイミングで運命の瞬間が訪れる。川崎が米須を投入したのだ。コートに入るやいなや米須は河村に挨拶。それを受けた河村も米須のお尻をポンとたたいた。「特別な気持ちがあったわけではありませんが、ウインターカップで対戦してから約2年ぶりに、より高いレベルでマッチアップできて、お互いの成長も感じられたのでよかったです」と河村。

 

米須は川崎での経験を大学に持ち込むこととなる

 

 河村からしてみれば目標はもっと上にあり、米須はその河村に追い付け、追い越せという思いで高校バスケに打ち込んできた。米須は川崎の加入会見で河村との対戦について「2019年のウインターカップで注目される中で戦って負けてしまい、悔しい思いをしました。自分がもし横浜戦で試合に出られれば、真剣勝負で河村さんとマッチアップして、その数分、数秒で自分のプレーを皆さんに見ていただければと思います」と思いを口にしていた。

 

 実際に共にコートに立った時間はわずか43秒。2ポゼッションほどだったが、その瞬間を待ちわびたファンにとっても米須にとっても夢のような時間だったに違いない。

 

マッチアップする時間は短かったが、この瞬間は感慨深いものだった

 

 河村は1月28日の試合をもって特別指定選手としての期間を終え、大学バスケに戻っていく。そして、米須もすぐに日本大への進学を迎える。同じ関東1部に属する両校はルーキーズトーナメントやオータムリーグ、インカレなど多くの場面で対戦していくことだろう。

 

 河村vs米須。今はまだお互いに夢半ばの2人が大学でライバル関係を築き、それをBリーグへ、日本代表へ持ち込んでくれたとするならば…。現時点では考え過ぎかもしれないが、考えるだけでワクワクすることではないだろうか?

 

写真/石塚康隆

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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