Bリーグ

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2021/01/29

B1の荒波にもまれる八村阿蓮(SR渋谷)「細かいところを積み重ねることで結果が付いてくる」

 満22歳以下の優れた選手に対してプロの舞台を経験する機会を与えるべく導入された特別指定選手制度を使い、今季も多くの学生選手がBリーグの荒波に揉まれている。中でも東海大に所属する選手の多さには目を引かれるものがある。昨年のインカレを制した名門チームからはキャプテンの津屋一球(三遠)、西田優大、伊藤領(ともに新潟)、大倉颯太(千葉)、佐土原遼(広島)、坂本聖芽(名古屋D)、河村勇輝(横浜)がB1で戦っている。

 

 そして、その東海大の大黒柱として活躍した八村阿蓮もまた、B1で戦う一人だ。198cm、98kgの体格で高校、大学とインサイドを制圧。留学生にも引けを取らないフィジカルで東海大ではPFを担っている。

 

課題に挙げたリバウンド面では奮闘するシーンも

 

エース不在の事態でローテーションの一角としてコートへ

 

 そんな八村が所属するサンロッカーズ渋谷は、1月27日の第18節で東地区のライバル川崎ブレイブサンダースと対戦。この試合はエースのライアン・ケリーが不在で、先発を務めるチャールズ・ジャクソンとジェームズ・マイケル・マカドゥへの負担を軽くすべく、日本人ビッグマンの野口大介と八村にもまとまったプレータイムが与えられることとなった。

 

 最初の出番は第2Q残り7分56秒で訪れた。このときのマッチアップは208cmのジョーダン・ヒース。大学では高さでも幅でも自分よりも大きな選手はほとんどいないが、B1でのマッチアップマンは必然、外国籍選手だ。「(外国籍選手は)身長も大学でやっている留学生よりも大きいし、ウィングスパンも長いので、リバウンドのところで押し込まれたりというのはすごく感じていて、そこでしっかりボックスアウトして体を張って取ることが、これからは必要になってくると思います」と八村。肌で感じるトップリーグのレベルは想像以上の高い。

 

 外国籍選手だけでなく、日本人のフォワード陣やガード陣もより一層フィジカルなプレーを仕掛けてくる。この試合で八村は計9分4秒のプレータイムを与えられたが、その中で4ファウル。最初のファウルは藤井祐眞へのシューティングファウルだった。こうした面でもB1の洗礼を受けた形だ。ただ、ファウルがかさむことは必ずしも悪いことではなく、伊佐勉HCも試合前に八村にイージーな得点を決められそうになった場面ではファウルで止めても構わないという指示を与えていたそうだ。

 

 八村もこの事実についてはプラスに捉えている。「(ファウルが多かったのは)積極的にディフェンスをやれた結果だと思います。(ローテーションメンバーとして出た)最初の試合で緊張もしていたけど、これからこういう試合が続くと思うので結果も残していきたいです。数字だけ見たら良くないかもしれないけど、細かいところを積み重ねることで必然、数字として結果が付いてくるのかなと思います」(八村)。

 

 

 オフェンス面に目を向けると、この試合では2本の3Pシュートを放ったが、いずれもネットを揺らすことはできず。違う場面ではトランジションから渡辺竜之佑が相手ディフェンスを引き付け、ゴール下に構える八村に絶妙なパスを送ったが、キャッチすることができなかった。普段ならば成功していたであろうこうしたプレーも緊張や迷いから、結果的に失敗に終わってしまったが、それらも一つ一つが経験であり、八村自身が口にした「細かいところ」を改善していけば必ず実を結ぶはずだ。

 

 前節の滋賀レイクスターズ戦に続くB1での2試合目。またしてもBリーグ初得点はお預けとなったが、多くの出場機会を与えられたこの試合での経験は、また一つ八村を成長させたに違いない。

 

 

この試合ではヒースやマティアス・カルファニ(写真左)とのマッチアップを経験

 

将来的なポジションアップも見据えて

 

 現時点でPF専門の八村にとってはプレーエリアの拡大も一つのテーマだ。この試合でアウトサイドショットを2本放ったようにインサイドで面を取ることはほとんどなく、コーナーやウィングポジションで待ち構える場面が多かった。これはポジションアップを見据えていることの他ならない。本人もポジションアップについて前向きで「いきなりポジションアップをして3番(SF)というのではなくて、個人のワークアウトの中でドリブルやドライブ、3Pシュートの練習をしていて、(将来的な)ポジションアップを見据えてやっている」そうだ。

 

 外国籍選手の登録可能人数が増えたことや帰化選手、アジア特別枠の導入によって日本人ビッグマンが活躍できる場は限定されつつある。さらに、今季からはガードやウィングのポジションにも外国籍選手を獲得するチームが増えたことで、今ではどのポジションであっても日本人選手が生き残るためには、より一層のレベルアップが求められる。

 

 八村自身もその危機感を持っているのだ。

 

 これまで磨いてきたインサイドでの巧みなプレーを根底に置きつつ、ウィングプレーヤーとしても自らボールプッシュしていく力、外角のシュートを決め切る力は、これから八村自身の活躍の場を広げるという意味でも取り組んでしかるべきところ。チームメイトにも手本となる選手がいる。元NBA選手のケリーだ。211cmの長身ながら、時にはゲームメーカーとしても活躍するケリーは文字通りのオールラウンダーであり、登録もSF兼PF。経験の面でも技術の面でも、八村にとってこれ以上の手本はいないだろう。

 

 大学の活動が再開するまでのわずかな期間ではあるが、初めての特別指定選手制度の活用が八村にどのような変化をもたらすのか。今後に注目だ。

 

写真/B.LEAGUE

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

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