月刊バスケットボール5月号

【関東大会・女子1日目】作新学院の勝利の女神は…

 Bブロックでは、地元・栃木からの代表校が健闘を見せた。

 

 まず栃木3位の宇都宮文星女は、富士学苑(山梨)と対戦。#5奈良梓沙、#12植竹凛、#16松本望空の活躍などで前半を40‐34とリードして折り返したが、3Qになるとターンオーバーが増えリズムを崩してしまう。その間に富士学苑は#4岩井琉姫、#13桑原鈴の3Pシュート、#9白須愛叶のジャンパーなどで57‐55逆転に成功する。

 

 

 そして迎えた4Q、富士学苑は#8高村美空(この試合36得点の大活躍)の3Pやフェイダウェイジャンパーなどでリングを射抜くが、他の選手の得点が伸びず流れを掴めない。対する宇都宮文星女は、#5奈良がドライブやペイントアタックからのキックアウトといったチームを勢いづけるプレーを見せれば、「体の強さを生かして死ぬ気でディフェンスリバウンドを取って相手にセカンドチャンスを与えず、ゴール下のシュートは絶対に決めようと思っていました」と言う#12植竹も力強いポストプレーで加点。さらに#6宮原あいり、#16松本も得点するなど相手に的を絞らせない攻撃で効率良く得点した宇都宮文星女が再逆転すると、そのまま72‐70で振り切った。

 

 

 

 また栃木4位の作新学院は、千葉英和(千葉)と対戦。1Qは#67大場つぐみ、#77富澤玲奈、#24栗原睦稀、#12森山叶稀の3Pシュートが立て続けに決まったことで17‐15とリードするも、2Q以降は千葉英和に主導権を握られ、3Qを終え39‐44と追いかける展開に。

 

 

 4Q、千葉英和は#4横山青南のドライブや#15小林咲穂の3Pシュート、#8薬師神心のリング下などでじりじりと引き離しにかかり、残り5分で59‐49と差を広げていく。このときキャプテン#24栗原は「チームが一つになっていない」と感じ、#77富澤は「このままだと負ける」と思ったという。

 

 

 しかし2人には、そのまま諦められない理由があった。それは、本来ならスタメンの#2田中音羽がケガで試合に出られていなかったこと。その田中の気持ちも背負って戦っていたからこそ、まずはチーム全員がディフェンスで奮闘。そして奪ったボールを#24栗原と#77富澤のコンビで着実に得点に結び付け、残り1分で62‐64と迫ると、残り23.8秒で#77富澤がドライブからのバスカンも決めて65‐64と逆転に成功する。

 

 

 その後、千葉英和はフリースロー2本を得て再逆転するチャンスがあったが、これが2本とも外れてしまう。逆に作新学院は#77富澤が得たフリースローを2本とも決め、結局、67‐64で勝利。ケガで出てなかったとはいえ、チームを一つにした勝利の女神は#2田中だった。

 

取材・文○高木希武
写真○石塚康隆



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