八村塁(ワシントン・ウィザーズ)の恩師が日本の指導者に伝えたかったこと[JBA全国コーチクリニック]
熱心に指導するロイド氏(左)
8月3日、全国バスケットボールコーチクリニックが法政大二高(神奈川)にて行われた。このクリニックは日本バスケットボール協会が主催し、バスケットボールコーチの指導力向上のために定期的に開催されているもの。有資格のコーチは、こうした日本協会や都道府県協会などが主催するクリニックへ参加し、指導力向上に努めることが求められている。
今回の全国コーチクリニックの講師と登場したのが、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)のゴンザガ大での恩師であるトミー・ロイド氏。2019年ゴンザガ大のアシスタントコーチを務め、八村のリクルートにもかかわり、その育成にも当たったロイド氏は、いわば八村の大学時代の恩師である。
クリニックの内容は個人スキルの育成に重点を置いたもので、八村も日々取り組んできたトレーニングだ。そして、細かな部分までチェックし、一つずつステップアッブしていくように、クリニックを進めた。
「今の若い選手たちにとって、八村選手がいい見本となっています。彼が成し遂げたことを、自分にもできるのではないかという具体的なビジョンになっているはずです。そういう若い選手たちをどう育成していくのか、八村選手に続く選手を育成していくことが重要です」とロイド氏。そして「八村選手は才能のある選手でしたが、それだけでなく本当に努力を積み重ねてきたことを知ってほしい」と熱く語り始めた。
「同じように才能のある選手たちのなかで、より速く、より強く動き、より強い気持ちで戦う必要がありました。さらに英語もほとんど話せませんでした。プロになってからアメリカにやってきた野球選手たちのように、サボートスタッフを引き連れてきたわけではありません。孤立無援の状況のなかで、バスケットボールをし、さらに大学の勉強も行わなければなりませんでした。バスケットボールも勉強も毎日、毎日、一歩ずつ積み上げてきたのです」
今回のクリニックを通じて、さまざまなドリルや指導論などが伝えられたが、何よりコーチ自身の情熱の大きさが重要であることを、集まったコーチたちは感じたに違いない。
(月刊バスケットボール)