月刊バスケットボール6月号

NBA

2020.01.27

NBAのレジェンド、コービー・ブライアントが急過ぎる死…

 

 日本時間1月27日の早朝、衝撃的なニュースが世界を駆け巡った。2016年に現役を退いたNBAの元スーパースター、コービー・ブライアント(元レイカーズ)がアメリカ・ロサンゼルス郊外でヘリコプターの墜落事故により命を落とした。次女のジアナらとともに試合観戦に向かう途中だったそうで、コービーらを含む搭乗者9人全員が帰らぬ人に。

 

 この訃報には世界中のバスケットボールファンをはじめ、各チームのコーチ、コービーの元チームメイトや彼をロールモデルに育った現役のNBA選手から悲しみの声が寄せられている。コービーとともにレイカーズで3連覇の偉業を成し遂げたシャキール・オニール(元レイカーズほか)は自身のSNSで「ジジ(ジアナの愛称)と兄弟であるコービーを失うという悲しい出来事を表す言葉が浮かばない。愛しているし、悲しくなるだろう。コービーの家族をはじめ、搭乗者の家族にお悔やみ申し上げます。今、病んでいる…」と、胸の内をつづった。

 

闘志を全面に押し出したプレーは人々の脳裏に焼き付いている

 

 また、ホークスのトレイ・ヤングはこの訃報を受けて通常の背番号11に代わり、コービーの現役前半の背番号8を着用。コービーを尊敬するデビン・ブッカー(サンズ)やデマー・デローザン(スパーズ)、ポール・ジョージ(クリッパーズ)らもその悲しみは深く、数々の激闘を繰り広げてきたライバルの一人ポール・ピアース(元セルティックスほか)はSNSで「#RIPMamba」と一言。そのピアースらとファイナルでコービーを相手に名勝負を繰り広げたドック・リバース(クリッパーズHC)も「今はみんながレイカーズファンだ。今日だけは全員がレイカーズなんだ」と言葉を詰まらせた。この出来事の数時間前にコービーの通算得点を抜き、NBA歴代3位の総得点数を挙げたレブロン・ジェームズも目標であり、ライバルであり、親友でもあるコービーの訃報に崩れ落ちるように涙を流すなど、それぞれが思い思いにコービーとの時間を振り返った。

 

2010年の優勝会見(左から長女ナターシャ、コービー、次女ジアナ)

 

 この日に行われた試合では各会場でコービーの死を悼むアナウンスが流れ、試合開始直後にショットクロック・バイオレーション(24秒)を各チームが意図的に犯した後に試合が開始される(コービーの現役時代の背番号が24のため)というNBAからコービーへの弔いの儀が行われた。

 

 今や伝説の試合となった2006年の“81点ゲーム”、5度の優勝にシーズンMVP、オリンピックでの2度の金メダル、引退試合での60得点など、コービーが我々に与えたインパクトやNBAでの功績は数え出したら切りがない。引退後も自身のバスケットボール人生を描いたショートムービー『Dear Basketball』がアカデミー賞のベストアニメーテッド・ショートフィルム賞を受賞するなど、引退後の活躍にもますますの注目が集まっていた。

 

 そんな矢先の出来事だっただけに衝撃は大きかったが、コービー・ブライアントという男は最期まで壮絶な人生を歩んだとしか言いようがないだろう。今を生きるバスケットボールを愛する全ての人々に大きな影響を与えた“ブラックマンバ”の生涯に最大限の敬意を表し、コービーとその家族、亡くなった全ての方々のご冥福をお祈り致します。

 

REST IN PEACE KOBE BRYANT…

 

 Photo by Tomoaki Sasaki

(月刊バスケットボール)



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