月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.01.01

渡邊雄太12試合連続出場、ラプターズは勝利で2021年を終える

 日本時間の2022年元旦(北米時間2021年12月31日)に行われたトロント・ラプターズ対ロサンゼルス・クリッパーズ戦に渡邊雄太が出場。今シーズン初めて無得点に終わったが、13分22秒間コートに立ちリバウンド1本を記録した。試合もラプターズが116-108で勝利している。

 


この試合のラプターズは、新型コロナウイルス感染抑制対策の安全衛生プロトコル適用下に入っていたフレッド・バンブリート、OGアヌノビ、ケム・バーチらが戦列に復帰し、久しぶりにレギュラーロスターがほぼそろった。戦力的には正常化してきた状態だったが、本来とまったく異なったのが観客席の様子だ。トロントを含むオンタリオ州は、新型コロナウイルスの感染拡大を抑える目的で、イベントの集客を1,000までに制限しており、その環境下でラプターズはこの試合のチケット販売を中止。その結果場内にはチーム関係者とその近しい友人、家族というわずかな人数しかいないという、いわゆる伽藍堂の状態だったのだ。


クリッパーズ側では、タロン・ルーHCが安全衛生プロトコル適用下に入り、ブライアン・ショウAコーチが臨時でヘッドコーチ役を引き受ける状態でもあった。また、この試合では2019年にラプターズの一員としてチャンピオンシップ獲得に貢献したサージ・イバカが、クリッパーズに移籍後初めてトロントを訪れる機会だったが、かつてヒーローの一人として大歓声を受けたスコシアバンク・アリーナで、超満員のファンと再会することは残念ながらできずに終わっている。

 


ほとんど誰もいない観客席に囲まれたコート上で始まった試合で、はじめのうちはプレーヤーたちもどこかぎこちない様子があった。しかし、ラプターズのスターター(プロトコル適用下から復帰した前述の3人とパスカル・シアカム、ギャリ―・トレントJr.)は徐々にヒートアップ。第1Q残り5分4秒に渡邊がベンチから登場した時点で21-11と10点のリードを積み上げていた。


渡邊はレギュラーロスターのメンバーが8人にも満たなかった直近2試合でスターターを務め、平均18.0得点、8.5リバウンド、1.5アシスト、フィールドゴール成功率57.7%(26本中15本成功)、3P成功率50.0%(8本中4本成功)と数字的には好調だった。その状態から大きくチーム構成が変わったこの試合で、オフェンスでは良いリズムで得点に絡むことはなかったが、出場早々にディフェンスでリバウンドを記録。相手の司令塔を務めるエリック・ブレッドソーのドライブを体を張って阻みミスショットにさせるなど、ディフェンスでは好プレーを見せた。また、相手ディフェンスのスキをついて果敢にドライブを試みてファウルを得るシーンもあり、ロールプレーヤーとしての役割を果たしていた。

 

 ラプターズは、第3Q終了時点では82-87と劣勢だったが、第4Qにシアカム、バンブリート、アヌノビの3人で28得点を奪い逆転での勝利。主軸の活躍で勝負絵を決めた流れは、チーム本来の強みを感じさせるものだった。シアカムは最終的に25得点に19リバウンドのビッグゲーム。バンブリートはゲームハイの31得点に9アシストを記録し、アヌノビも26得点、6リバウンドの4スティールと期待通りの活躍だった。

 

 渡邊は今シーズン、この試合を含め北米時間の2021年内に13試合に出場し、平均7.9得点、4.5リバウンド、1.1アシスト、0.5スティール、0.6ブロックというアベレージ。出場時間が伸びたことで、スティール以外の4項目はすべてキャリアハイとなっている。


シューティングに関しては、フィールドゴール成功率が41.6%、3P成功率が37.5%、フリースロー成功率が55.0%。また、無得点だったのはこの試合が今シーズン初めてで、出場した12試合すべてで3Pショットを少なくとも1本以上成功させていた。欠場1試合をはさんではいるが、12試合連続3Pショット成功はキャリアハイの長さ(欠場から再復帰後の11試合でもキャリアハイ)。開幕前からの長期欠場の影響から、まだオフェンスで安定感を欠いているのは否めないが、昨シーズンよりも高い位置に立ち、さらに上を目指してあらたな年に臨める状態だ。

 

 

 渡邊とラプターズの次戦は日本時間1月3日(月=北米時間2日[火])。この日と同じくホームのスコシアバンク・アリーナで行われる対ニューヨーク・ニックス戦だ。この試合が北米時間では新年最初の試合となる。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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