月刊バスケットボール5月号

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2022.11.23

鈴木妃乃(ノースアラバマ大) - 苦難を乗り越え主軸としてチームを支えるNCAA D1最終学年

 NCAA女子バスケットボールのホットなニュースが届いている。ノースアラバマ大(以下UNA)で最終学年を迎えている鈴木妃乃が、日本時間11月23日(北米時間)に行われたアラバマ農工大との一戦でゲームハイとなる20得点を奪い、66-48の勝利に貢献したのだ。この試合にスターターとして出場した鈴木は、3Pショット4本中3本成功(フィールドゴール全体では8本中6本成功)に加えフリースローも5本すべて成功という非常に高確率のシューティングを披露し、1リバウンド、3アシスト、2スティールも記録した。

 


アラバマ農工大との一戦でドライブを仕掛けるノースアラバマ大の鈴木妃乃(写真/©UNA Athletics)


鈴木は2017年のウインターカップで大阪桐蔭の全国制覇に貢献したプレーメイカーだ。その後、関西学院大を経て2020年に渡米し、現在はUNAでの3シーズン目。留学・転入したのは3年生時からで今シーズンは大学生として5年目だが、NCAAのコロナ禍における特別措置で競技参加の権利を認められている。


鈴木のカレッジキャリアは順風満帆と言えるものではなかった。渡米後の初年度はシーズン半ばで左ヒザ前十字靭帯断裂という大ケガのため離脱。手術と長期のリハビリを経て迎えた昨シーズンは開幕から戦列に復帰し、初めてフルに戦えたシーズンだったが、2シーズンともコロナ禍に苛まれる難しい日々だった。


しかし今シーズンはコンディションも良好で、著しい成長ぶりを見せている。ここまでは、UNAが消化した5試合すべてに出場して平均11.4得点、フィールドゴール成功率42.5%、3P成功率42.9%、フリースロー成功率82.4%、2.2リバウンド、6.2アシスト、1.2スティールというアベレージ。5試合中4試合でスターターを務め得点とスティールがチーム3位、アシストがチームトップという好成績だ。上記の7項目中リバウンド以外の6項目すべてがキャリアハイペースで、チームの主軸として活躍できている。

 


アトランティックサン・カンファレンス(通称A-SUN[エー・サン])に所属するUNAは、ここまでのところノンカンファレンスのスケジュールを3勝2敗と勝ち越している。ミッシー・タイバーHCの下、NCAAトーナメント出場を目標に掲げており、鈴木の成長はその希望を膨らませる喜ばしい材料だ。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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