月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.11.15

女子バスケ日本代表の銀メダル誇らしい。男女とも良くなる一方 - ドウェイン・ケイシーHC(NBAピストンズ)語る

 NBAデトロイト・ピストンズのヘッドコーチを務めるドウェイン・ケイシー氏が、東京2020オリンピックで銀メダルを獲得した女子日本代表の健闘についてとコメントした。また、八村 塁の名前を挙げて、男子の日本人プレーヤーたちの成長についても言及した。

 

 このコメントは、日本時間11月14日(北米時間13日)のトロント・ラプターズとの対戦前に行われた会見で、今夏のオリンピックにおける日本代表のプレーについての感想を聞いた際の返答だ。

 


日本時間11月14日のズーム会見でのケイシーHC(写真をクリックすると会見映像が見られます)

 

 ケイシーHCはまず女子日本代表について「女子チームはとても誇らしいですね。私は1980年代にかかわりを持ち、今に続く土台を作ろうとしていたような時期がありますから。スゴいなと思います.。私とピート・ニューウェルさんで、女子チームにも男子チームにもかなり時間をかけて取り組みましたからね。あそこまで行ってくれたこと、日本の女子の技術レベルが成長していたことを見て、満ち足りた気持ちです」と話した。また、日本のバスケットボール界の成長について、「今後も楽しみです。NBAにもプレーヤーがやってくるようになってきているし、八村(塁)もいて経験を積み、NBAに触れることで、(国全体として)よりうまく、強くなっていくでしょう。コーチたちも経験を通じて成長する機会が持てており、70年代や80年代から格段に伸びています。良くなる一方ですよ」と続けた。


ケイシーHCは、かつて男子日本代表HCを努めた小浜元孝氏(2017年に84歳で逝去)がケンタッキー大に視察・研修で訪れた際に親睦を深めた縁で、1989年から3年間、日本で積水化学の女子バスケットボールチームをヘッドコーチとして率いた経験がある。また、その後日本代表や男子のいすゞ自動車での指導歴もあり、近年はNBAのオフ期間に白鷗大学でクリニックを行うなど、日本のバスケットボール界とのゆかりが深い。

 

 NBAでは、トロント・ラプターズを率いた2017-18シーズンに、レギュラーシーズンでチームをイースタンカンファレンス首位の59勝23敗という好成績に導き、最優秀コーチ賞も受賞している。ダラス・マーベリックスのアシスタントだった2011年には、チャンピオンシップも経験している。

 

 日本の女子バスケットボールは、1975年のFIBAワールドカップ(当時の呼称は世界選手権)コロンビア大会で銀メダルを獲得した実績があり、その成績により翌年のモントリオールオリンピックで女子バスケットボールが初採用された際に、オリンピック初出場を果たした。しかしその後、中国のIOC加盟や、世界各国が女子代表強化に一層力を入れていく流れの中で、相対的に変化のスピードに適応するのに時間がかかり、2度目のオリンピック出場は出場は1996年のアトランタ大会まで待たなければならなかった。

 

 ケイシーHCは非常に厳しかったその約20年間に、日本の女子プレーヤーたちが世界レベルに向かって発展する過程を助けた。また、男子に関しても、FIBA殿堂入りを果たした佐古賢一氏(現レバンガ北海道HC)らが所属した当時のいすゞ自動車にかかわるなど、現在日本のバスケットボール界を指導者やマネジメントの立場でけん引する世代に影響を与えた「恩人」の一人と言える。

 

 ケイシーHCはこの会見の後、古巣ラプターズ相手のアウェイゲームで、ピストンズを127-121の勝利に導いた。


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)

 



PICK UP