月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.11.12

渡邊雄太(ラプターズ)がフルスピードメニューに参加 - ニック・ナースHC語る

 NBA2021-22シーズンの開幕前からの長期欠場が続いている渡邊雄太について、トロント・ラプターズのニック・ナースHCが最新の近況を語った。日本時間11月11日(北米時間10日)にTDガーデンで行われたボストン・セルティックスとのアウェイゲーム前の会見で、渡邊が同日のチーム練習ではフルスピードのメニューにも参加したことを明かした。

 

 

 ラプターズは開幕5試合目から5連勝と好調の波に乗ったが、以降はこの日のセルティックス戦を含め直近の3試合すべてで黒星を喫している。その中で渡邊とともに長期欠場していたパスカル・シアカムが11月7日の対ブルックリン・ネッツ戦で復帰を果たし、敗れたとはいえ15得点を挙げたことは明るい知らせだった。シアカムにとっては故障明けだっただけではなく、長年チームリーダーだったカイル・ラウリー(現マイアミ・ヒート)が抜け、新たなルール下での適応も必要な今シーズンの初戦としては上出来だった。

 

 パスカルが良好な滑り出しを見せたことに触れながら、ナースHCに渡邊とシアカムが欠場中に新生ラプターズの戦い方をどれだけ学べていたかの感触を聞くと、ナースHCはまずシアカムについて、以下のような答えを返してくれた。

 

「(シアカムは)チームにしっかりとついてきて、トレーニングキャンプにも試合にかかわり、私の考えと今シーズンのスタイルの違いをつかもうとしてくれました」

<ナースHC自身の英文回答>
“I think Pascal did a good job of being super engaged you know with the team all through training camp and you know really engaged in the games and understanding a little bit of…, I think the style of play changed this year.”

 

対セルティックス戦試合前会見でのナースHC(写真をクリックするとインタビュー映像が見られます)

 

 渡邊については、質問への直接的な答えではないが、復帰への見通しにも触れながら、新チームへの適性の高さを以下のように話してくれた。


「ユウタについては少し前進がありました。今日も(練習を)やり、コンタクトのあるメニューはなかったんですが、全速力で動く内容を彼も一緒にやりましたから。本当に早く帰ってきてほしいですね。私としては、彼にはうちにピッタリの持ち味が備わっていると思っているので。カットムーブがうまく一所懸命の姿勢があり、そこここでスリーも決められるというのは、ぜひ生かせたらなというところです。いつどうなるという復帰計画が明確になっているわけではないのですが、間もなくの復帰を望んでいます。今週中か来週の初めか、長期遠征に出る頃には戻ってくれていることを期待しています」

<ナースHC自身の英文回答>
“And as far as Yuta goes, you know he has made some progress here lately. I mean he’s out there today again. We didn’t have contact today obviously. But we did do some full speed things and he was doing those so…. I’m really hoping he gets back. I really think as you know I think there’s…, he’s got a unique fit to our team with his cutting and hard play and his ability to make a three here and there. And we could use them so hopefully…, I’m hoping here that I don’t know…, I haven’t checked on the day-to-day timeline. But I’m hoping it’s pretty soon. Hopefully maybe into this week or starting next week when we go on that big long road trip, we can get him back.”

 

 渡邊は一度は復帰に近づきながら症状がぶり返したあとだけに、復帰時期はあくまで希望的な見通しと考えた方が無難だろう。チームとしても前回以上に慎重に判断するはずだ。しかしいずれにしても、急激な荷重に対する瞬時の踏ん張りや筋肉の伸縮を繰り返すフルスピードのスプリントができているならうれしい知らせだ。

 

 ナースHCの言葉からは、渡邊の早期復帰と貢献への期待が感じられる。それはこの日の試合後会見に登壇したOGアヌノビも同じだった。シアカムと入れ替わりに離脱してしまったセンターのケム・バーチの欠場の影響についての質問を受けたアヌノビは、その回答に渡邊の名前も加えて、復帰を切望するコメントを残した。

 

「彼とユウタの力が欲しいです。ものすごく大きな助けですよ。一所懸命に頑張ってくれる力強いタレントです。彼らが早く帰ってきてほしいです(We miss him and Yuta, what they bring. They help our team a lot. They play hard. They play with energy. They are just dynamic talents. We miss them a lot)」

 

 ラプターズは日本時間11月12日(北米時間11日)にフィラデルフィア・セブンティシクサーズとのアウェイゲームに臨むが、この試合には渡邊、バーチに加えてシアカムも再び欠場することが発表されている。

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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