月刊バスケットボール5月号

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2021.11.10

“Logo Kei!!”富永啓生(ネブラスカ大)がNCAAディビジョンIデビュー、黒星スタートも3Pショットで初得点を記録

 2021-22シーズンからネブラスカ大学に所属している富永啓生が、日本時間11月10日(北米時間9日)にNCAAディビジョンIの公式戦デビューを果たした。15,312人の大観衆を集めたホームのピナクルバンク・アリーナにウエスタン・イリノイ大学を迎えて行われたこの試合で、ネブラスカ大は74-75と接戦の末に逆転負けを喫したが、富永は前半残り14分7秒(NCAAは前後半20分のレギュレーション)にベンチから登場し、18分の出場時間で3得点(フィールドゴール1/5、すべて3Pアテンプト)、1リバウンド、そしてチームハイ・タイとなる3スティールを記録した。富永の出場時間は、ベンチから登場した4人のプレーヤーの中では最も長かった。

 

 記念すべきNCAAディビジョンIでの初得点は、前半残り12分52秒。直前に相手のパスをインターセプトして初スティールを記録した後、そのままドリブルでカウンターアタックに転じ、左ウイングの3Pエリアからゴールを射抜いた。このシーンでは、富永がボールをスティールした瞬間に実況が「オ、オウッ、オ、オウッ…」と盛り上がり始め、富永のショットが決まった瞬間には「Logo Kei in the building!!(ロゴ・ケイがきたぁぁっ! という感じだろうか)」と絶叫。「ロゴ・ケイ」はもちろん、コート中央のロゴ(「Huskers」と描かれている)周辺からでも決められるシューティング・レンジの広さを指している。公式戦デビューでこんな形容をされるのも、現地のコミュニティーで富永の決定力が良く知られているからこそのことだろう。


エキジビションとして行われた前試合で、コロラド大学を倒したネブラスカ大の敗戦は、アップセットとまではいかなくとも、「やや意外な結末」の部類に入るものと思われる。試合内容としてはネブラスカ大の大きな敗因は、開幕前から課題とされていたリバウンドで37-57と圧倒されたことと、それに関連してペイントでの得点(30-42)、セカンドチャンスでの得点(8-22)で差をつけられたことだった。前半も32-31の1点ビハインドだったが、終了間際に相手の3Pショットが落ちたところを2度立て続けにフォローアップされ、プットバックで逆転された。


また、ウエスタン・イリノイ大は特に前・後半の開始早々と終了間際に3Pショットが良く決まった。最終的に勝負を決めたのも3Pショット。ネブラスカ大は残り23秒まで73-69と4点リードしていたにもかかわらず、ここから相手に2本の3Pショットを決められ逆転を許してしまった。逆点弾はクロアチアのアンダーカテゴリーで代表としてプレーした経歴を持つスモールフォワード、ルカ・バリシッチのディープスリーだった。


チームとしては非常に悔しい黒星スタート。ただし富永に関していえば、チームからの信頼度が相当高いことを感じることができた一戦でもあった。富永は前半終了時、試合終了時ともコートに立っており、特に74-75と逆転された最終局面の残り6秒に投入されたのは、間違いなくフレッド・ホイバーグHCが“ロゴ・ケイ”の威力を期待してのものだろう。実際には、ゲームハイとなる26得点を挙げたアロンゾ・バージがドリブルドライブからゴールを狙い、右コーナーで待つ富永はレーンを空ける役割となり得点機は訪れなかった。しかしこうした場面で、決定的な一撃を富永がお見舞いする映像を見られる日も近いかもしれない。富永は最後の最後、バージのレイアップがこぼれたところでもリバウンドに食らいつくファイトを見せていた。実らなかった最後のポゼッションが、次につながることを期待させる執念も感じさせた。

 

 ネブラスカ大の次戦は日本時間の11月13日(土=北米時間12日[金])。サム・ヒューストン大学をピナクルバンク・アリーナ迎えて行うホームゲーム第2戦だ。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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