月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2022.11.04

トライフープ岡山、開幕8連勝からB2昇格に向け弾みをつけたい11-12月戦線へ

 B3リーグのトライフープ岡山が開幕から無傷の8連勝と好調だ。昨シーズンはB2昇格のチャンスを手にしながら、東京体育館での昇格決定戦で敗れ念願を果たせずに終わった。しかし、リーグ全体のレベルアップが進む中での今シーズン、平均得点90.9がリーグ1位、平均失点74.5がリーグ7位(少ない方からの順位)で、攻守にロスターの威力が発揮されて好成績につながっている。

 


開幕8連勝と好調なトライフープ岡山(写真/©TryHoop Okayama)


岡山は開幕前の9月に、今シーズンに向けてはチームキャプテンを置かずに臨むことを発表した。「誰か1人ではなく、ポジションや年齢、キャリア、国籍を問わずチーム全員がそれぞれリーダーシップを発揮すること、チームを引っ張っていく事により、グループとしての高い成果を出せ、あらゆる難しい局面も共に乗り越えていけると考えております」と比留木謙司HCはコメントしている。

 


チームを率いる比留木謙司HC。チームへの愛情を率直に表現する熱血漢だ(写真/©TryHoop Okayama)


オフ期間のプレーヤーの出入りを経た後、10月7日には外国籍パワーフォワードだったジェフリー・パーマーが帰化申請していることも明らかになった。パーマーは現在「帰化申請中選手」という位置づけで登録されている。これによりパーマー以外に外国籍を3人ベンチ登録することが可能(同時出場はそのうち2人まで)となった岡山は、層の厚みが確実に増した。サテライトチームから特別指定枠で加わった佐藤大成が、10月16日のヴィアティン三重戦で鼻骨を骨折し、6週間離脱との診断が発表されるアクシデントはあったが、ここまではチームの輪が体現された戦いぶりで好調の波に乗っている。


その戦いぶりの特徴は、ロスター中の6人が2桁得点を記録していることからも感じられる。トップスコアラーは平均15.1得点のセンター、チュクゥディエベレ・マドゥアバムだが、デボーン・ワシントン(パワーフォワード)の12.8得点に続きパーマーが12.3得点、アンドリュー・ロビンソン(スモールフォワード)が3P成功率50.0%で10.7得点、向井祐介(シューティングガード)が同じく3Pショットを42.1%の確率で沈めて10.6得点、若狭功希(スモールフォワード)も10.3得点という状況だ。向井はフリースローが15本すべて成功の100%で、堂々リーグトップに立っている。インサイド、アウトサイドに得点源が分散しており、対戦相手とすれば非常に守りにくいに違いない。

 


フロントラインの要として奮闘しているチュクゥディエベレ・マドゥアバム(写真/©TryHoop Okayama)

 


向井祐介は正確なシューティングでチームの力になっている(写真/©TryHoop Okayama)

 

 11月から12月にかけての対戦相手は、4日(土)・5日(日)の湘南ユナイテッドとの連戦に始まり、ベルテックス静岡(12日[土]・13日[日]、津山総合体育館)、しながわシティバスケットボールクラブ(19日[土]・20日[日]、品川区立戸越体育館)、横浜エクセレンス(26日[土]・27日[日]、津山総合体育館)、そして12月に入って2日(金)・3日(土)にサンアリーナせんだいで鹿児島レブナイズと激突という流れ。この中で静岡(7勝1敗、3位)との対戦が岡山にとっては今シーズン初めて勝ち越しているチームとの対戦だ。以降も横浜EX(6勝2敗、6位)と鹿児島(7勝1敗、4位)が、現時点での上位グループとの対戦となる。B2昇格争いを占う上では、この4週間が岡山にとっての中間テスト月間のような位置付けとも言えそうだ。

 


それを思うと、ここまで3勝5敗で11位の湘南との連戦となる4日・5日にスキを見せずに勝ち切ることは重要だ。湘南はバイウィーク前の10月25日に、それまで7戦全勝だった鹿児島を92-87で破ったばかり。その試合では欠場していたが、昨シーズン岡山の一員としてリーグの得点王になったクリストファー・オリビエが得点源として活躍している。新天地での今シーズン、オリビエは現時点での平均21.9得点がリーグトップ。また、シューターの玉田博人は3P成功率55.6%がリーグトップだ。


岡山はこの連戦で今一度チームの輪を体現する戦いぶりを見せ、連勝を伸ばしていくことができれば、上位グループとの初顔合わせに向け勢いづくことは間違いない。この期間の成績ですべてが決まるわけではないものの、終盤戦に向け見逃せない時期に入ってきた。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



PICK UP