月刊バスケットボール5月号

テーブス海(滋賀レイクス)、ネクストレベルへの扉をたたくFIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window5

 11月11日から日本代表が2試合を戦うFIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window5には、言うまでもなく多くの見どころがあるが、若手プレーメイカーのテーブス海(滋賀レイクス)がどんな成長を見せるかもその一つに挙げられるだろう。テーブスはポイントガード陣の中で最長身の188cm。今回出場しないプレーヤーを含めライバルが多く競争が激しいポジションだが、富樫勇樹や河村勇輝とは異なる個性を提供できるユニークな存在だ。今シーズンは宇都宮ブレックスから滋賀レイクスへと所属が変わり、それとともにプレースタイルも大きく変化した。

 


チャイニーズ・タイペイ戦でのテーブス海(写真/©FIBA.WC2023)


ホーバスHCは合宿期間中の4日に行われたオンライン会見で、Bリーグでのテーブスに関して「得点を獲りにいっている」という認識を語っていたが、スタッツも以下のとおりそれを示している。


☆テーブス海の昨シーズンと今シーズン比較
2021-22シーズン 5.8P、FG35.9%、3P32.0%(33/103) ※48試合
2022-23シーズン 13.7P、FG39.3%、3P40.7%(22/54) ※9試合

P=得点、FG=フィールドゴール成功率、3P=3P成功率


出場試合数が昨シーズンの20%にも達していない現時点で、テーブスはすでに3Pショットを昨シーズンの60%以上成功させている。結果として得点が7.9ポイント上昇し、倍増以上に跳ね上がった。3Pショットは確率も申し分ない。


移籍という転機をステップにできている状況のテーブスは、新たなチームでの学びを日本代表としての飛躍に結び付ける思いを、4日の会見で語っている。宇都宮時代は「得点力は求められていませんでした」とのことで、ゲームをコントロールする役割に徹していた。しかし滋賀での役割は違う。「もちろん滋賀でもゲームコントロールは大事ですけど、チームのために点をとらなければいけない試合が続きました。そういった経験できたので、代表でも積極的に点を獲りにいきたいです」


リーグ制覇を経験した宇都宮で、プレーメイカーとしての一つの姿を確立できているようにも思えたテーブスだが、自身の進化を加速したい思いは、それと別に膨らんでいたようだ。宇都宮を離れる決断の裏にも、そこで磨いたゲームコントロールをさらに生かせるような、得点力を含め自身の幅を広げられる環境を望む思いがあった。「得点だけではなくもっといろんな場面で自分を次のレベルにプッシュするためには、持ち味であるドライブやスピードをどんどん出せる環境にいたい。それも間違いなく移籍の理由の一つでした」

 

 その結果、滋賀でたまたま得点が獲れることを証明できているという。

 


ワールドカップアジア地区予選では、7月上旬のオーストラリア、チャイニーズ・タイペイとの2試合に出場し、得点は1にとどまった。その後、7月半ばから始まったアジアカップでは5試合に出場し、コートに立つ時間は最長でも14分と長くはなかったが、平均2.8得点、1.4リバウンド、3.2アシストと前進。アグレッシブなディフェンスも威力を発揮していた。

 


テーブス海(滋賀レイクス, 24) PG, 188cm/ 85kg(写真/©JBA)

 

 3勝5敗でグループFの6チーム中5位という成績で臨むWindow5では、日本は本戦出場権を持っているからといって、FIBA世界ランキングで下位のバーレーンとカザフスタンを相手に負けている場合ではない。それだけにテーブスにはさらなる前進が望まれる。それが形として出てくれば、チームとしての勝利の可能性は確実に膨らむ。

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



PICK UP