月刊バスケットボール5月号

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2021.11.01

富永啓生(ネブラスカ大)、エキジビション2試合目で8得点

 NCAAディビジョンIのネブラスカ大に所属する富永啓生が、日本時間11月1日(北米時間10月31日)に2021-22シーズン開幕前のエキジビション2試合目となる対コロラド大戦に出場した。ホームコートのピナクルバンク・アリーナで行われたこの試合で、富永は17分間コートに立ち、フィールドゴール5本中3本(うち3Pショットは4本中2本)を成功させて8得点、2リバウンド、1アシスト、2スティールを記録し、82-67の勝利に貢献した。

 

 富永はベンチスタートで、コートに上がったのは前半残り14分28秒の時点。そこから2分とたたず、速攻でトップからのディープスリーを決めてこの試合での初得点を記録すると、直後にはディフェンスでもスティールで貢献。この流れは15,354人の大観衆が詰めかけた会場を一気にヒートアップさせた。


一度ベンチに下がった後、前半残り5分54秒に再登場した富永は、今度はビッグマンのエデュアルド・アンドレとのコンビプレーの中で、バックドア・カットからレイアップを沈めて5得点目を奪う。この時点でスコアは42-21とダブルスコアでネブラスカ大がリード。富永は前半終了までプレーした。


後半もベンチでスタートした富永は、ネブラスカ大が59-36とリードをさらに広げた残り13分34秒にコートに戻ってくると、直後にセンターのウィルヘルム・ブライデンバッハの3Pショットをアシストし、さらに自らも8得点目となる3Pショットを成功させた。このショットはハーフコート・オフェンスの流れの中で、ペイントから左ウイングにリロケートしたところでキックアウトのパスを受けてやや後ろに下がりながらの難しいショット。距離もあり、相手のコンテストも飛んできていた。しかしクイックリリースで富永の手を離れたボールはみごとにゴールを射抜くレインボー。これが決まってネブラスカ大のリードは65-40の25点差に広がった。


この日の富永は、コートに立つたびに即刻チームに勢いをもたらす存在となっていた。17分間の出場はチームで7番目の長さ。フレッド・ホイバーグHCは試合後の会見で富永の名前に触れることはなかったが、ここまでの活躍を見れば、ローテーション・プレーヤーとして出場機会を得られる可能性は非常に高いだろう。

 

 エキジビション初戦はNAIA所属のペルー州立カレッジが相手だったが、この日の対戦相手はNCAAディビジョンIのパック12に加盟しており、昨シーズンのNCAAトーナメントにも出場したチーム。全米トップ25のプレシーズンランキングで4ポイントを得ており、強豪と言えるチームだ。フレッド・ホイバーグHCはこの対戦を組んだ理由にリバウンドの強化を挙げており、その項目で37-47と上回られたことで課題がさらに明確化したのは事実だが、それでも快勝を収められた要因に富永の2本を含む3Pシューティングと、それを生み出したアグレッシブなペイントアタックとカットムーブが挙げられる。それらは富永の仕事に重なる項目だ。

 

 チームとしての評価はいずれにしても上昇する可能性が高く、今後リバウンドが強くなっていけば、そうした期待はいっそう大きくなっていく。富永がこの試合で見せたような、チームに勢いをもたらす起爆剤のような活躍を続けられれば、その株も上昇していくに違いない。

 

 ネブラスカ大の次戦は日本時間11月10日の対ウエスタンイリノイ大戦。この試合で2021-22シーズン公式戦が開幕する。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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