Bリーグ

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2021/10/19

新しいチームが町に生まれるという体験 - B3アルティーリ千葉ホーム開幕戦観戦レポート

 “THE GREAT HISTORY BEGINS(偉大なるヒストリーの始まり)”という力強いキャッチフレーズとともに千葉県千葉市に誕生したプロバスケットボール・クラブ、アルティーリ千葉(A千葉)が、10月16日・17日に千葉ポートアリーナにアイシン・アレイオンズを迎えて待望のホーム開幕シリーズを開催した。

 

千葉ポートアリーナはA千葉のクラブカラーとしているブラックネイビーがあふれていた(写真は17日の試合前)


 試合展開はもちろん大きな関心事項だったが、それと同じほど、生まれたばかりのA千葉が来場者たちとどんな形で楽しい空気を生み出していくかも興味深かった。両日とも入場無料。チケットこそ必要だが、まずは自分たちのバスケットボールを広く見てほしいという思いからのこのサービスに、ブースターたちが敏感に反応し、A千葉は両日とも用意したチケットの“完売”を前日までに発表していた。しかしその受け入れられ方は想像以上。チーム誕生初戦にして1,731人という多くのブースターが来場したばかりか、その多くがA千葉のクラブカラーであるブラックネイビーをフィーチャーしたオリジナルTシャツやレプリカジャージーを着て一体感、統一感を表現していた。

 

ブラックネイビーの海


 エントランスを入ってすぐのスペースに設置されたフォトスポットとグッズショップの周辺には、試合前後とハーフタイムにA千葉のアパレルやマスクなどを身に着けた人々が次々とやって来た。新型コロナウイルス感染対策下の開催で、お互いの距離感に注意して…といったことを誰もが意識しながらの行動ではあったが、人々はブラックネイビーの波のようにゆったりと通路を流れ、渦を巻き、やがて熱気に満ちたコートを取り囲む観覧席へと吸い込まれていく。


 両日とも、千葉ポートアリーナからもさほど遠くない船橋アリーナで、千葉ジェッツ対秋田ノーザンハピネッツ戦が行われていた。にもかかわらずB1ではなく、無料とはいえB3リーグの一戦に足を運んだブースターたちが、観覧席を威圧的なブラックネイビーの海にしていた。2日目の来場者数も1,704人に達したが、B3では両日とも1,000人を超えたのは千葉ポートアリーナだけだった。


 来場者に話を聞くと、千葉市内、隣接地域、千葉県外とさまざまなところからやってきていた。「身近なところにチームができたので楽しみ」と話してくれたのは千葉市内在住の矢代さん親子。県内にプロバスケットボールでは2チーム目のA千葉が生まれて「サッカーのジェフ(ジェフユナイテッド市原・千葉)とレイソル(柏レイソル)みたいで、バスケット界が盛り上がっていいんじゃないでしょうか。アルティーリはまだまだこれからだと思うので、頑張ってほしいですね」と笑顔で話してくれた。


 県外からやってきたミキさんとヒトミさんは、外国籍のケビン・コッツァーとレオ・ライオンズ推しの友だち同士だ。今シーズンに期待することは「優勝!」とのことで、2人もやはり、将来の“千葉ダービー”も楽しみにしていた。


 こうしたコメントや楽しそうな表情から、県外のアクセス圏までも含め、地域の人々のA千葉に注ぐ熱が相当高いことが伝わってくる。多くがこれまでに行われた天皇杯やプレシーズンゲームをオンライン配信で見ており、すでにお気に入りと認識するプレーヤーがいる。中でも大塚裕土への期待感は相当高そうだ。#24のレプリカジャージーとマフラータオルは、2日目の試合前にはすべて売り切れ。場内では大塚だけではなく、ライオンズの#13や岡田優介の#10、杉本 慶の#11などさまざまな“推し”の番号を背負ったブースターが熱戦を見つめていた。


 こうした状況はB1の会場やホームタウンで見る光景と何ら変わらない。A千葉はホーム開幕戦前までの試合や活動を通じて、個々のブースターに対し「チームに期待できるもの、楽しみにできるものはこういうものだよ」というイメージを提示できていたと思う。アンドレ・レマニスHCは2日目の試合後会見で、コート上のパフォーマンスもクラブ運営もB1のスタンダードを目指していると話していたが、クラブが用意したレプリカジャージーをはじめとするアイテムを多くのブースターがすでに手にしていたことは、スタート時点でそれが高いレベルで達成されていた証しだろう。すでにブースターたちはA千葉を中心に一つになれるのだ。


 この土日の2試合は、ブースターたちがそのイメージを実体験として、しかも両日とも勝利とともに持ち帰る機会となっていた。帰宅した人々は、「大塚はやっぱりいい男だよね」、「アルティーリ千葉、やっぱり強そうだったよ」とみやげ話に花を咲かせたり、「レオのジャージーが欲しい」、「アルティーリ千葉のマスクをみんなでおそろいにしようよ」と親子や家族で交渉が始まった家庭もあったのではないだろうか。

 

 それぞれが持ち帰った、「私のチーム」が生まれる瞬間に立ち会う喜びの感覚は、チームが順調ならばもちろん、ときには苦しんでも徐々に大きくなっていき、いつの間にかブラックネイビーのアイテムが部屋にあふれるようなことになっていく。そんなブースターたちのあと押しでチームがさらに強くなり、クラブもコミュニティも誇りに思える歴史が綴られる。

 

 歴史があればこそ、何年か後にはある人の部屋に、例えば大塚のゲームウォーンジャージーが飾られたりもするかもしれない。大塚がアルティーリ千葉の最初のホーム開幕戦で、両チーム最高の25得点を獲ったプレーヤーだという記憶とともに、「あの試合を誰と見に行った」、「どんな話をした」と振り返る。気づけばその人の人生はブラックネイビーで彩られ…となっていく。

 

 A千葉の誕生で、千葉市周辺でそんなことが毎週起きるようになり、それが人々の気持ちを和らげ、バスケットボール熱を高めながら地域を住みやすくしていくように思う。

 

歴史の始まりに弾みをつける連勝スタート

 

開幕シリーズで2連勝を飾ったA千葉は、ここまで4勝0敗の成績。歴史の始まりを望ましい形で綴り始めた

 

 試合自体は、会場だけではなくオンラインで見たブースターも多かっただろう。内容は両日でまったく異なり、初戦は初のホームゲームの緊張感もあってかほとんどの時間帯で良いパフォーマンスを見せたのはアイシンの方だった。しかしA千葉は大塚が3Pショット5本中4本を成功させ25得点、岡田も3Pショットを5本中3本成功させ12得点を奪うなどアウトサイドシューティングで差をつけ、第4Qに2ケタ点差を逆転する83-72の勝利を手にした。ハラハラ、ドキドキのB3ホームゲーム初勝利は「難産」だった。

 

 翌日の2試合目はイバン・ラべネル、コッツァー、ライオンズの外国籍トリオに加え、杉本や藤本巧太らのスピードあふれるドライブが目を引く展開となり終始優位な展開で82-59の快勝だった。アイシンは前日アウトサイドから得点を奪われたことに対応してきたが、A千葉は逆にアグレッシブなペイントアタックから得点機を次々と生み出した。この試合ではロスター全員が出場し、多彩な顔ぶれが貢献できた点でもブースターは楽しむことができただろう。

 

 ホーム開幕2連勝(アウェイでの前週を含め4連勝)でクラブとチームは間違いなく勢いを得た。しかしまだその歴史は、1ページ目の1段落目も書き終えられていない段階だ。現時点では無傷の6連勝を記録している岩手ビッグブルズ、長崎ヴェルカに続くリーグ3位に位置しているが、今後どんな物語が展開されていくのだろう。次の対戦は10月23日(土)、翌24日(日)で、いずれも豊田合成スコーピオンズを相手に戦うホームゲームだ。ただし今度は会場がゴールドジム幕張ベイパークアリーナとなる。異なる環境・状況でのホームゲームであり、それをどんな機会としてブースターに提供するかもおもしろい見どころの一つになりそうだ。

 

☆次ページ: アンドレ・レマニスHC、大塚裕土コメントおよびブースターの表情

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