月刊バスケットボール5月号

Wリーグ

2022.10.13

Wリーグ所属選手の6割以上が月経随伴症状による競技への影響を感じている - 株式会社エムティーアイが調査結果を発表

 株式会社エムティーアイが運営する女性の健康情報サービス『ルナルナ』と、スポーツチームをサポートするコンディションノート『Atleta(アトレータ)』が開催する「Wリーグアカデミー」。その第1回目の取り組みとして、Wリーグ全14チームの選手を対象に実施した「女性特有の症状における健康課題に関する実態調査」の結果を同社が発表した。

 

 公表された資料からは、6割以上の選手が月経随伴症状(月経前や月経中におこる精神的あるいは身体的症状)により競技に影響があると回答し、無月経(3ヵ月以上月経が来ない状態)の経験がある選手が2割以上いたこと、またそのうち6割以上の選手が医療機関を受診していないことが明らかになっている。この結果を受け、9月30日には産婦人科医の高尾美穂氏によるFEMCATIONセミナー「女性のカラダの知識講座」も開催された。「FEMCATION®」は、FEMALE(女性)とEDUCATION(教育)を掛け合わせた造語だ。


2割以上が無月経を経験、その6割は医療機関を受診していない


今回の調査の中では、月経随伴症状の有無についての設問に対し「毎回感じる(39.8%)」、「たまに感じる(45.8%)」と何らかの月経随伴症状を抱えていることを明かした回答が合計85%以上に上っている。月経随伴症状がどのような面に影響するかについては、「練習中の運動量・パフォーマンス」が最多で48.2%。「競技への意欲」が34.0%という数字。「影響はない」との回答は34.8%だった。

 


また、月経随伴症状の影響がない時期のパフォーマンスを100%とした場合、月経随伴症状の影響下のパフォーマンスが何%となるかという問いに対しては、「100%」との回答は4.4%。最も多かった「70%」は全体の35.9%に上り、「80%」という回答も25.0%で、あわせて60%以上が2-3割ダウンという実感を持っていることがわかる。


それでも2割弱は「我慢する・何もしない」


月経随伴症状への対処法としては「市販薬を服用する」が54.6%で最多。「身体を温める」が24.1%、「ピルを服薬する(処方薬)」が14.2%で続く。しかし一方で、「我慢する・何もしない」との回答も18.4%あった。「我慢する・何もしない」と答えた選手にその理由を聞くと、「我慢できる範囲の症状だから」が76.9%だったが、我慢せずに婦人科に相談することが大切な状況下で「対処方法がわからないから(15.4%)」、「医療機関に行く時間がないから(7.7%)」という回答が23.1あり、サポート環境や症状・状況に関する認識がリーグ全体に不足していることもうかがえる。

 

 


女子アスリート特有のリスクに関する認知は約1割にとどまる


女子アスリートを悩ませる特有リスクとして、激しいトレーニングによるエネルギー不足、無月経、骨粗しょう症という「三主徴」が知られている。身体の発達や成長などにも影響を及ぼすと言われるリスクだ。


その理解度については「言葉は知っているが意味まではわからない(24.9%)」、「全く知らない(64.9%)」を合わせて89.8%に上り、十分な認識がリーグに広がっていないことがわかる。さらに「三主徴」のうち、無月経の経験について「ある」との回答が22.7%ある一方で、そうなった際に医療機関を受診していないとの回答が63.2%に上っていた。受診しなかった理由として最も多かったのは「放っておいてもそのうち月経が来ると思っているから」が66.7%。「医療機関に行く必要がないと思っていたから」も25.0%と高く、「医療機関に行く時間がないから」が20.8%となっている。

 


この調査では、選手に対して月経など女性の健康に関するどのようなサポートや配慮があればいいと思うかを自由回答で聞いている。その返答としては、「知識を学べる場があると良いと思う」、「ヘッドコーチも含めた周りの理解」、「ピルの使用についてチームや周りが理解を深めていてくれるといいと思う」などがあったという。


Wリーグプレーヤーから学生プレーヤーへのメッセージ

 

 現役で活躍するトッププレーヤーたちは、部活動に励む女子学生へのメッセージも寄せていた。その中には、「まずは自分を知ることが大切。人と比べずに、いつもの自分と比べて今はどうか? が1番大事だと思うようになれたらいいと思う。そして何か異変や不安があればすぐに誰かに相談してほしい」という声や、「体調管理や自分を知ることも一つの技術だと思います。まずは健康が第一!ベストパフォーマンスをするためにベストコンディションを!」という助言がある。「無理を絶対にしないこと。悩んでることは恥ずかしいことではないから必ず誰かに相談すること。この先赤ちゃんを授かるかもしれないから自分の体は大切にしてほしいです」という願いも記されていた。


☆問い合わせ先
株式会社エムティーアイ CLIMB Factory事業部
TEL: 0120-400-342 (9時~17時)
E-mail: info@mti.co.jp
『ルナルナ』「FEMCATION」は株式会社エムティーアイの登録商標


(月刊バスケットボール)



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