月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.10.02

ウィザーズのレジェンド、ジョージ・ミュアサン氏インタビュー – NBA JAPAN GAMES 2022 PRESENTED BY RAKUTEN & NISSANサイドストーリー

 1993年から2000年まで7シーズン(故障欠場1シーズンを除くと6シーズン)に渡ってNBAで活躍したジョージ・ミュアサン氏が、10月1日に玉川学園(東京都町田市)でのウィザーズと同学園のパートナーシップ締結を記念する式典に姿を見せた。ウィザーズとWNBAのワシントン・ミスティックスの一行とともに、身長231cmのビッグセンター、ミュアサン氏が登場すると同学園の若者たちは大歓声で温かく歓迎。パートナーシップ締結式典に始まった一日のプログラムは盛大に進められていった。

 

 

 会場には町田瑠唯の姿もあり、バスケットボール・クリニックでは町田がコーチ役も務めるなど、学生たちは大喜び。その間ミュアサン氏もサインや記念撮影の求めに気軽に応じていたが、チャンスを見て月バスドットコムからインタビューをお願いしたところ快く受けてもらうことができた。

 

 

 

 

 ルーマニア出身のミュアサン氏はNBAの歴代最長身プレーヤーとして知られ、キャリアの半分以上になる4シーズン、ウィザーズが現在の名称となる前のワシントン・ブレッツでプレーしている。その間に平均10.6得点、6.8リバウンド、1.6ブロックのアベレージ(キャリア通算では9.8得点、6.3リバウンド、1.5ブロック)を残し人気者となった縁から、引退後にもワシントンD.C.に居を構えウィザーズの組織の一員として活躍している。まずは現在の様子を聞いてみたところ、「元気にやっていますよ。ワシントンD.C.に住んでいて、バスケットボールアカデミーを経営しているんです。子どもたちや初心者向けのリーグを運営し、キャンプもやっています(I’m doing good. I live in Washington DC. and run a basketball academy. I organize basketball leagues for kids and beginners and camps.)」とのことだった。

 

八村 塁の名前を冠したバスケットボールコートが日本の街にたくさんできたらいい


八村 塁の印象を聞くと、とても熱心に長い回答をしてくれたのだが、そのポイントは日本が八村の存在をきっかけにバスケットボールを人々の暮らしにより身近な存在にできたらという願いのこもったものだった。「彼はスゴいプレーヤーです。頭がいいし、長くNBAで活躍できることを願っています。同時に日本にも…、たくさんの子どもたちが彼に続くといいですね。日本からもっとたくさんNBAプレーヤーが出てくることを望んでいます(He's a great player, very smart player. I hope he's going to have a long career in the NBA. At the same time I hope Japan…, more kids are going to start to follow him. We want more kids from Japan to become NBA players.)」

 

 ミュアサン氏のビジョンは非常に明確。「ハチムラ君はこの国にもワシントン・ウィザーズにも素晴らしい財産です(Hachimura is a great asset for both this country and the Washington Wizards.)」と語り、自身がワシントンD.C.でやっているのと同じようなことを八村にも期待しているようだった。「日本に彼のようないいNBAプレーヤーがいるのは、とても幸運だということはぜひ言っておきたいですね。どの街にも、彼の名前をつけたフープ(バスケットボールのゴール)を建てたらいいと思いますよ(What I want to say is Japan is very very lucky to have such a nice player playing in the NBA. I hope that each city will build a couple of basketball hoops with his name.)」


「より多くの子どもたちが、余暇の時間にシュートできる機会を作れますからね。もしかしたら次のNBAプレーヤーが生まれるかもしれません。そうでなくとも、シュートすることで集中しますから。バスケットボールは忍耐や集中が必要ですし、決めることで成功を味わうことで人生の教訓を学べます。フープがあれば、たくさんの子どもたちを幸せにできますから、ぜひいろんな街の長の皆さんに彼の名前をつけたフープを建てていただきたいですね(I hope more kids will have opportunity to shoot in their recreation time. Maybe they'll become next NBA players. If they don't become NBA players, when you shoot, it's the focus. In basketball you have to be patient and focused. You can achieve to make a lot of shots. It's a life lesson. If you have a hoop, you can make a lot of kids happy. I want that the head of cities…, they're going to build hoops with his name.)」

 

 日本における八村効果の拡大を期待するミュアサン氏。今シーズンの八村の活躍へのエールも忘れなかった。


「今シーズン、今から素晴らしいプレーをしてほしいとは思っていませんが、シーズンの終盤に素晴らしくなってほしいです。でも何よりも故障をしないように。故障はコートでのプレーヤーの命を奪い去るものですからね(I hope this year, he's going to start playing better and better and better every month. We don't want him to be very good now. We want him to be very good at the end of the season. But most important of all, just stay healthy. Injury can take the player's life from the court.)」


自身も故障で1シーズンを棒に振った経験があるミュアサン氏らしい激励の言葉。歴代最長身プレーヤーとして、バスケットボールで成功するためのカギを「これは覚えておいてください。何も一番大きくなる必要はありません(笑) 賢く、上手にできること。それが大事です(Remember this. You don't have to be the biggest one. You have to be smart and talented. That's how you have to be.)」と語る。その表情は柔和で、玉川学園の若者たちの元気なプレーぶりを心から楽しんでいる様子だった。

 

 

上の写真のとおり、ミュアサン氏はフォトカードに直筆サインをいれて若者たちに手渡していた

 

取材/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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