月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2022.09.29

Bリーグが2026-27シーズンからの将来構想を決定。競技成績による昇降格を廃止

 

 Bリーグは9月28日に定時会員総会を開催し、Bリーグの「将来構想」の方向性と、それを可能にする定款の改定が全会一致で承認されたことを発表した。これにより2026-27シーズンよりスタートさせる「新Bリーグ」は、これまでの競技成績による昇降格を廃し、事業規模によるエクスパンションスタイルへと変更する。

 新B1リーグ参入のライセンス条件は、平均入場者数4000人以上、新基準アリーナ(収容5000人以上など)の年間109日確保、売上高12億円以上といった三本柱で、競技成績は問われない。新リーグ開幕後も同ライセンスの基準が昇降格の条件となっていく。

 以下に新Bリーグのライセンスの概要をまとめた。なお、新BリーグではB3も完全プロリーグとなる。

 

[新B1]
入場者数:4,000名以上
売上基準:12億円以上
アリーナ観客席数:5,000席以上

[新B2]
入場者数:2,400名以上
売上基準:4億円以上
アリーナ観客席数:観客席数3,000席以上

[新B3]
入場者数:-
売上基準:2億円以上
アリーナ観客席数:3,000席以上

※アリーナには席数だけではなく、座面の幅やスイートや車いす席の規定、音響・映像設備についてなど、スペックを指定した多岐にわたる基準があり、新B1は新B1アリーナ基準、新B2は現B1基準、新B3は現B2基準が採用される。

 

 

 1年目(2026-27シーズン)の参入クラブは24年11月に発表予定で、2年前カーディングを実施するため、今シーズン(22-23)と、来シーズン(23-24)が審査対象となり、新B1ライセンスは最大18クラブ、最低10クラブに与えられる予定。ライセンスをクリアするクラブが10クラブに満たない場合は、新Bリーグのスタートを延期する。

 島田慎二チェアマンは将来構想の基本的な考え方を「地域に根差し、地域に必要とされるクラブになるため」とし、「たくさんの観客に来ていただき、地域が盛り上がり、より発展するために新しいアリーナが必要となっていくのが理想。地域の課題解決のためのエネルギーとなれるように」と説明。それを実現していくために「経営」「強化」「社会性」と三つの基軸を挙げた。

「経営」に関しては、「Bリーグはまだまだマイナーな存在。しっかりとクラブが成長していかなければ、地域を活性化することはできません」と島田チェアマン。現時点を「Bリーグの将来性が期待され、投資がされている状況」と分析した上で、「本質的な成長がともなわなければ、かつて企業のバスケットボールチームが次々に廃部となっていた状況と変わらなくなってしまう」と危機感も抱いている。そのためには、入場者が増え、スポンサーを獲得し、地域に認められていくような本質的な価値の向上、サスティナブルな経営による売り上げの増加を求めていく。

 また、あえて「強化から逃げない」と日本代表の強化の一翼を担う決意も示した。選手の日本代表活動はクラブの人気向上や強化につながる反面、チーム練習やイベント、場合によっては試合に出場できないといった負の要素にもなりかねない。一方、代表チームとしては1日でも長い強化期間を望むだろう。そうしたことと真摯に向き合い、JBAともしっかりと連携していくという。それは大局的に見て、日本のバスケットボールの価値が上がること、日本代表に選ばれた選手たちの価値が上がることが、Bリーグ、クラブにとっても成長につながるからだ。

 そうした土台を築き、地域の活性化に貢献し、経済効果をもたらすことができるようにしていきたいというのが「社会性」だ。

島田チェアマンは、将来構想を「第3次成長ステージ」と表し、B1選手の平均年俸が2500万円、チームスタッフの平均年収が1000万円と、なりたいスポーツ選手、憧れの職業になるような状況を想定。地域に経済効果をもたらしつつ、売り上げ高20億円を超えるクラブが多数存在する、NBAに次ぐ「世界2位のプロリーグが目指すべき姿」とした。そのための改革が掲げられた「将来構想」になる。

 本日、9月29日より名古屋ダイヤモンドドルフィンズ対シーホース三河の一戦で開幕する今シーズン。各クラブは試合の勝敗だけでなく、その運営力も問われることになる。

 

(飯田康二 / 月刊バスケットボール)



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