月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.09.28

渡邊雄太(トロント・ラプターズ)が2021-22シーズン到来を告げるメディアデーに登場

 渡邊雄太がトロント・ラプターズのメディアデーの一環で、日本時間9月28日0時(北米東部時間27日午前11時)からズーム会見に応じた。白ベースのゲームジャージーに身を包んだ渡邊は、穏やかな表情でコンディションも上々の様子だ。

 

オンラインで取材に応じた渡邊の表情には自信と落ち着きが感じられた(写真をクリックするとインタビュー映像を見られます)


今シーズンから始めて住むトロントの町では、日本食が食べられる店も多く、街並みや雰囲気にもなじんできているようだ。「トロントに来て2週間ぐらいですかね、今…。本当に住みやすい街だなと思います。きれいで、本当にこれから住んでいくのが楽しみだなという感じです。外を歩いていると声をかけられることも結構多いですし、やっぱりたくさんの人が試合を見ているんだなということをすごく感じました」


昨年ホームとしたフロリダ州タンパから、国境を越えてトロントに移り住んでからは、プライベートでシェフを雇い入れ、これまで以上に食事に気を使っているという。体重管理も100kgに届かないあたりの、自身のプレースタイルとして好ましい数値でうまくできており、コンディションは過去最高レベルとも話した。東京2020オリンピックとそこに至る国際試合でハイレベルな戦いに身を置き、緊迫感のある実戦を体験できたことは、レベルアップだけではなくコンディション維持という意味でも非常に大きなプラスになったようだ。

 

7月18日、フランス代表を破ったエキジビションでの渡邊

(写真/石塚康隆 月刊バスケットボール)


渡邊は今年で27歳(10月13日が誕生日)になる世代だが、この年齢は現在ラプターズのキャンプロスターに登録されている20人のプレーヤーの中では、中堅と言ってもおかしくない世代。最年長のゴラン・ドラギッチが35歳だが、次に年長なのが9月28日で29歳になるケム・バーチで渡邊は2歳しか違わない。


また、NBAでのプレー歴では14シーズン目のドラギッチが“別格”の長さだが、次に長いフレッド・バンブリートとパスカル・シアカム(6シーズン目)に対し渡邊は4シーズン目。もちろんキャリアの道筋が大いに違うので、チャンピオンシップを獲得したバンブリートとシアカムをGリーグとの行き来が多かった渡邊と同一視はできないが、5人いるルーキーから見れば、3シーズン目で本契約を勝ち取った渡邉のキャリアはリスペクトの対象にもなるだろう。


昨シーズン開始時と大きく異なる自身の立ち位置について、渡邊は「今年で27歳になる年なので、NBAで言ったら19歳、18歳、20歳とかから入ってくる人が多いので、そういう人を見ると自分も結構年齢が上の方だなと思うんですけど、やっぱり長さで言ったらまだ4年目ですし、本当に1年目の気持ちで、いつでも崖っぷちの気持ちでやっていかなければ、僕はこの世界で生き残っていけないと。そういう気持ちは絶対に忘れないようにしなくてはいけないと思っています」と話した。


まだ4年か、もう4年か。日本のバスケットボール界としても誇ることのできる歴史を作り、自身としても著しい成長を見せたこの時間は、自信をつけた一方でこの世界の厳しさを体で感じとる時間だったのかもしれない。「今シーズンの契約が保証されているわけではないので、まだチームから具体的に、細かくこうしてほしいというような話を言われているわけではないですけど、やっぱり昨シーズン同様にまずディフェンスの部分をしっかりやって、オープンショットをしっかり決めて、オフェンスの部分でももっともっと絡んでいけたらなと思っています」


ラプターズは日本時間29日(水=北米東部時間28日の火曜日)からトレーニングキャンプに入り、日本時間10月5日(火=同4日の月曜日)以降プレシーズンゲームを5試合戦って、同21日(木=同20日の水曜日)のワシントン・ウィザーズとのホームゲームからレギュラーシーズンに突入していく。八村 塁との日本人対決の可能性があるこの開幕初日にロスター入りを果たせば、渡邊はシーズンを通じての契約が保証される。


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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