月刊バスケットボール5月号

女子日本代表、世界3位に健闘及ばず4連敗でFIBA女子ワールドカップ2022終了

 日本のFIBA女子ワールドカップ2022における戦いが終わった。前日の時点ですでに決勝トーナメント進出がかなわないことが確定した日本は、グループラウンド最終日の9月27日に開催国オーストラリアと対戦。第1Qは2点リードして終え、前半終了時点でも1ポゼッション差のビハインドで食らいついたものの、最終的には54-71で屈し1勝4敗の5位という結果となった。

 


14得点と奮闘したオコエ桃仁花(写真/©FIBA.WWC2022)

 

オーストラリア 71(16 20 20 15)
日本 54(18 16 09 11)
日本のトップパフォーマー
オコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ) 14得点、フィールドゴール成功率50.0%、3P成功率42.9%(7本中3本成功)、3リバウンド、1ブロック
渡嘉敷来夢(ENEOSサンフラワーズ) 6得点、7リバウンド
宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ) 1リバウンド、5アシスト、1スティール

 


第1Q、馬瓜ステファニーが右コーナーからの3Pショットを決め、さらにファウルをもらって4ポイントプレーを成功させたシーン。この時点では日本が18-13と先行していた(写真/©FIBA.WWC2022)

 


日本は今大会で、平均得点63.2が全12チーム中10位。5試合中3試合は50点台に抑えられた。大きな要因は、オフェンス面で「世界一のアジリティー」を発揮できずボールハンドラーが分断されたことでターンオーバーを犯したりショットセレクションが悪くなるケースが増えたことと、武器とするはずだった3Pショットが26.8%の成功率、平均7.6本の成功数にとどまったことだ。銀メダルを獲得した東京2020オリンピックと比較すると、オフェンスの機能不全が明らかで、個人成績でも平均得点が2桁に到達したプレーヤーはいなかった。

 

☆東京2020オリンピックとワールドカップグループラウンドの比較
東京2020オリンピック → ワールドカップグループラウンド
平均得点 77.1(大会2位) → 63.2(大会10位)
3P成功率 38.4%(大会1位) → 26.8%(大会9位)
3P成功数 12.2本(大会1位) → 7.6本(大会5位)
3Pアテンプト数 31.7本(大会1位) → 28.4本(大会1位タイ)
ターンオーバー 10.3本(大会1位*) → 13.4本(大会5位)
*=ターンオーバーは少ない方から数えての順位


日本の平均失点は66.1で、失点が70に到達したのは最後のオーストラリア戦だけ。ディフェンス面では「世界一のアジリティー」の威力を一定以上感じさせるパフォーマンスだっただけに、プレーメイクとロングレンジ・シューティングの不振は非常に痛かった。


恩塚 亨HCは試合後の会見で、「結果に対する責任を感じています」と話し、指揮官としてプレーヤーたちの自信を維持できなかったことが厳しい結果につながったことを悔やんだ。時としてミスを恐れながらプレーしていたようにも見えた今回のチーム。「恐くなった時に自分で判断をするという経験を大きな舞台でやっていくことについて、初めての選手も多かった中で負荷をかけすぎたのかもしれません」


キャプテン髙田真希の「悔しい」という一言。「4年に一度のこの大会は、このチームで戦う最初で最後の大会と思ってプレーしました」というオコエの言葉。高い目標に向かってチーム一丸となった全力プレーを見た後、プレーヤーたちの涙を浮かべる表情を見、震える声を聞くのがつらい夜だったが、得られた経験や思いは必ずや次につながるに違いない。


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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