月刊バスケットボール5月号

女子日本代表ホーバスジャパン、歴史を作る世界の4強入り

歓喜の瞬間!(写真/©fiba.basketball)

 

 東京オリンピックの5人制女子バスケットボール準々決勝で、日本代表がベルギー代表を86-85で破り、日本の女子バスケットボール史上初めてとなるオリンピックでの準決勝進出に成功した。

 

 女子日本代表は、「世界の4強」という称号を手に入れた。

 

 非常に厳しい戦いだった。第2Q半ばに30-18とリードを奪いながら、中盤はベルギー代表に流れを奪われ、一時は13点のリードを許していた。第4Q開始時のスコアは61-68と7点を追う立場。しかし終了間際の2分間は、金メダル候補と呼ぶにふさわしい、非常に落ち着いた試合運びだった。

 

厳しい展開となった中盤、宮澤の3Pショットがチームを窮地から救っていた(写真/©fiba.basketball)


流れを変えたのは、77-81で日本が追う状況だった残り1分54秒のプレー。町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)のドライブに対し、ユリー・ファンローがアンスポーツマンライク・ファウルを犯し、町田のフリースロー2本と続くオフェンスでの赤穂ひまわり(デンソーアイリス)のドライビング・レイアップで一気に4点連取。残り1分45秒に81-81と同点に追いついた。

 

一瞬のローテーションミスを突いた赤穂のドライビング・レイアップで、日本は81-81と同点に追いついた(写真/©fiba.basketball)

 

 ここからは全身がしびれるような神経戦。しかし日本代表は「クラッチ」だった。


再び先行され81-83となった後、残り52秒には町田からの絶妙のキラー・パスがベースライン際に切れ込んでくる高田真希(デンソーアイリス)に渡り、高田がリバースレイアップをしっかりとゴールに流し込んで83-83。これまで何度もチームを救ったベテラン同士の連係が、日本代表に息を吹き返させた。

 

世界の8強対決でダブルダブル。町田のプレーメイクは、試合のたびに切れ味がどんどん鋭くなってきているようだ(写真/©fiba.basketball)

 

 それでもベルギー代表はジュリ・アルマンのフリースローで残り37秒に2点先行。しかし残り16秒、歴史を動かす運命の一撃が飛び出す。この日ベルギー代表の厳しいディフェンスの前に思うように得点できていなかった林 咲希(ENEOSサンフラワーズ)が、トップ付近で町田からボールを受け、まとわりつくディフェンスをかわして3Pショットを狙う。これがみごとにネットを揺らし、日本代表に86-85と再びリードをもたらした。

 

勝負を決定づけた林の逆転3Pショット。最も大事な局面でショットメイカーとしての仕事をやってのけた(写真/©fiba.basketball)

 

 タイムアウト明け、ベルギー代表最後のオフェンスは、この日好調だったキム・メスダフのミドルジャンパーがミスショットに終わる。我慢強く守った日本代表に、歴史的勝利の瞬間がやってきた。


日本代表は町田が10得点に14アシストのダブルダブル。高田もビッグショットを次々と沈めて19得点を記録した。また、ナイジェリア代表との試合からシューティングのタッチが良かった宮澤夕貴(富士通レッドウェーブ)は、3Pショット13本中7本を成功させてチームハイの21得点。終盤の同点レイアップををはじめ、赤穂の12得点とチームハイの7リバウンドも貴重だった。10得点、2アシストの本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)を含め、日本代表は5人が2ケタ得点を記録している。

 

「ここで1本どうしても欲しい」というときに高田の勝負強さが頼りになった(写真/fiba.basketball)

 

 準決勝の相手は、8月4日午後9時からのスペイン代表対フランス代表の勝者。準決勝は8月6日(金)の午後8時試合開始だ。

 

ドライブあり、3Pショットあり。本橋のプレーぶりはまさしく果敢だった(写真/©fiba.basketball)

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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