5人制女子バスケ日本代表、難関グループB突破なるか? - 8.2対ナイジェリア代表戦展望

アメリカ代表戦で果敢なドライブを試みるナイジェリア代表のカルー。スピードと得点力のあるプレーメイカーだ(写真/©fiba.basketball)


非常に危険なナイジェリア代表

 

 ナイジェリア代表の平均身長はフランス代表と同じ185cmあり、190cm台のフロントラインが3枚。バックコートのエジ―ネ・カルー(173cm、平均13.0得点、2.5アシスト、1.5スティール)、プロミス・アムカマラ(175cm、10.5得点、3.5アシスト、2.5スティール)らが攻守に非常にアクティブで、フルコート・プレスと速攻でアグレッシブに対抗してくるチームだ。フランス代表には62-87で敗れ現時点では0勝2敗だが、この試合はいわゆる「番狂わせ注意報(upset alert)」がつく試合と言えるだろう。それだけに、2試合を終えて大会のアシストリーダー(平均11.0)の町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)を中心に、弱気にならず思い切りのよいオフェンスを展開する姿勢が重要になる。

 

冴えを見せる町田のプレーメイクはこの試合でももちろん欠かせない要素となるだろう(写真/©fiba.basketball)

 

 日本代表はここまでの2試合で、高さのある相手に対し大きな課題としてきたチームディフェンスとチームリバウンドでよく奮闘している。リバウンドでは、フランス代表に対し34-35とほぼ互角。セカンドチャンスでの得点(9-8)、リバウンドの副産物でもある速攻での得点(12-8)で相手を上回ったことが勝利の大きな要因だった。

 

 また、平均身長がさらに大きなアメリカ代表(平均186cm)に対しても、リバウンド総数では33-48と上回られたが、オフェンス・リバウンドでは8-6と勝っていた。日本代表の平均身長は176cmだが、毎試合長身プレーヤーとフィジカルに戦っている高田真希、2試合でチーム1位の平均8.5リバウンドを記録している赤穂ひまわり(ともにデンソーアイリス)らの奮闘で、平均で9-10cmある身長差を非常によく埋めている。

 

 アメリカ代表を80点台にとどめたディフェンスも、非常に高く評価できる。この試合ではフルコート・プレッシャーと高田を中心としたポストプレーヤーに対するダブルチームが非常に有効で、WNBAのスターがそろうアメリカ代表からターンオーバーを17本誘発させ(日本代表は10本)、そこからの得点で19-12と上回った。

 

15-20cmもの身長差を跳ね返す高田のインサイドプリゼンスは世界でほかにないレベルだ(写真/©fiba.basketball)

 

 ナイジェリア代表との試合では、リバウンドとディフェンスの側面でこれまでの2試合と同レベルのパフォーマンスをすることに加え、3Pショットの精度を高められるかどうかがカギとなる。

 

 3Pシューティングに関して、この2試合は大きな波があった。初戦では長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス)、林 咲希(ENEOSサンフラワーズ)を中心にチームとして40.7%(11/27)を成功させた。特に第4Q終盤、69-68の1点リードだった残り29秒に、宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)のアシストで長岡が沈めたクラッチスリーは、試合の流れを日本代表側に引き寄せる一撃だった。

 

 しかしアメリカ代表との試合では逆に、3Pショットが26.3%(10/38)と低調だったことが、流れを持っていかれる要因となった。この試合では第1Qを30-28と日本代表がリードしていたが、好調の要因だった3Pショットが第2Q以降に急降下。相手のドーン・ステイリーHCは試合後に、「第2Q以降はドリブルさせるように仕向けました」と話していたが、第2Q以降は長身プレーヤーがコンテストしてくる中で、やはりストロークが影響を受けたか…。ナイジェリア代表との試合では、同じ結果は何としても避けたいところだ。

 

 5人制女子バスケットボールはグループラウンドを8月2日に終了し同日に決勝トーナメントのドローが行われる。決勝トーナメントは8月4日(水)の準々決勝で幕を開け、その後上位戦は8月8日(日)の決勝戦まで続いていく。

 

林は2試合で3Pショットを13本中5本(38.5%)成功させ平均12.0得点。ナイジェリア代表との試合でも活躍に期待がかかる(写真/©fiba.basketball)


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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