月刊バスケットボール5月号

【四国インターハイ】京都精華学園の“5人目”を担う度胸満点ルーキー「桃井優」

精鋭軍団の“5人目”は期待の1年生ガード

 

インターハイは4日目を終え、男女共にベスト4が出そろった。優勝候補の一角、京都精華学園(京都府)は3回戦で桜花学園(愛知県)との壮絶なゲームを乗り越え、準々決勝では奈良文化(奈良県)に快勝。ベスト4にコマを進めた。

そんなチームのスタメンには大会ナンバーワン留学生とも称される#4イゾジェ・ウチェを筆頭にU17ワールドカップでも活躍した#5柴田柑菜と#10八木悠香、そしてトリッキーなプレーでチームを引っ張る司令塔の#11堀内桜花というダイナミックなカルテットが名を連ねる。

 

そして、スタメンの最後のスポット、つまり“5人目”を担っているのが、この記事の主人公#14桃井優である。

 

スタメン唯一の1年生であり、身長も164cmとチームの中では決して大きくない。しかも、付属の京都精華学園中から上がってきた選手が大半を占めるチームの中で、桃井は外部の西ノ京中から入学を決めた選手だ。

 

ミニバス、中学と全国大会には紙一重のところで出られず、キャリアでいえば他の選手には劣る桃井。それでも、堀内と八木が不在だった近畿大会では堂々としたプレーで決勝進出の原動力の一人に。インターハイに入っても、主にディフェンスとボール運びの部分でチームに貢献。入学からわずか4か月余りで山本綱義コーチからの信頼を勝ち取った。

 

山本コーチは桃井について、「あの子は育てていきたいと思っています。身長はないですけど度胸があります」と評価しており、「あの子を育てることが内部(京都精華学園中)から進学した子らに対する大きな刺激になる」と、中学からのメンバーへの発奮材料になるような活躍に期待している。

 

特に、大一番となった桜花学園戦では、敵エース#4横山智那美のマークを任され、ディフェンス面で大奮闘。いくつかのポゼッションで横山をマンツーマンで抑え込む場面も見られた。「自分はシュートなどが特別うまいわけではないので、ディフェンスの面でしっかり言われたことを徹底しようと思っていました。桜花学園戦では横山選手につけと言われたので、必死に止めようと、せめてディフェンスでは完璧に今やれることをやってやろういう気持ちでした」と桃井。後半は横山に15得点を許したものの、「今やれること」は高い水準で発揮できたはずだ。

 

「初めての全国大会で、自分には大き過ぎるぐらいの経験をさせていただいて、まだ実感はないですけど、すごくうれしいです」と言う桃井の表情は、試合を重ねるごとに自信に満ちあふれてきているように感じられる。

 

次は準決勝で八雲学園(東京都)と対戦する。初めてづくし、まるで夢の中にいるかのような桃井の夏は、まだまだその途中だ。

 

取材・文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

 

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