月刊バスケットボール6月号

町田瑠唯>世界 - 町田、目下アシスト世界1位

プレーコールをしながら相手(バード)に視線を置きつつ、周辺視野で5人の様子を見ている。町田の能力の高さを切り取った一コマだ(写真/©fiba.basketball)

 

 7月31日までに出場全8チームが2試合ずつを終えた東京オリンピックの5人制女子バスケットボールで、日本代表の町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)が個人成績アシスト部門のトップに立っている。


町田はフランス代表に勝利した初戦で7得点、11アシスト、次の対アメリカ代表戦で9得点に11アシストを記録。ランキングでは2位にアメリカ代表のスー・バードが9.5本で続いているが、アベレージ11.0本はWNBAで活躍する大ベテランを1本以上引き離す抜きん出た数字だ。


町田の2試合目は特に評価できる。というのも、試合前にUSAバスケットボールが発信したリリースで注目のプレーヤーとして警戒されていた中で、前述の得点とアシストに対しターンオーバーが1本しかなかったからだ。FIBA世界ランキング1位の相手に対して、プレーメイクの堅実さを示す指標の一つであるアシスト・ターンオーバー・レシオ(AST/TO)が11.0というのは、ひいき目なしに絶賛されるべきパフォーマンスと言える。

 

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 日本代表はアメリカ代表に69-86で敗れたが、ドーン・ステイリーHCは「日本代表は常に(引き離されることなく)ついてきた」と引き締まった好ゲームを表現していた。その大きな要因の一つが、町田のプレーメイクだった。

 

町田は今大会2番目に小柄なプレーヤーだが、ここまでのプレーメイクは№1だ(写真/©fiba.basketball)


北海道旭川市出身のポイントガード、町田瑠唯。今大会の出場全8チームのロスターを公式サイトで確認してみると、町田より小柄なプレーヤーはほかに一人しかいない(プエルトリコ代表のジャクリーン・ベニテス、155cm)。しかし、ホーバス トムHC率いる日本代表の12人が織りなすチームワークの中で、小柄で俊敏、頭脳明晰な特徴が、世界のどこにもない価値を生み出している。

 

 こうした個人成績は、町田自身の有能さに加えてチームメイトの有能さ、チーム内の連係の良さ、完成度の高さの証しでもあるだろう。それを示すように、個人成績ランキングのアシスト以外の部門でも、トップ10に町田以外のプレーヤーも名を連ねている。

 

 アメリカ代表に対し3本の3Pショットを決めたオコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ)は3P成功率50.0%で同部門の6位タイ。また赤穂ひまわり(デンソーアイリス)と林 咲希(ENEOSサンフラワーズ)も平均スティール本数2.0本が同部門5位タイ。赤穂は日本代表の重要事項であるリバウンドでも10位に入る平均8.5本。いずれも頼もしい活躍だ。

 

アメリカ代表との試合でエンジンがかかってきたオコエは、2試合終了時点で3P成功率ランキング5位タイ(写真/©fiba.basketball)

 

赤穂はディフェンスとリバウンドという、日本代表に欠くことができない側面で非常に大きな貢献をもたらしている(写真/©fiba.basketball)

 

 

3Pショットが最大の武器の林だが、速攻のフロントランナーとして、またディフェンダーとしての貢献も大きい(写真/©fiba.basketball)

 

※この記事は7月31日までの集計を基にしています

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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