男子バスケ日本代表、世界王者スペイン代表相手に11点差黒星

 ところがここから日本代表は「魔の5分間」にのまれてしまう。前半終了間際に八村がパウ・ガソル越しの豪快なダンクを決めるまで日本は無得点。逆にスペイン代表に19連続得点を許してしまった。きっかけとなったのは、エドワーズのアンスポーツマンライク・ファウル。トランジションでオフェンスに戻ろうとするマルク・ガソルを故意に抱きかかえて動けなくした行為と捉えられた結果、マルク・ガソルに2スローが与えられ、かつボールはスペインが保持という状況になった。強豪に対して見せてはいけないスキを見せてしまったということか。

 

 2-20のランを食らって前半を終えた時点で48-28。ただ、日本代表側の問題もあったとはいえ、やはりスペイン代表の強さ、素晴らしさがよく出ていた。


この時点でスペイン代表は、ペイントでの得点で22-12と日本代表を圧倒していた。ガソル兄弟やウイリー・エルナンゴメス(ニューオリンズ・ペリカンズ)、ウスマン・ガルバ(レアル・マドリッド)、クラベールら、フロントラインの力強さはどのチームにとっても対抗するのが厳しい。ルビオのプレメイクがそれを一いっそう難しくする。


また、ショットの決定力でも差が出た。日本代表のディフェンスが悪かったというよりも、コンテストされたショットもスペイン代表は高確率で決めてきた。チームとして、この時点での3P成功率は42%(日本代表は27%)2Pフィールドゴールは、ペイントで高さを生かしたケースが多かったこともあり67%を決められてしまっていた(日本代表は35%)

 

プロの仕事をした金丸晃輔

 

 ただ、後半の日本代表は、まさしく互角以上と言えるプレーを見せ、第3Q、第4Qともスペインの得点を上回っている。

 

 非常に勇気づけられたのは、42-66と徐々に引き離されつつあった第3Q残り4分過ぎに、渡邊に代わって投入された金丸晃輔(島根スサノオマジック)が、直後のオフェンスにおけるファーストタッチで馬場のアシストを受け右コーナーから3Pショットを成功させたこと。金丸は次のオフェンスでも、田中のパスを受けドリブル一つついてのプルアップで3Pショットを決めて、さらに続くオフェンスではファウルを誘ってフリースローを2本沈めた。

 

 ショットクロック上は投入から1分半経過していない。その短い時間に8連続得点で50-68と日本代表をゲームの中に引っ張り戻した活躍は、BリーグMVPの面目躍如。決定力で劣っていた日本代表に、もう一度前を向かせる価値ある貢献だった。

 

 勢いづいた日本代表は、渡邊がスティールからダンクを叩き込み54-69。続くディフェンスで、インサイドに攻め込んできたパウ・ガソルをチームで阻止しターンオーバーを誘うと、カウンターアタックで渡邊がシェーファーのレイアップをおぜん立て。このクォーター残り1分程度を残して56-69。3Pショット5本の差は小さいとは言えないものの、現代バスケットボールではワンチャンスで追いつける圏内に世界王者を捉え、最終クォーターに進むことができた。

 

第3Q終盤の渡邉のダンク。この夜は攻守にNBAプレーヤーの貫録を見せる活躍を見せた(写真/©fiba.basketball)



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