月刊バスケットボール5月号

3×3男子日本代表、厳しい2連敗で1勝3敗に

負けが先行し苦しい状況となった3×3男子日本代表だが、まだまだ十分メダル獲得の可能性は残っている(写真/©fiba.basketball)


東京オリンピックの新競技として世界中の注目を集めている3×3バスケットボールの大会2日目。男子日本代表はオランダ代表、ラトビア代表と強豪相手の2試合をこなしたが、残念ながら勝利をつかむことはできなかったが、初日に続いて大激戦を披露した。

 

 この日を終えた段階での成績は1勝3敗で、8チーム中の6位と厳しいポジション。ただし、決勝トーナメント進出圏内にとどまっており、大会3日目の7月26日(月)の動向がそれ以降の展開に大きく影響する状況だ。

 

<男子日本代表第3戦>
今大会最高の大激戦! 富永10得点及ばず20-21で惜敗


 男子日本代表の今大会3試合目は、今大会最大のハイライトを提供したとも思われる見ごたえ満点の一戦になった。激しい点の取り合いとなったこの試合、日本代表は落合知也(越谷アルファーズ/TOKYO DIME.EXE)、富永啓生(ネブラスカ大学)、ブラウン アイラ(大阪エヴェッサ)の3人がスターター。その中で、富永啓生(ネブラスカ大学)の爆発的なオフェンス力が炸裂した。


日本代表の最初の得点をドライブから奪った富永は、2Pショット4本を含む10得点。2P成功率も50%で、高確率なショットが次々とネットを揺らした。その脅威に引っ張り出されたオランダのディフェンスに対するアタックも有効で、鋭いドライブでマッチアップ相手を完全に振り切ってレイアップを決めるシーンもあった。


最大得点差は残り3分を切った時点での4点(日本の16-12)。それもアルビン・スラフターの2Pショットですぐさま16-14と追い上げられるという非常に引き締まった展開だった。それだけに、得点こそなかったもののルーズボールやリバウンドで奮闘した落合の活躍も目を引いた。


終盤の約2分間は、ブラウン アイラ(大阪エヴェッサ)のこの試合2本目となる豪快なスラムダンクと、保岡龍斗(秋田ノーザンハピネッツ/SEKAIE)の連続得点が日本代表の力になった。しかしこの時間帯に相手の2Pショットを止められず、突き放しきれなかったのが痛かった。


最後は保岡のレイアップで20-20に追いついた後、ブラウンのファウルから相手にフリースロー献上。アルビン・スラフターに1本目を沈められて激戦に終止符が打たれ、残念ながら日本代表が勝ち名乗りを挙げることはできなかった。

 

富永はまさしく爆発的という言葉がふさわしい活躍を見せた(写真/©fiba.basketball)


日本(1勝2敗)20-21オランダ(2勝1敗)
保岡龍斗 7得点、1リバウンド、1キーアシスト
富永啓生 10得点、1キーアシスト
ブラウン アイラ 3得点、5リバウンド、2キーアシスト
落合知也 4リバウンド
※キーアシスト=制限区域内の見方プレーヤーに得点に有利な状況を生み出すラストパス

 

迫力満点のダンクを2発を決めたブラウンの力強いプレーはこのチームに欠かせない(写真/©fiba.basketball)

 

<男子日本代表第4戦>
世界の上位ラトビアに健闘も3点差で連敗

 

 3×3バスケットボールの世界でトップレベルの強豪の一つとして知られるラトビアに対し、日本代表は堂々大接戦を演じたが、得点力のあるナウリス・ミエジス、カーリス・ラスマニスの1-2パンチに13得点を奪われ、点の取り合いに屈した。

 

 序盤に3点先行された日本代表は、富永が3連続で2Pショットを決め開始1分30秒の時点で6-6と互角の勝負に持ち込む。試合はそのまま接戦となり、残り4分52秒に保岡が2Pを決めた時点では、日本代表が14-12とリードを奪っていた。しかし残り4分25秒にラスマニスの2Pショットで15-14と再び逆転を許すと、以降は追う展開に。残り2分14秒、富永がドライビング・レイアップを沈めて18-19と1点差に迫ったが、最後は2分6秒を残してエドガース・クルミンスにノックアウトとなる2Pを決められ、万事休してしまった。

 

 ここまでの4試合、簡単な相手が一つもない一方で太刀打ちできない相手がなく、どの試合も競った内容になっている。3敗は厳しい結果として受け止めなければならないが、再度コンディションを整えて残る3試合を戦い切ることが重要だ。6位までに入って決勝トーナメントに進出できさえすれば、メダル獲得の可能性は十分にある。

 

実力伯仲なだけにリーダーシップが大きな意味を持つ今大会。落合の存在価値はますます増してくるだろう(写真/©fiba.basketball)

 

日本(1勝3敗)18-21(ラトビア3勝1敗)
保岡龍斗 6得点、2リバウンド
富永啓生 9得点、2リバウンド
ブラウン アイラ 1得点、5リバウンド、1キーアシスト
落合知也 2得点、2リバウンド

 

この試合でも6得点を挙げた保岡のオフェンス力は相手にとって脅威となっていた(写真/©fiba.basketball)


☆このほかの男子の試合結果
ベルギー(2勝1敗)21-16ROC(1勝2敗)
セルビア(3勝)15-12ポーランド(1勝2敗)
ラトビア(2勝1敗)18-17中国(3敗)
セルビア(4勝)21-14ベルギー(2勝2敗)
ポーランド(2勝2敗)21-16ROC(1勝3敗)
オランダ(3勝1敗)21-18中国(4敗)

 

中国代表対ラトビア代表より、ショットを放つペン・ヤン(写真/©fiba.basketball)


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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