5人制男子バスケ日本代表東京2020展望&TV放送予定

日本代表と同組のスペイン代表とアルゼンチン代表はFIBAワールドカップ2019のファイナリスト(写真/©fiba.basketball)

 

ポテンシャル示した前哨戦5試合

 

 しかし、核となる4人がエキジビションと同レベルで活躍したとしても、グループラウンドで1勝するには足りないだろう。

 

 スペイン代表はFIBAワールドカップ2019のチャンピオンであり、ここに至るまでに5試合行ったウォームアップ・ゲームでも、負けたのはFIBA世界ランキング1位の意アメリカ代表との試合だけだ。パウとマルクのガソル兄弟をはじめ、ルディ・フェルナンデスやセルヒオ・ロドリゲス、リッキー・ルビオら過去・現在のNBA プレーヤーが健在ぶりを示している。


リトアニア、カウナスでの最終予選を勝ちぬいたスロベニア代表は、NBAオールスターで身長201cmのルカ・ドンチッチという、現在世界最高のポイントガードの一人を擁するチームだ。その最終予選では、戦った4試合で平均106.0得点という爆発的なオフェンス力を見せていた。平均21.3得点、8.0リバウンド、11.3アシストのドンチッチさえ何とかすれば勝てる…のは正解かもしれないが、それが極度に難しいことは、NBAファンならずとも感じてもらえるのではないだろうか。


グループ戦の最後に対戦するアルゼンチン代表はFIBA世界ランキング4位で、スペイン代表とともにFIBAワールドカップ2019の決勝に進出したチームだ。大ベテランのルイス・スコラのリーダーシップの下、デンバー・ナゲッツのポイントガード、ファクンド・カンパッソら現役NBAプレーヤーを中心に知略・戦略で対抗してくる。ラスベガスでのエキジビション3試合は、ナイジェリア代表、オーストラリア代表、アメリカ代表に対しいずれも黒星で終わったが、セルヒオ・エルナンデスHCはまったく動じていない。

 

 日本代表にとって非常に明るい材料は、真の強豪と呼べるこれらのチームへの挑戦を前に、エキジビション・ゲームで光るプレーを見せたのが、前述の6人だけではなかったことだ。例えば金丸晃輔(島根スサノオマジック)は、この5試合で3Pショットを39.1%の確率で決めた。海外組がそろってからの2試合で5本中1本しか決められていないが、逆にそれだからこそ本番で確率が上向くことが期待できる。


富樫勇樹(千葉ジェッツ)はBリーグでのチームメイトであるエドワーズとの速攻を演出したり、スピードを生かしたドライブや1対1から思い切りよく放つ3Pショットで相手にダメージを与えていた。2Pショットの成功率は75.0%と非常に高い。アシストも5試合中3試合で3本記録しており、おおむね流れを掌握できている。

 

つなぎのプレーメイカーとして好プレーを見せた富樫の存在も頼もしい(写真/石塚康隆 月刊バスケットボール)


張本天傑(名古屋レッドダイヤモンドドルフィンズ)とシェーファー アヴィ幸樹(シーホース三河)は、体を張ったリバウンドとディフェンス面での存在感に加え、相手のディフェンスをアウトサイドに引っ張り出せるシューティングレンジを示した。渡邉飛勇(琉球ゴールデンキングス)も、ワンポイント的な起用の中で、獲るべきリバウンドを獲った。彼らバックアップ・フロントラインの貢献があってこそ、八村と渡邊の能力が全開で発揮できるというものだ。


フランス代表相手には出場機会がなかったベンドラメ礼生は、6月のアジアカップ2021予選の段階から、試合の流れを変える重要なプレーをたびたび成功させた。相手のガードに対する非常にアクティブで執拗なディフェンスが効果的で、“ゲームチェンジャー”としての存在価値を大いに感じさせている。

 

日本代表は中心となるプレーヤーだけでなく12人の総力戦で活路を見出したいところ(写真/石塚康隆 月刊バスケットボール)

 

慌てず序盤を組み立て好機をつかめ!


FIBAワールドカップ2019の初戦でトルコ代表と対戦した際、日本代表は最初の5分余りで5-15と先行された。最初の得点(ファジーカス ニックの3Pショット)までは約2分半かかっており、その間に3つターンオーバーを犯していた。


一方、今回のウォームアップ最終戦となったフランス代表との試合では、先行されたものの八村と渡邊の得点で対抗。しかも前半はターンオーバーを一つも犯すことなく安定感のあるオフェンスを展開した。その結果が第1Q終了時点で18-14、前半終了時点で46-30という優位な展開だった。


特に初戦の対スペイン代表戦でこの時間帯をしのぐことができれば、その後の戦いに活路を見出すことができるだろう。

 

 そこから先はどうなるか誰にもわからない。夢を並べて終わるとすれば、もし3試合を通じてそのような展開ができれば、勝機がどこかで訪れる。その勝機をつかんでもしも1勝でもできた場合には、8強入りの可能性が見えてくる。


さらに、仮に8強に入れる場合、それはもう、どこがどこに勝っても負けてもおかしくない舞台だ。日本は堂々と、引け目を感じることなく金メダルを語れる存在となっている。この段では、ラマス フリオHCの経験と采配もより大きな意味を持ってくるだろう。

 

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