月バスTOPICS

月バスTOPICS

2021/07/23

日米バスケ文化比較 - 4つの違いを抽出


2. 解説・実況の言葉のチョイスで高揚感が変わる

 

 さらに会話を進めると、日本のバスケットボールの試合中継で感じる、英語ネイティブのバイリンガルならではの違和感があることも、スキナーさんは話してくれた。


 実況の言葉の選択は、その場で瞬時の判断に基づいて担当者の頭の中にある引き出しから行われていくものだ。大変難しい作業であることが大前提なのだが、スキナーさんの話は非常に整理されていて、批判という観点ではなく参考になる。それは、「アメリカは自由な表現で楽しみ、盛り上げることをメインに、日本はきちんとしゃべることに注力して何が起こっているのか伝えることをメインに、実況が行われている」という見方だ。

 

 例えば、ワシントン・ウィザーズの八村 塁がゴール下の相手ディフェンダーに接触しながらダンクを決めれば、実況のJKことジャスティン・カッチャーと解説のドリュー・グッデンのやり取りは以下のようになる。

 

実況(JK)
Hachimura with a big slam!! Kon-nichi-wa!!
(ハチムラ、強烈にぶち込んだ!! コンニチハだぁ!)
解説(グッデン)
Hey, somebody getting contact, an emergency contact…!
(あれ、ちょっと誰かぶつかったみたいですね。緊急事態のようですよ…笑)

 

 また、例えばトロント・ラプターズの試合で渡邊雄太がペイントエリアを突っ切ってドライビングダンク決めたシーンでは、実況のマティーD(マット・デブリン)が以下のような表現を使って絶叫していた。

 

Whoooa! Right down the lane, Jack! With the slam!!
(うわぁぁあ! 真ん中を突っ切っていきましたよ、ジャック! ぶち込んだぁ!)

 

 ジャックとは解説のジャック・アームストロング。彼は同じプレーを、数秒後のリプレーで次のように振り返る。

 

Look at that right here, this time goes to the hole! Helloooo!!
(このプレー見てくださいよ、今度はゴールにアタックだ。ハッロォォ~!!)

 

 ちなみにこれがモントリオール育ちのクリス・ブーシェイのダンクだったら、「Helloooo!!」は「Bonjouuur!!」とフランス語になるだろう。

 

 どちらの例も、こと細かな状況説明や分析の前に、心の動きが強く伝わってくる。何かスゲぇぞ、楽しそうだな! というのがわかるのだ。


 スキナーさんは、「表現も豊富で、ときには言葉ではなく音だったりもする。驚きを表す感情のこもった言葉を使い、ファンの感情を体現してくれているかのような表現で盛り上げてくれるんです。それに対して日本では、「ダンク!」、「ダンクシュート」という言葉をほぼ毎回使って表していると思いますが、これは起こっていることを伝えようとしているんだと思うんです」という感想だ。


 アメリカの実況はニックネームや、例に出てきたコンニチハやハローなど身近な言葉を使うので、親近感が湧く。そうした実況や解説はプレーの説明がおざなりにされているかと思えばそうではない。裏の情報であったり、どうでも良い会話であったり、見ているだけではわからないところまでも楽しませてくれる。審判のコールに納得しない点などは、忖度なく議論が展開される。


 日本のバスケットボール中継では、「何が起こっているのか伝えたい気持ちが出すぎて、私には楽しむ余裕がないんです。少し疲れてしまう。プレーを喜んだりその余韻に浸るのが難しいんですよ」


 プレーを学んだり、バスケの単語を学んだりしたいのであれば日本の実況の方が良いのかもしれないと、スキナーさんは言う。「対してアメリカの中継はエンターテインメント向けなのでしょうね。それと、客観的(日本)対主観的(アメリカ)な差を感じているのかもしれません。ホーム&アウェイが明確なアメリカでは、公平な実況と解説をベースにしながら、ホームの担当者はファンのように喜ぶこともある。また。別のチームのアナウンサーもいて、彼らは彼らでひいき目にアナウンスできるんです」

  • zamstインタビュー「戦い続けるために目標に向かって」
  • 3x3日本代表、激闘の軌跡
  • ウインターカップ2021
  • 全中2021
  • インターハイ2021
  • 月バスカップ2021-u15
  • 自費出版のご案内