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2021.07.19

日本代表最新情報をリッキー・ルビオは知っていた

日本代表とスペイン代表のマッチアップ

 

 いまや日本代表の最新情報は、きっちりスペイン代表の司令塔の頭脳にインプットされているのだろうか。

 

 ルビオは身長191cmのポイントガード。ここまでの流れを見れば、スターターで登場する。日本代表は、やはりここまでの流れから考えれば、スタートの時点では192cmのポイントガード、田中大貴(アルバルク東京)がマッチアップするだろう。それでは、二人がやり合うシーンを想像して、この対決が成立しないほどの差があるかと聞かれれば、そんなことはないと感じる。


アメリカ代表との対戦におけるスペイン代表のスターターと、フランスを倒した日本代表のスターターを並べると以下のようになる(ポジションはあくまでも便宜的なもの)。

 

PG リッキー・ルビオ vs. 田中大貴
SG ルディ・フェルナンデス vs. 馬場雄大
SF アルベルト・アバウデ vs. 渡邊雄太
PF ビクター・クラベール vs. 八村 塁
C マルク・ガソル vs. エドワーズ ギャビン

 

ルビオと田中のマッチアップは見ごたえがある内容になるだろう(写真/©JBA)

 

 楽なマッチアップが一つもない一方で、個々の技量で圧倒されるとも思わない。ただ、圧倒的に違うのは経験値。日本は絶対的に、メンタルエッジを取られないことが大事だ。要は「吞まれない」ようにしなければ試合にならなくなる可能性はある。


しかしフランスとの試合で内面的に吞まれない練習ができただろう。海外組だけでなく、エドワーズ ギャビン(千葉ジェッツ)、金丸晃輔(島根スサノオマジック)、富樫勇樹(千葉ジェッツ)、張本天傑(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)、比江島 慎(宇都宮ブレックス)とコートに立ったそれぞれが、高評価に値するクォリティ・ミニッツを得た。

 

 コートに立たなかったベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)と渡邊飛勇(琉球ゴールデンキングス)はビビるだろうか? いや、アドレナリンが出すぎることはあっても、おじけづくことは絶対にないだろう。

 

 2年前、さいたまアリーナでドイツ代表を倒してFIBAワールドカップ2019に臨んだ日本代表は、コテンパンにやられた。しかしここまでの取材で聞いた話をいくつか並べれば、今の日本代表は当時から大きな発展を遂げている。


田中を司令塔にすることで大型化がかない、ピック&ロールをより広いスペースで展開することでドライブ&キックの威力を増した。シューター同士のしのぎを削る競争を勝ち抜いたBリーグMVP金丸の加入で、決定力も高まっている。

 渡邉と八村はNBAで絶対的な自信を育んで帰ってきた。馬場はNBL王者としてプライドを持ってプレーしている。


中国代表がオリンピック最終予選で結構な差をつけられて連敗を喫した(カナダ代表に79-109、ギリシャ代表に80-105)ことは、その中国代表にアジアカップ2021予選で二度敗れた日本代表に勝機ありとする見方に影を落とすだろうか。


中国代表の戦いぶりを研究すれば、それは心配ではなく注意すべき点だということがわかるだろう。若いチームで臨んだ中国代表は、すべての時間帯で支配し続けられたわけではなく、極度に悪い時間帯で取り返しきれない失点を喫していた。しかもアジアカップ2021予選での日本代表は国内組だけだった。


もちろん他チームも発展を遂げているが、完璧なチームなどどこにもない。そしてフランス代表との一戦のように、日本代表が完ぺきな試合をする日がある。


スペイン代表は、フルメンバーがそろった直後のフランス代表と行ったエキジビションに87-79で勝利している。日本代表とフランス代表のスコアは、ご存じのとおり81-75だ。

 

 スペイン代表からしたら、「おや?」と感じたに違いないが、本番でさらに驚かせることができるか。戦いの本番はもうすぐだ。


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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