女バス日本代表、堅守速攻で世界6位ベルギー代表破る

日本代表の厳しいディフェンスはベルギー代表を苦しめた(写真/©JBA)

 

高さを封じた平面バスケ

 

 ベルギー代表は登録12人の平均身長が182.3cmで、日本代表の175.6cmに比べ大型。190cm越え2人を含むこの試合でのスターターで比較すると、その差はベルギー代表の184.0cmに対し日本代表の176.4cmとさらに広がる。しかしデータ上は、ベルギー代表の高さの利を日本代表の平面的なバスケットボールが封印した形となった。

 

 高さやプレーの特徴、ランキングなどから見て、日本代表にとってベルギー代表は、東京オリンピックのグループ戦で最初に対戦するフランス代表を想定できる相手。その意味で、この勝利はチームを大いに勇気づける結果だったのではないだろうか。

 

 日本代表はリバウンドで29-38と相手を下回ったが、ディフェンスの活発さも影響して相手にオフェンス・リバウンドを許す場面が少なかった(この項目で日本代表は11-6と優位)。また、バックコートのプレーヤーもリバウンドや溺れ球に良く反応し、セカンドチャンスでの得点でも8-4と相手を上回っていた。

 

 この6月に開催されたヨーロッパ選手権で3位に入り、コンディションも上々のベルギー代表を迎えての対戦について、試合後の会見でホーバス トムHCは、「(試合前は)ちょっと心配でした」と正直な思いを明かした。しかしチームの完成度は、指揮官も驚かせるレベルだったようだ。「試合もできずプレシーズン状態だった我々の何が効くかなどわからなかった。とりあえずエネルギーで負けないように、ディフェンスのローテーションをしっかり、厳しくやっていければチャンスはあると思っていましたが、思ったよりも最初から最後までいいバスケットボールができたと思います。良かった」

 

ホーバスHCの試合後のコメントには、これまで以上に自信が感じられた(写真/©JBA)

 

 チームの司令塔として縦横無尽な活躍ぶりだった町田は、滑り出しの良さを好結果の要因として挙げ、「途中でシューターに楽に打たせてしまったんですけど、後半しっかりアジャストして、インサイドも全員でしっかり守ってリバウンドからブレイクという自分たちのペースに持っていけました」と話した。攻守に存在感を印象づけた赤穂も、「第1Qから久しぶりに良いバスケができた」と明るい表情。「個人的にはディフェンス。速いペースに持っていくためのディフェンスができたのが良かったです」。マッチアップしたメスタフに3Pショットを高確率で決められたことについて「修正に時間がかかってしまいました」と反省点として挙げたが、リバウンドに関しては、「センターがボックスアウトしてくれているところに飛び込んで獲る役割。(数字としては伸びなかったが)続けていきたい」とさらに意欲を見せた。

 

 女子日本代表は、東京オリンピック開幕前にあと1試合、17日(土)にプエルトリコ代表を相手に最後のチューンナップを行う。その後はいよいよ本番。フランス代表との初戦は、7月27日(火)の午前10時にティップオフの予定だ。

☆対ベルギー代表戦の個別成績
スタッツ略号: P=得点, FG=フィールドゴール数, 3P=3ポイントフィールドゴール数, FT=フリースロー数, R=リバウンド数, OR=オフェンス・リバウンド数, A=アシスト数, S=スティール数, B=ブロック数、*=スターター

 

#0 長岡 萌映子* 10P, 2R, 4A

(写真/©JBA)

得点だけでなく、ラストパス4本にも価値がある。ボックスアウトなど、体を張ったプレーからチャンスを生み出すプレーに現れる自信と決意が、チーム全体に伝わっている印象だ。

 

#8 髙田 真希* 10P, 3R, 1S

(写真©/JBA)

いつもどおりの冷静なプレーぶりで、攻守にチームを支えた。ゴール周辺の1対1でも、身長差を補うテクニックや状況判断を見せ積極的に攻めていた。

 

#12 三好 南穂* 17P (FG 6/9, 3P5/8)

(写真/©JBA)

心理的なダメージの大きなビッグショットを次々と決めた。本番でも必要になるだろう爆発力のあるシューティングは、チームに自信をもたらしたに違いない。



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