月刊バスケットボール5月号

薮内夏美U16女子日本代表HC、FIBA U16女子アジア選手権2022、オーストラリア戦健闘後のコメント - 「日本の選手たちの対応力がすごかった」

 ヨルダンのアンマンで開催中のFIBA U16女子アジア選手権2022に出場している、U16女子日本代表チームの薮内夏美HCからのコメントが届いた。以下は6月26日にオーストラリアとの試合に65-73で敗れた後、翌27日にニュージーランドを相手に87-49で勝利する前のタイミングで収録されたQ&Aだ。強豪チーム相手に健闘しながらも敗れた要因や、再び決勝トーナメントで対戦する可能性がある相手に対しての課題などを語ってくれている。

 


オーストラリアとの試合でコートに目をやる薮内夏美HC(写真/©FIBA.U16Asia)


――日本らしい、素晴らしい内容の試合だったと思います。今日の試合に臨むにあたり、強調していたポイントは何だったのでしょうか?


まずは高さについて。今回のオーストラリアはかなり背の高いプレーヤーがいて、誰がついてもミスマッチです。最後まで苦しめられましたが、リバウンドでは日本の選手たちは小さいながらも体を張っていたと思います。


日本らしいということで言えば、最後まで前からプレッシャーをかけ続け、オーストラリアのエネルギーと思考をそぎ落とすことがメインでした。

 

 やはり出だしは、初めての国際経験でしかもオーストラリアということからか、かなり圧倒されてしまいました。そのあたりはある程度、我々としてはわかっていたことでしたので、もう少し伝えることができたらよかったなと反省しています。


しかし後半になるにつれかなり高さや強さに慣れてきて、徐々に自分たちのプレーを出せるようになり、日本らしいプレーにつながりました。


――高さへの対応は難しかったとはいえ、リバウンドやルーズボール、執拗なディフェンスなど良く奮闘していたと思います。もう一度対戦する可能性もあり、非常に良い経験だったとも思いますが、ヘッドコーチとしてはどのような点が良かったと思いますか?


一人では対応できないリバウンドに、外回りの選手達も5人で入ることを、こちらからの指示がなくても自分たちでしっかりアジャストしてくれました。選手たちの対応力がすごかったと思います。


日本が得意とする機動力を生かしたドライブが最後にブロックされるケースも多かったので、その次の合わせ、またその次の合わせまでしっかりと連係していくことが、次回また対戦するとすれば大事になってくると思います。

 


――逆にローテーションミスからペイントで相手にイージーバスケットを許したり、相手のフルコート・ディフェンスに判断を迷ってボールを運べない場面や、アンフォースドエラーでターンオーバーとなったプレーもいくつかあったように思います。そうした部分も高さに対するメンタル面の重圧から、普段のプレーができなかった側面でしょうか?


そうですね。オーストラリアが日本の速さを警戒してかなり強いプレッシャーをかけてきていました。そのときに選手の選択肢が多すぎるとミスも多くなるので、もう少し選択肢を絞ってボールが運べるようエントリーを整理していけば、選手たちが迷わずに済んだかなと思います。


――今日の戦いぶりはチームとして自信になったのではないかと思います。明日のニュージーランドも大きなチームですが、どのような点にフォーカスを置いて臨まれるのでしょうか?


今日の日本は、40分間ベンチからもしっかりと励まし続ける声が出ていました。それを自信と誇りとしてほしいと伝えましたが、選手たちは実際悔しい思いの方が強いかもしれません。ニュージーランドも大きな相手ですので、決勝に行けば当たるだろうオーストラリアを想定しつつ、もう一度修正して、明日は出だしから日本らしいバスケットが展開できるように臨みたいです。

 

<筆者追記>
その言葉どおりの内容でニュージーランドとの試合に勝利した日本は、すでに決勝トーナメント進出を決めているが、対戦相手は28日の他チームの試合結果が出るまで確定しない。また、決勝トーナメントでは、オーストラリア以外のチームも初戦とは異なる戦い方をしてくる可能性もあり、どのチームも軽んじることができないことはもちろん大前提だ。まずは28日の戦況を見守り準決勝をしっかり戦うことから、あらためて今大会の挑戦が始まっていく。上位4チームによる決勝トーナメントは29日(水)・30日(木)に行われる予定だ。


取材・文/柴田 健(月バスcom)



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