月刊バスケットボール5月号

U16女子日本代表、FIBA U16女子アジア選手権2022初日快勝後のコメント&6.25日韓戦展望

 6月24日にアンマン(ヨルダン)で開幕したFIBA U16女子アジア選手権2022の初戦で、U16インド代表を128-39で破ったU16女子日本代表の薮内夏美HC、この試合で7得点に16アシストと活躍した司令塔の黒川心音(桜花学園高校2年)、15得点と10リバウンドのダブルダブルで勝利に貢献したパワーフォワードの深津唯生(桜花学園高校1年)から、コメントが届いた。

 


©FIBA.U16Asia

薮内夏美HC
――まずおめでとうございます。大会で好スタートを切ることができました。大差の試合でしたが、このような試合から特にユースチームはどんなことを学べるとお考えでしょうか?

 

 合宿とか練習の時間がない中で、最低限のチームのルールを作ってきたので、しっかりと遂行すること、またプラスアルファとしてこの年代ならではの良さをどれだけ試合で出せるかが試合を戦う上でのキーポイントでした。今日は自分たちがやってきたことをしっかりと出せて、それが点数に現れました。ヨルダンに来る前日の国内合宿からチームとしての完成度が上がったように感じていて、そうしたことが勝因だったと思っています。

 

――次の韓国はより競った試合だと思います。明日に向け、特に注意している点があれば、教えてください。

 

 私にとって点数が離れるか競るかは大きな問題ではなく、大事なのは本当に自分たちの強みをどれだけ出せるか、相手にとって嫌なことを40分間遂行できるかです。初戦をみると韓国もエネルギーのあるチームだったので、そういった技術や戦術以外の空気感やプレッシャーにも対応できるよい機会だと思っています。明日も良い準備をして試合に臨みます。

 


©FIBA.U16Asia

黒川心音(桜花学園高校2年)

対インド戦=7得点、フィールドゴール成功率100%(3Pショット1本成功を含む)、16アシスト、2スティール


――大会最初の試合、今日はどんな点に気をつけて試合に臨みましたか?

 

 初戦だからうまくいかないこともあると思ったけど、全員が自分のプレーを思いっきりやるように意識して試合に臨みました。

 

――今日はしっかりプレーメイクしてアシストも大きくアンストッパブルでした。何がうまくいったのですか?

 

 ディフェンスをしっかり全員でやって、そこからどんどん点数を取ることを意識して、それができたことが良いプレーにたくさんつながったと思います。

 

――初戦に快勝して次は韓国です。うまくいかせるためのカギは何だと思いますか?

 

 今日よりもやりづらいところもあると思うけれど、しっかり自分たちのプレーを全力でやって勝てるように頑張りたいです。

 


©FIBA.U16Asia

深津唯生(桜花学園高校1年)

対インド戦=15得点、フィールドゴール成功率70.0%、10リバウンド、4アシスト、4スティール


――大会最初の試合、今日はどんな点に気をつけて試合に臨みましたか?

 

 とりあえず自分よりも大きな選手が多いので、走ってボックスアウトすることを意識してプレーしました。

 

――得点、リバウンドともよく頑張れましたね。

 

 自分の得意なプレーはリバウンドとルーズボールだと思っているので、そこができて良かったと思います。

 

――初戦に快勝して次は韓国です。うまくいかせるためのカギは何だと思いますか?

 

 プレッシャーが強く速い相手なので、しっかりついていけるようにするのと、相手が苦手なところで攻められるようにできたらよいと思います。

 

6.25は注目の日韓戦

 

 U16日本代表は大会第2日の6月25日に韓国と対戦する。東アジアのライバル国同士の激突であるだけではなく、韓国は初日にニュージーランドに63-80で黒星を喫しており、この試合に必勝の思いでぶつかってくることは間違いないところ。ニュージーランドとの試合では、身長190cm台のセンター二人にフィールドゴール60%越えで合計28点を奪われていた。またリバウンドで40-70と圧倒的なアドバンテージを取られている。オフェンス面では、伝統的なお家芸というべき3Pショットを44本中7本(成功率15.9%)しか決められていない。ニュージーランドの高さとフィジカリティーの前に、自分たちらしさを封じられた形だ。

 

 ただし、能力の高さを示し奮闘したプレーヤーももちろんおり、日本に対して同じとはまったく言えない。初戦のトップスコアラーはガードのヤン インェ(YANG, Inye)で22得点に加えて6アシストも記録していた。また同じくガードのスン スョン(SUNG, Suyeon)は2得点ながらアシストが15本、リバウンドも5本あった。

 

 日本が韓国と対峙する中でも、仮に初日と同じくロングレンジゲームが増えロングリバウンドが増えるようなら、堅実なボックスアウトとボールを追いかける気持ちで引かないこと、特にガード陣の機動力を生かした飛び込みリバウンドは大きなポイントになりそうだ。また、お互いにプレッシャーディフェンスのぶつけ合いとなる展開も予想される。韓国はニュージーランドにターンオーバーを40本犯させており、アクティブなフットワークとハンドワークに慌てず対応できるかどうかも、日本が自分たちのバスケットボールをできるかどうかの大きなカギだ。

 

 その中でフロントラインのプレーヤーがいかにペイントで支配力を発揮できるか、ペリメーターのプレーヤーがどのようなプレーメイクで得点機を生み出すか、シューター陣が3Pショットを決めきれるかも見どころ。日本は初戦で3P成功率が24本中7本(成功率29.2%)。U16年代として決して悪くはないが良い数字とまでも言えない。

 

 注目の日韓戦は、日本時間では25日夕方17時15分ティップオフ予定だ。

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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