月刊バスケットボール5月号

「W杯出場権獲得」で終わらないFIBA U16アジア選手権2022メダルラウンドへの期待

 FIBA U16アジア選手権2022の準々決勝でU16男子日本代表がインドを破って4強入りを果たし7月2日からマラガ(スペイン)で開催されるFIBA U17ワールドカップ2022への出場権を手にした。準々決勝は序盤に日本がリードを奪い、前半終了時点で50-35の15点差で優位を保っていたが、第4Qには2点差まで詰められる場面もあり、最終的には91-84の7点差で逃げ切った。


アレハンドロ・マルチネスHCは、「このラウンドになるとどの試合も難しいものです。インドが強敵だというのはわかっていました。プレーヤーたちがこのところ積み重ねてきた頑張りに値する勝利でしたね」とプレーヤーたちの戦いぶりを高く評価した。「試合の中ではプレーヤーに異なる使命が課せられています。大量得点を記録した誰か一人の試合ではなく、ほかの役割を演じたプレーヤーが何人も目を引く活躍をしていましたね」

 


準々決勝でのアレハンドロ・マルチネスHC(写真/©FIBA.U16Asia)


32得点、17リバウンドでチームをけん引した川島悠翔(福岡大学附属大濠高等学校2年)の存在は確かに非常に大きかった。しかしマルチネスHCが話しているとおり川島の一人舞台ではなく、高確率で3Pショットを決めて21得点の小川瑛次郎(羽黒高等学校2年)、12得点に10リバウンドのダブルダブルを記録した渡辺伶音(福岡大学附属大濠高等学校1年)、相手のプレッシャーをうまくいなして秀逸なプレーメイクで11得点、7アシストを記録した石口 直(東海大学付属諏訪高等学校3年)、ここでほしいというフィールドゴールをしぶとく決め今大会2度目の2桁得点(11得点)を奪った武藤俊太朗(開志国際高等学校3年)らが躍動。スターターで唯一得点が一桁の4にとどまった内藤耀悠(レバンガ北海道U18)も、フィジカルなインドのプレーヤーに攻守で対抗し、奮闘していた。


今大会はまだ終わったわけではなく、18日(土)、19日(日)にメダルラウンドの2試合(準決勝と決勝、もしくは3位決定戦)が残されている。一つの大きな目標をクリアできたが、今大会で過去2度ある3位フィニッシュを上回る結果を残すことができるだろうか。準決勝はニュージーランドとの試合で、翌日はオーストラリアかレバノン。対戦相手のレベルも高く、国内では成しえない強化の側面もある上、最終的な順位によりワールドカップにおけるグループフェーズでどの組に入るかも変わる。


☆FIBA U16アジア選手権2022の最終順位とFIBA U17ワールドカップ2022での組み合わせの関係
※チーム名の横のカッコ内はFIBA世界ボーイズランキング
1位→グループD: アルゼンチン(16)、エジプト(25)、ポーランド(49)
2位→グループB: スペイン(2)、ドミニカ共和国(23)、リトアニア(7)
3位→グループA: フランス(3)、セルビア(6)、カナダ(4)
4位→グループD: アメリカ(1)、マリ(15)、スロベニア(14)

 

 同大会が出場権獲得の6月17日からわずか約2週間後の7月2日(土)に開幕することを思えば、今は気を緩めるタイミングではないことが明らかだ。準々決勝で全体としては今一つの出来だったベンチの奮起も含め、ここでブレずに自分たちのバスケットボールを展開することには非常に大きな意義があるだろう。今大会のメダルラウンドはしっかりチーム力と士気を高めて終わりたいところだ。

 

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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